小説「彼方からの旅人と夢色金平糖」~新しい冒険へ!~

墜落した船に入ると、辺りは瓦礫が散乱していて…奥の操縦席と思われる場所には船の持ち主と思われる人物が倒れていた。

デデデ「おい、大丈夫なのか…?」

メタナイト「見た感じ、気を失っているだけの様だが…。」

バンワド「不思議な格好をしてるけど、どこから来たんだろう…?」

カービィ「ねぇ、大丈…」

そう言いながらカービィが覗き込もうとすると…

???「う…ウゥ…。」

カービィ「あ、気がついた?」

優しく声をかけたカービィだったが…

???「何ガ起きタノ!?キミ達は……ローアの様子ハ!?」

驚いて飛び起きるなり、混乱しながらも大慌てで操縦席のパネルを打ち込みながら彼の言う「ローア」の状態を確認すると…

「エナジースフィア0/120」

「各パーツの不足状況:オール、右ウィング、左ウィング、エムブレム、マスト」

それを見て驚き落ち込んでいる船の主…どうやらローアは完全に壊れてしまっている様だ。

それを見たカービィは、彼の背中をトントンと優しく叩いた。

カービィ「ねぇ、何か手伝おうか?」

???「ワァッ!?キミは…誰?」

カービィ「ボクはカービィ!」

デデデ「俺様はデデデ大王だ。」

バンワド「ボクはワドルディ、バンワドって呼ばれてるよ。」

メタナイト「私はメタナイトだ。」

マホロア「ボクはマホロアダヨ、よろしくネ!」

カービィ「マホロア、ボク達が船を直すのを手伝ってあげるよ!」

マホロア「カービィ達ガ…?」

デデデ「そうだな、困ってる時はお互い様だ!」

バンワド「みんなで力を合わせれば、きっとすぐに直せるよ。」

メタナイト「マホロア、ここは私達に任せてくれないか?」

マホロア「ミンナ…ありがトウ!」

そう言ってマホロアは大きくジャンプしながらカービィの手を握り、デデデ達にも愛想を振りまいていく

カービィ「それで、何を集めてくればいいの?」

マホロア「エナジースフィアっテいうエネルギー源ト、船のパーツダヨ。」

そう言うと、マホロアは船のパーツの場所を画面に表示してくれた。

メタナイト「ポップスター中に散ってしまっている様だな。」

マホロア「ここカラだとオールのある、クッキーカントリーっテいう場所ガ近いみたいダネェ。」

バンワド「それならすぐに見つかりそうだね。」

デデデ「よし、そうと決まれば行くしかねぇな!」

メタナイト「出発するとしよう。」

そう言うと、メタナイトはマントを翻して翼を開いた。

マホロア「気をつけテ、行ってらっシャイ!」

カービィ「行ってきまーす!」

彼が見送る中、カービィ達はクッキーカントリーへ向けて走って行った。

マホロア「…さて、マズはローアの中を片さないとネ。」

そう言いながらマホロアは中へ消えて行ったが…少し離れた木の陰から、カービィ達を追いかけていく1つの影を見逃さなかった。

アイシェ「カービィ達がクッキーカントリーに行っちゃった…追いかけなきゃ!」

マホロア「(カービィの知り合いカナ…どれ、チョット様子を見て見るカ。)」

そう思いながら、マホロアはローアの操縦席にある大画面を見た。

しばらく様子を見ていると、どうやらカービィ達はクッキーカントリーに到着した様だ

順調に行きそうだな…そう思って片付けに入ろうとしたマホロアだが、先程の人物が遅れて到着して…何やらカービィ達を呼び止めた様だ

それを見たマホロアは口元が隠されたベルト部分に手を当てて思考を巡らせ…ふと何かを思いついた様で、マントを翻すと「異空間バニシュ」で姿を消した。

一方クッキーカントリーでは…

アイシェ「カービィ…待って…!」

カービィ「アイシェ!?どうしてここに…マルクと釣りをしてたんじゃ?」

アイシェ「マルクは帰ったの…それよりもカービィ…」

何とかカービィ達を止めようとしたアイシェだったが…

マホロア「カービィ!」

カービィ「マホロア、どうしたの?」

アイシェ「(そんな…どうしてここに…!?)」

マホロア「カービィ達の助けニなれる様ニ、サポートの提案をしに来たんダケド…キミは誰カナ?」

アイシェ「わ…私はアイシェ…。」

カービィ「アイシェはボクの友達だよ、今は訳あって一緒に暮らしてるんだ。」

マホロア「フーン、ソウなんダネ。」

アイシェを不思議そうに見つめるマホロア…内心では怪しむ一方で、彼女の瞳にどこか惹き込まれそうになってしまう自分もいて…なんとも言えない不思議な気持ちになっていた。

すると、そんな事を知る由も無いデデデが口を開いた。

デデデ「サポートって、どんな事をしてくれるんだ?」

マホロア「まずはコノ薬…体力が2倍になるヨ。」

そう言ってマホロアがカービィ達に不思議な薬を振りかけると…

カービィ「わぁ…力が沸いてくる!」

メタナイト「これならすぐに疲れる事も無さそうだな。」

マホロア「他にも穴カラ落ちそうになった時ニ、ボクが助けてあげるヨォ、そして強い敵に出会ッテモ、必要な時はサポートしてアゲルネ!」

カービィ「すごいや、ありがとうマホロア!」

アイシェ「(私が遊んだ時にはそんな機能は無かったのに…どういう事なんだろう…?)」

自分の記憶と全く違う展開に不思議がるアイシェとは裏腹にカービィは感謝していて、当のマホロアは手をゴマすりの様に動かしつつ、その黄色い瞳は弓形に細くなっていた。

カービィ「そういえばアイシェ、ボクに何を伝えに来たの?」

アイシェ「え…っと…その………」

マホロアの事を話して阻止しようなんて言えるはずも無く…アイシェは困ってしまった…。

バンワド「僕達を心配してくれたのかな、でも大丈夫だよ。」

デデデ「大船に乗ったつもりで安心して待ってろ、アイシェ。」

メタナイト「アイシェに余計な心配はかけたくない、帰ってきたら…また其方のアップルパイを振る舞ってくれないか?」

アイシェ「メタさん……うん、分かった。」

カービィ「やったー!頑張ろうねみんな!」

マホロア「……………。」

わいわいと盛り上がるカービィ達…その中心にいるアイシェを、マホロアは無言で見つめていた。

しばらくして…

カービィ「それじゃあ、行ってくるね!」

アイシェ「うん…行ってらっしゃい!」

マホロア「気をつけてネェ!」

2人が見送る中、カービィ達は冒険に出かけて行った。

アイシェ「(みんな…気をつけて…!)」

無事を願い、カービィ達を送り出したアイシェだったが…

マホロア「ネェ、この後チョット一緒に付き合ってくれないカナ?」

アイシェ「えっ?」

相変わらず目を弓形に細めゴマすりをしながら訪ねるマホロアに、アイシェは青い瞳をぱちぱちさせるのだった。

To be continued…