小説「夢結ぶ星りんご」(トリデラ編)~天空の暴れん坊~

オールドオデッセイは、今までのステージとは明らかに雰囲気が違った…

アイシェ「ここ、気候がすごく不安定だね。」

バンワド「熱いサバンナと、寒い雪山が同じエリアに存在するなんて…ここのボスも手強そうだね。」

アイシェ「カービィ、無事に進めるといいけど…。」

バンワド「カービィなら大丈夫だよアイシェ、今までだって色んな困難を乗り越えてきたんだもん!」

アイシェ「うん…そうだよね、私達も頑張ってサポートしなきゃ!」

バンワド「うん!」

不安な時もカービィを信じてここまで来れた…2人は改めてそれを実感して、サポートをするべくアイテム等を探すのであった。

大きな3匹の鳥が襲いかかって来た時はキセキの実の力で蹴散らし、不安定に揺れる細い岩も軽い身のこなしでかわしながら、電流の流れる長い棒を持って敵を倒しながら進み…

熱いサバンナ地帯を抜けて寒い雪山のエリアに行ってもカービィの快進撃は止まらず、強風が吹き荒れる場所も乗り越えて大きな雪だるまを作りながら進んで行った。

アイシェ「(雪だるま、マホロアと2人でホワイトウェハースで作ったの思い出しちゃった……また作りに行きたいなぁ…。)」

マホロアとの思い出に浸りつつ、アイシェもバンワドと共に引き続きサポートに回り…最後はカービィが、敵のワドルディが操作する大きな砲弾を撃ってくる柱の様な敵を倒した!

カービィ「これで後はボスだけだね。」

3人が見上げたボスの居る場所は、雲海に包まれていて…ピリピリとした緊張感が伝わってくる

準備を整えて向かうと、奥の方にデデデを連れた謎の男が見えて…どうやら彼も休息を取りつつ運んでいる様だ。

頂上まで追いつき、男は焦った様子で周りをキョロキョロしている…

バンワド「そこの男、大王様を離すんだ!」

しかし男は雲の方を見てニヤリと笑うと、マホロアの魔力球に似たような攻撃をして…そのまま飛び去った!

アイシェ「逃げちゃう!」

バンワド「待て、大王様を離せー!」

追いかけようとしたバンワドだったが…

アイシェ「待ってバンワドくん、奥から雲が!」

そう言ってアイシェが指差した方向には、白くて小さな雲が動きながら目の前に来て…

モクモクと膨らむと、大きな青い1つ目と鋭い棘…空の暴れん坊「クラッコ」が姿を現した!

カービィ「クラッコ!」

バンワド「そうか、ここは天空の国…クラッコの縄張りの本拠地なんだ!」

アイシェ「さっき雲に攻撃を当てていったのは、クラッコの存在に気づいたのね!」

カービィ「2人は安全な場所に居て!」

2人は言われた通りに安全な場所へ避難して、カービィはクラッコとの戦闘を始めた。

今まで何度も対峙してきた相手、その攻撃パターンも分かっている!

カービィはそう思っていたが…

いつもよりビーム攻撃や雨の威力が強く、違和感を覚えつつも攻撃を続けると…本気になったクラッコの様子が変わった!

青い瞳は赤く変化し、奥へ行ったかと思うとグルグルと高速回転して竜巻を起こして雲を消し去ってしまった…

アイシェ「雲を…何をするつもりなんだろう?」

不思議に思うカービィ達だったが、突然クラッコの左右から無数の棘を生やした、まるでドリルの様な大きな角が現れた!

カービィ「うわわっ!」

すごい勢いで迫ってきて、カービィは何とかかわしたが…今度は横長に雲を広げて真っ黒になり…

バンワド「カービィ、あの大砲に乗って逃げて!」

彼の一声で、カービィはギリギリ逃げる事に成功したが…激しい稲妻が直前まで居た場所を襲っている。

カービィ「ありがとうバンワド、あんな攻撃を受けたらひとたまりもないよ…!」

アイシェ「今までのクラッコには無かった攻撃ばかり…いつの間にあんな強い力を…?」

不思議に思うアイシェだったが、バンワドが何かに気づいた様で…

バンワド「そうか、ここでは空と雲から直接エネルギーを吸収出来るから、クラッコにとっては強化に最適な場所なんだ!」

アイシェ「だからあんなに強い攻撃が出来るのね…!」

苦戦を強いられるカービィは、持っていたサーカスの能力を落としてしまいピンチに!

カービィ「うっ…もう少しなのに…!」

バンワド「何か使えそうなコピーは…!」

アイシェ「バンワドくん、これなら使えるかも…?」

バンワド「すごいよアイシェ、これをカービィに渡せば…!」

そう言ってバンワドはアイシェから受け取ると、カービィの元へ走って行き…

カービィ「バンワド…?」

バンワド「カービィ、アイシェとボクの応援を受け取ってー!」

そう言って彼が投げた「コピー能力星」を吸い込んだカービィは、新しいコピー能力である「ベル」の能力を取得した!

カービィ「ありがとうアイシェ、バンワド!」

引き続きクラッコの猛攻は続いたが、カービィはベルの能力を駆使して、時にはイン・ベルでガードしつつ、ツインディンカーやリンディンドンで体力を削っていく…

最後はトドメの「ディンフィナーレ」でクラッコを撃破した!

アイシェ「やったねカービィ!」

カービィ「はぁ…はぁ…疲れたぁ…!」

戦闘が始まった時は夕方だったが、終わった頃には夜になっていて…星空が広がっている。

バンワド「お疲れ様、今日は休もう。」

3人はオールドオデッセイの入り口まで移動して、食事をした後に眠りについた。

一方マホロアとマルクは…

マルク「予定より早く終わったとはいえ、こんな星になんの用なのサ?」

目的の場所で遊びの観察を終えたマホロアは、最後の目的地へ向かう前にちょっと寄り道をして「ブルブルスター」へ来ていた。

マホロア「コノ星の文明に興味があっテネ、見た事無いのがイ~ッパイあるダロ?」

マルク「確かにな…この坂みたいのも勝手に動くし、一体何の為に作ったのサ。」

マホロア「推測だケド、移動の利便性を図ったんじゃないカナ。ホラ、ボクらみたいに浮いてるばかりの種族とは限らないシ。」

マルク「…そういえば、前からちょっと気になってたんだけどサ…。」

マホロア「何ダイ?」

マルク「アイシェって、何の種族なんだろうな?」

そう言われて、マホロアは少しばかり驚いた顔をした。

マホロア「キミからソンナ言葉が出るとは思わなかっタヨ…確かに何ダロウネ?」

マルク「リップルスターの妖精達は身長的には似てたけど、アイシェに羽は生えてないのサ。確かアドレーヌっていう子が居るけど、そっちも耳の形が違うし…。」

アドレーヌ、前にカービィから話を聞き、アイシェが描いた絵を見せて貰った事がある…確かに似た姿をしていたが、マルクの言う通り耳は違うしアイシェの方がもっと…何なら自分よりも小さいのだから。

マホロア「(確かにリボンって子は同じくらいの身長だったケド、体つきはアイシェの方がネェ…。)マァ、アイシェが好きっテ気持ちがあれば、全然問題ないケドネ~。」

マルク「少なくとも今の世界で幸せなら、それでいいのサ。お前に捕まったのだけは可哀想だけどな。」

マホロア「男の嫉妬は醜いヨォ〜マルク?」

マルク「嫉妬じゃなくて事実なのサ。」

マホロア「アイシェはボクにゾッコンなんダヨ?なのにソレじゃあボクが無理矢理みたいじゃナイカ。」

マルク「違うのサ?」

マホロア「違うヨ!」

マルク「おっほっほっほ、虚言の魔術師の言う事だから分からないのサ~。」

マホロア「嘘つき道化師に言われたくネーヨ!」

マルク「浮かれてると、ボクが奪うのサ?」

マホロア「マルク、テメーにだけは渡さネェカラ覚悟しろヨ!」

怒るマホロアを揶揄うマルク…端から見たらいつもの光景だが、お互いに少しだけ態度を軟化させていて…今回の旅を通じて少しずつ信頼関係が築かれ始めていた。

To be continued…