小説「夢結ぶ星りんご」~舞踏会のお誘い~

今日も呆れかえる程に平和なプププランドだが、今朝は何やら賑わっていた。

というのも、デデデ大王の提案で舞踏会が開かれる事になったのである

オシャレをしてダンスを踊る…もちろんそれだけでは無く食事や会話も楽しめる…それだけで住民達の心は躍った。

その招待状は当然マホロアとアイシェの元にも届いて…

アイシェ「舞踏会?」

マホロア「大王の提案デ開催されるみたいダネ。」

アイシェ「素敵…みんなどんなダンスを踊るのかな。」

マホロア「マァ、舞踏会ッテ名ばかりデ…実際は好きな様に踊って楽しんでそうな気がするケドネェ。」

アイシェ「ふふっ…でもそれはそれで楽しそう。」

この星の住民達の性質を知ってるからこそ、マホロアはほんの少しだけ呆れた様子で言うが、アイシェはとても楽しみな様子で優しく笑う。

すると、ローアにカービィがやって来た。

カービィ「おはようマホロア、アイシェー!」

マホロア「ヤァ、カービィ!」

アイシェ「おはようカービィ、ふふっ…舞踏会の事?」

カービィ「うん!マホロアとアイシェも来るでしょ?」

マホロア「ウン、楽しそうダカラネェ。」

アイシェ「みんなどんな服装で行くの?」

カービィ「ボクは蝶ネクタイに帽子で行くよ。バンワドはオシャレなバンダナをして、デデデとメタナイトはタキシードとかって言ってたなぁ。」

アイシェ「ちゃんとオシャレして行くんだね。」

マホロア「(大王はともかく、メタナイトはタキシード着れるのカナァ…。)」

そんな事をマホロアが考えている事を知る由も無く、2人は盛り上がっているが…

カービィ「アイシェは何を着るの?」

アイシェ「私?私は…いつものドレスかな。」

カービィ「あの白いドレス?せっかくだからアイシェも違うドレス着てみたらいいのに。」

アイシェ「えぇ…でも…。」

彼女が持っているドレスで、他にあるのはドロッチェがプレゼントしてくれたあの赤いドレス…しかしあれを着てしまえば最後、マホロアの理性が保てそうに無い事をアイシェは知っていたのでそれは頭の中で却下した。

カービィ「他にドレスが無いの?」

アイシェ「あるけど…舞踏会向きでは無いかな。」

少しだけ困った様子で笑うアイシェに、カービィはキョトンとして首を傾げていたが…

マホロア「アイシェも違うドレスを作って貰おうヨ。」

アイシェ「マホロア?」

マホロア「大王のガウンを作ってくれる職人が居るんデショ?その人に頼めばイイヨォ。」

アイシェ「あの職人さんのワドルディに?最近も服を作って貰ったばかりだし、申し訳…」

カービィ「ならマホロアとアイシェで一緒に作って貰えばいいよ!今からデデデに頼みに行こう!」

アイシェ「きゃあっ!?」

マホロア「チョッ…カービィ!?」

アイシェが話終える前にカービィは2人の手を取って外に飛び出し、そのままワープスターを呼んで乗せるとデデデ城へと飛んで行った。

そして事情を聞いたデデデは…

デデデ「そんな事か…よーしバンワド、すぐに職人を呼んで来い。」

バンワド「はい!」

アイシェ「大王さま、本当にいいの?」

デデデ「何も心配すんな、いくらでも作って貰えばいいさ。それにアイツもお前の着るモンを作るのが楽しいって言ってたしな。」

アイシェ「ありがとう、大王さま!」

デデデ「へへっ!」

満面の笑みで感謝するアイシェに、デデデも嬉しそうに笑う

マホロア「大王、ボクの分マデ作って貰えるのは嬉しいケド…体の構造的にちゃんと作れるのカナァ…。」

デデデ「あの職人ワドルディは優秀だ、きっとお前にピッタリの衣装を作ってくれるはずだぜ。」

そう言ってニカッと笑うデデデに、マホロアも安心して自然と笑みが零れた

その後、職人ワドルディが到着し…2人はそれぞれサイズ計測をしてもらった。

マホロア「フフッ、楽しみダヨォ!」

デデデ「マホロアの衣装はすぐに出来るが、アイシェのはちょっと時間がかかるみたいでな…出来上がるのは当日になりそうだ。」

アイシェ「それじゃあ、当日にここで着替えさせて貰うね。」

デデデ「あぁ、部屋を用意しておくぜ。」

アイシェ「ありがとう、大王さま。」

デデデ達に感謝して城を後にし、楽しみにしながら毎日を過ごし…

この日はタランザに来てもらい、アイシェがダンスの練習をしていた。

タランザ「ここで前に出るのね。」

アイシェ「こう?」

タランザ「上手だよアイシェ、次は右。」

アイシェ「わぁ…踊れてる!」

そう言って喜ぶアイシェにタランザは優しく笑い、楽しそうに踊る2人だが…マホロアは頬杖を付いて眉間に皺を寄せながらムスッとしていて…

マホロア「ダンスの練習ナンテ、ボクがいくらデモ付き合ってあげるの二…。」

タランザ「この前そう言って、練習してる内にアイシェの腰に手を回して撫で回したんでしょ…だからアイシェがボクにお願いしてきたのね。」

マホロア「ヤダナァ~アイシェが魅力的だったカラ、手が勝手に行っちゃったダケなんダヨォ?」

タランザ「…アイシェ、このド変態はボクが後でキッツイお灸を据えておくのね。」

マホロア「エェーー何でそうなるノォ!?助けてアイシェ~!」

アイシェ「マホロア…。」

タランザ「アイシェを困らせるんじゃないのね!」

マホロア「痛テテテッ…分かったカラ離せヨォ!」

怒ったタランザは、残った手でマホロアの頬を左右から引っ張り…懲りたマホロアはその場でバタバタしていた

少し騒がしかったものの、無事にアイシェはダンスを覚え…その後も毎日マホロアと一緒に練習しながら2人で楽しく踊った。

そして後日、一足先にマホロアの衣装が出来上がったので2人で受け取って来た。

マホロア「どうカナ、アイシェ?」

アイシェ「すっごく似合ってるよ、マホロア!」

マホロアの衣装はいつもの青とは違って黒く、タキシード風になっている

中には白いウイングカラーシャツと白い蝶ネクタイ、白い手袋には歯車とマホロアの魔法陣の一部である三角の模様が金の糸で刺繍されている

普段の衣装と同じ色をした青いマフラーとマント、ベルト部分は夜空の様な濃い靑のスカーフになっていて、彼の被った小さな黒いシルクハットに巻かれたスカーフリボンと同じデザインだ

フードとマントには歯車模様が刺繍されていて、シルクハットとマフラーのベルト部分には黄色い歯車のアクセサリーが付いていた。

マホロア「エヘヘ、嬉しいヨォ…アリガトウ。」

アイシェ「ふふっ、どういたしまして。」

大喜びでクルリと回るマホロアのマントがヒラリと翻り、スカーフと同じ色をした濃い青が見えて…まるで夜空を運ぶ魔法使いの様だと思いながら見惚れてしまった。

マホロア「フフッ、な〜んて顔してるんダイ?」

そう言ってアイシェの頬を優しくむにっとして、そのまま頬にちゅっとキスをしたマホロアに、アイシェは頬を真っ赤にしながらはにかんだ

アイシェ「だって、マホロアが素敵なんだもの。」

それを聞いたマホロアも頬を真っ赤に染めて…

マホロア「アイシェ…そんな事言われタラ、ボク我慢出来なくなっちゃいソウダヨォ…。」

キラキラと輝くアイシェの青い瞳を見て黄色い瞳を細め、今度は彼女の唇に優しく甘いキスをした。

そして皆が楽しみにしながら過ごす中、ついに舞踏会の当日を迎えた。

マホロア「ンンーー行く前にシャワー浴びヨウット!」

自分の部屋でテーマパークの案を練っていたマホロアは、伸びをすると脱衣所に向かった。

雲の夢を口ずさみながらカチャカチャとマフラーのベルトを外していたが、通路の方から可愛い足音が聞こえて来て…

ウィンッ

何とアイシェもシャワーを浴びようと入ってきた!驚いたマホロアは彼女が入ってくる寸前に異空間バニシュで姿を消していたが…

シュルッ…プツッ…プツッ…

アイシェ「ふふっ、どんなドレスかなぁ。」

楽しみにしながらリボンを解き、服のボタンを外して脱いでいくアイシェを、ゴクリと生唾を飲んでじっと見ているマホロア…

スルスル…パサッ…

まさか彼に見られているとは知る由も無く、アイシェは裸になってそのまま浴室へと入って行き…マホロアは逃げる様に自分の部屋へ戻った。

マホロア「ハァ…アァ~ビックリしたヨォ…!!」

たまたまタイミングが被ったとはいえ、あんなラッキースケベな事が起きるなんて…完全なハプニングだったので、マホロアは嬉しさよりも驚きが勝っていた。

とはいえ、さっきのアイシェの姿は頭に強く残っていて…マホロアの中ではゆっくり、しかし確実に興奮の波が押し寄せてきていた…。

To be continued…