小説「夢結ぶ星りんご」(ロボボ編)~予知夢と引っ掛かり~

起きて朝食を済ませた後、アイシェはマホロアと共にカービィの家に行った。

カービィ「おはようアイシェ、マホロア!」

アイシェ「おはよう、カービィ。」

マホロア「おはよう、早速ダケド相談があるんダ。」

カービィ「…何かあったんだね?」

アイシェの不安な表情とマホロアの真剣な表情を見て、只事では無いと察したカービィはその場で聞いた。

アイシェ「…カービィ、私…また予知夢を見たかもしれないの。」

カービィ「予知夢、確かフロラルドの時の…。」

アイシェ「うん…。」

カービィ「マホロア、今からデデデ城へ行っていい?」

マホロア「ボクも同じ事を考えてタヨ、コレは全員と共有した方がイイと思うカラネ。」

カービィ「ボクはメタナイトを呼んでくるから、2人は先に行ってて。」

マホロア「分かったヨ。」

アイシェ「気をつけてね、カービィ。」

カービィ「ありがとう、2人も気をつけてね!」

そう言い残すと、カービィはワープスターに乗って戦艦ハルバードへ飛んで行き、マホロアとアイシェもデデデ城へと向かい…途中でメタナイトと共に飛んできたカービィと合流して一緒に到着した。

そしてアイシェから事情を聞いたデデデは、客室へ案内して全員がソファに座って向かい合った。

デデデ「これで大丈夫だ。それでアイシェ、どんな夢を見たんだ?」

アイシェ「ここが何者かに侵略されて、機械化する夢を見たの…。」

バンワド「侵略者って事…なのかな?」

メタナイト「機械化するとは…?」

アイシェ「夢の中でいつもの自然豊かなプププランドに居て…そしたら突然、巨大なUFOみたいのが出現して大きな5本のドリルが刺さるの…次々と小さなドリルの付いたオブジェクトみたいな物やロボットが出てきてドリルが刺さった場所から次々と機械化していって…みんなを捜してたら…ローアが横倒しになっててマホロアが居て…そしたら侵略者の女性が来て我がカンパニーの支配下って言ってた……私を守ろうとマホロアが戦おうとしたら…女性の合図でUFOみたいのからビームが撃たれて向かって来て…っ………!!」

ゾクッ…夢の事を思い出したアイシェを強い恐怖と言う名の悪寒が襲い、体をぎゅっと抱きしめて怯えてしまった。

メタナイト「もう十分だアイシェ、夢の中とはいえ怖かったな…。」

アイシェ「メタ…さん…!」

青ざめた顔でガタガタ震えるアイシェをマホロアはぎゅっと抱きしめて背中を撫でて…

マホロア「…アイシェ、少し休んでテ。」

アイシェ「マホロア…でも…!」

マホロア「後はボクが話すカラネ。」

そう言ってマホロアが目の前で目を閉じてグルグルと両手を回すと…アイシェは急に強い眠気に襲われてそのまま眠ってしまい、マホロアが優しく受け留めた。

カービィ「アイシェ!」

バンワド「マホロア、何をしたの!?」

マホロア「催眠術で一時的に眠らせたんダ、大丈夫…話が終わっタラ解除するヨ。」

それを聞いたカービィ達は安堵の表情を浮かべ、マホロアは眠るアイシェを抱き上げた。

デデデ「マホロア、お前はどこまで聞いたんだ?」

メタナイト「夢の続きがあるのか?」

マホロア「アイシェが夢で見たのはアレが全部ダヨ、デモ夢の中でその女が歌っテタんダ。」

カービィ「歌ってた?」

マホロア「アイシェも所々しか聞き取れなかったみたいダケド、聞いた感じダト会社の歌っぽいネ…デモ起きた後も聞こえたみたいなんダヨネ。」

バンワド「起きた後も聞こえた?」

メタナイト「どういう事だ?」

マホロア「アイシェ自身にも分からないんダ…導かれる様に外に飛び出て行っちゃっテ、ローアが警告音を鳴らしてボクを起こしテくれたカラ、何事も無くて済んだケド…。」

デデデ「それにしてもなぁ…今までやって来た侵略者は数え切れない程だが、機械化っていうのは聞いた事もねぇぞ。」

アイシェの顔を優しい眼差しで見つめて頬を撫でるマホロアを見つつ、デデデは頬杖をつきながら言った。

マホロア「ボクも今まで様々な星を旅して来たケド、他の場所を機械化する星っていうのは聞いた事が無いヨ。」

カービィ「ミルキーロードのメックアイみたいに、元々機械の星とは違うって事でいいんだよね?」

マホロア「全くの別物と言ってイイと思うネ。そもそも他の星に侵略して機械化するっテ、ソンナ事が可能なのカッテ話ダヨ…。」

メタナイト「マホロア、其方の様に魔術と科学が融合した技術による可能性は無いのか?」

金色の瞳が仮面越しにマホロアに向けられ、マホロアは首を横に振りながら口を開いた。

マホロア「流石に無理があると思うヨ…いくら融合した力とはいえ出来る事には限界がアル、ソレこそハルカンドラ人クラスの力が無いと有り得ないレベルの話じゃないカナ。」

メタナイト「そうか…謎は深まるばかりだな。」

マホロア「…ミンナ、実はアイシェを眠らせたのにはモウ1つ理由があるんダ。」

デデデ「理由、何だよ改まって?」

眠るアイシェを除く全員の視線がマホロアに集まり…一呼吸置くと口を開いた。

マホロア「アイシェにはコレ以上心配をかけたく無いカラ言わないでいるんだケド、その女について引っ掛かる事があってネ…。」

カービィ「引っ掛かる事?」

バンワド「もしかして、タランザの時みたいに知り合いの可能性があるの?」

マホロア「知り合いというより…「元の世界の人物」の可能性がアルって言えばイイのカナ。」

そう言った所で、メタナイトはいち早く察して口を開いた

メタナイト「…もしや、其方が居たプププ王国というパラレルワールドの話か?」

マホロア「流石ダヨ、メタナイト。」

カービィ「プププ王国で、その女性が居たの?」

マホロア「アイシェも夢の中でハッキリと姿は見えて無いカラ、まだ可能性の1つとしか言えないケド…プププ王国でディメンションホールからやって来た侵略者の女が居テネ…特徴は似てるんダヨ。」

バンワド「侵略者繋がり…っていう点でも一致はしてるね。」

マホロア「まだ確信が持てない以上、可能性の域は抜けないケド…一応ネ。気になるカラ、マルクに協力して貰っテ探りを入れるつもりダヨ。」

デデデ「どうするんだ?」

マホロア「マルクもボクと同じで色んな星を巡ってるカラ、星の知識はあるハズ…機械の星を片っ端カラ調べて見るヨ。」

カービィ「フロラルドの時みたいに、しばらく留守にするの?」

マホロア「イヤ、アイシェが心配ダカラネ…コレは日帰りで終わらせるヨ。」

カービィ「分かった。でも約束してマホロア、必ず無事に帰って来てね!」

マホロア「ウン。約束スルヨ、カービィ!」

そう話すカービィとマホロアの表情は真剣で、お互いを映す黄色い瞳と青い瞳には強い絆と信頼も見えていた。

こうして話は無事に終わり…マホロアがパンッと両手をアイシェの前で小さく叩くと、ゆっくりと目を覚ました

アイシェ「んっ…マホロア…私…?」

マホロア「アイシェを落ち着かせる為に、一時的に催眠術をかけて眠らせたんだ…ゴメンネ。」

アイシェ「ん…ん…大丈夫…ありがとうマホロア…。」

まだ少しだけ眠そうにしつつも、アイシェは優しく笑っていて…マホロアは彼女の頬を優しく撫でた。

カービィ「今は気をつける事しか出来ないけど…みんなでこの星を…アイシェを守る事は変わらないからね!」

デデデ「そうだな、侵略者に好きにさせて堪るか!」

バンワド「悪い奴らなんてやっつけちゃうよ!」

メタナイト「平和とアイシェを守る為なら努力は惜しまない、だから安心して欲しい!」

アイシェ「カービィ、大王さま、バンワドくん、メタさん…!」

マホロア「もちろんボクもついてるカラネ。」

キリッとした笑顔で皆が口々にそう話し、マホロアもアイシェを抱き上げたまま優しく笑う

それを見たアイシェも安心した表情を見せて…

アイシェ「マホロア、みんな…ありがとう…!」

笑顔を見せるアイシェに、カービィ達も安心して優しい笑みを返すのだった。

To be continued…