小説「夢結ぶ星りんご」(ロボボ編)~調査の旅へ~

アイシェをデデデ城に残し、マホロアは1人薄暗い森の奥深くへ来ていた。

マホロア「全く…何でコンナ暗い所に住んでるんダヨ。」

マルク「いきなり悪口から入るとは、お前は相変わらず性格が悪いのサ。」

声のする方向を見上げると、木の上にマルクが居た

そう…ここはマルクの住んでいる森なのである。

マホロア「褒め言葉とシテ受け取っといてヤルヨ。ソレよりマルク、キミに頼みがあるんダ。」

マルク「頼み~?お前の頼みはロクな事じゃ無いから断るのサ。」

ふわふわと浮きつつも、翼を出して自身の鉤爪を眺めながら聞く耳を持とうとしないマルクに、マホロアはフゥ…と溜息を吐きつつも話を続ける

マホロア「話を聞いてカラ言えヨ馬鹿ピエロ、今回は急なんダヨ…アイシェの負担を減らす為にもネ。」

その言葉にマルクはピクッと反応して…紫の瞳をマホロアの方へ向けた。

マルク「…アイシェに何かあったのサ?」

マホロア「何かあったと言えばソウなるケド…少なくとも今は大丈夫ダヨ。デモこれカラ起きるカモしれないんダ。」

マルク「どういう事なのサ。」

マホロア「…予知夢ダヨ、フロラルドの異変の時みたいにネ。」

マルク「アイシェがまた予知夢を見たのか…。」

マホロア「今度ばかりはボクも聞いた事の無い経験ダ、その為にもキミの協力が必要なんダヨ。」

マルク「まず、夢の内容を聞かせるのサ。」

マホロア「説明するカラ、その馬鹿な頭にしっかり入れろヨ。」

マルク「一言余計なのサ!とにかく話せよ。」

マホロアはアイシェの夢の内容、起きてからの事…マホロアが引っ掛かる女性の事を全て話し…マルクも真剣な表情で聞いていた。

マホロア「コレで全部ダヨ。マルク…キミも色んな星を旅して来たダロ、他の星を機械化させるなんテ聞いた事があるカイ?」

マルク「聞いた事も無いのサ、機械の星で代表的なのは、メックアイやお前があの船を発掘したハルカンドラの一部くらいだろ?」

マホロア「エッガーエンジンズ…あそこはかつて王国があったらしいケド、今はその時の護衛ロボットが残ってタくらいダヨ。クラウンの件で行った時に、カービィ達がソイツをブッ壊しちゃったケドネ。」

マルク「後は名前も無い小さな星ばっかりだぞ、大体そんな機械化させる様な技術を持つ星なんてあるのか?」

マホロア「ソレはボクも考えたシ、ハルカンドラ人レベルじゃないと難しいダロウって話もしたヨ。」

マルク「となると…機械仕掛けの星じゃなくて、そういう技術を持った種族の侵略者って可能性なのサ?」

マホロア「仮にそうだとシテ、まずは機械を作り上げる技術が必要にナル…ダカラ片っ端から機械仕掛けの星を調査するんダヨ。」

マルク「うわ…そんなに数が無いとはいえ回るのかよ…。」

マホロア「仕方無いダロ、このまま何もしないで待つよりはずっとイイし…何よりもアイシェにつらい思いをさせたくないんダヨ。」

そう話すマホロアはアイシェの事を心から心配している様子で…マルクは木の上からストンとマホロアの前に降り立った。

マルク「分かったのサ、協力してやるよ。で、いつ行くんだ?」

マホロア「明日の夜明けダヨ、朝食は作ってヤルカラ、朝陽が顔を出しタラすぐにローアに来テ。」

マルク「偉そうだな…まぁいい、分かったのサ。」

約束をした2人は別れ、マホロアはデデデ城にアイシェを迎えに行った。

アイシェ「あ、お帰りなさいマホロア!」

昨夜からの様子とは一転して、アイシェはとても落ち着いていて…いつも通りの可愛い笑顔を自分に向けてくれた事に、マホロアは安心した

マホロア「ただいま、アイシェ!何か楽しい事があったのカイ?」

アイシェ「うん、カービィとバンワドくんの3人でお絵描きして遊んでたの。」

マホロア「ソレはヨカッタネェ~、もう少し遊んでてイイヨ。」

そう言って頭を撫でると、アイシェは嬉しそうに笑ってバンワド達の所へ戻って行き、デデデとメタナイトがマホロアの元へ来た。

デデデ「マルクには会えたのか?」

マホロア「ウン、やっぱりマルクも聞いた事が無いっテ言ってタヨ。」

メタナイト「そうか…それで協力の方は?」

マホロア「ちゃんと説明して、協力シテくれる事になったヨ。明日の夜明けに出発シテ、午後マデに全部調査して来るヨ。」

メタナイト「分かった、ならば明日は私の所でアイシェを預かろう。」

デデデ「そうだな、戦艦ハルバードなら安心だろ。」

マホロア「助かるヨ、メタナイト…アイシェをお願いネ。」

メタナイト「あぁ、任せておけ。」

信頼出来る友達にアイシェを任せる事にしたマホロアは、安心して2人と共に無邪気に遊ぶ彼女を眺めた。

その後も穏やかに過ごし…ローアに帰ってからもマホロアはアイシェの傍を離れなかった。

アイシェ「マホロア、明日は早いの?」

マホロア「ウン、夜明けには出発するヨ。アイシェは寝ててイイカラネ。」

アイシェ「えっ、起きてお見送りするよ?」

マホロア「太陽が出始めてすぐダカラ、無理しないでゆっくりしてて欲しいんダ、アイシェだってメタナイトの所に遊びに行くんデショ?」

アイシェ「うん、メタさんがお気に入りのガトーショコラを食べさせてくれるって言ってたし、メタナイツのみんなや船員ワドくん、バル艦長さんとも会えるから楽しみ!」

そう言って嬉しそうに話すアイシェに、マホロアは目を細めておでこにキスをした。

マホロア「楽しんでおいデ、アイシェ。」

アイシェ「うん、ありがとうマホロア…気をつけて行ってきてね。」

マホロア「ウン、アリガトウ…愛してるヨ、アイシェ。」

2人は抱きしめてキスをして、お互いの温もりを感じ合った

夜…マホロアがハルカンドラの歴史の本を読んでいる中、アイシェは彼のベッドで先に眠りについていた。

アイシェ「すぅ…すぅ…。」

マホロア「やっぱり記述は無いカ…機械化シテしまう、一体どんな侵略者なんダ…。」

そう呟きながら本を閉じ、眠るアイシェの元へ向かって横になると彼女の寝顔を眺めた。

アイシェ「すぅ…すぅ…。」

彼女の手をそっと握り、眺めている内にマホロアは眠りについたが…

夢の中、プププランドの光景がいつもと違っていて…アイシェの言った通りに所々が機械化していて悲惨な状況になっている。

マホロア『コレは…アイシェの見た夢と同じ光景ナノカ…!?』

驚くマホロアの耳に、はるか遠くから微かに女性の声が聞こえてきて…耳を澄ますと歌っている事に気がついた

???『永遠に~……え……讃え……』

マホロア『やっぱり会社の歌っぽいネェ…趣味の悪い歌詞ダヨ!』

そう悪態を吐くと、周りが光りに包まれて…眩しさに思わず目を瞑ったマホロアが次に目を開けると、そこはプププ王国の広場で…よく見ると自分も店主の格好をしていた!

一瞬混乱したマホロアだが、ここは夢の世界…そう思って落ち着きを取り戻すと辺りを見渡した。

すると…ジェムリンゴの木が植えられている場所の影に誰かが居る…

少しずつ近づくと、そこには1人の女性が立っていて…スラッとした体に深紅の長い髪…そう、例の侵略者の女だった。

???『フフッ…ココもじきにワタクシの支配下に置いてやりますわ。』

マホロア『(やっぱりあの女が関係してるノカ?)』

そう思いながらマホロアが更に近づくと…彼女は振り返り…

マホロアの黄色い瞳と、彼女の水色の瞳が合った瞬間!マホロアはハッと目を覚ました。

隣ではアイシェが穏やかな寝顔で眠っていて…

アイシェ「ん…すぅ…すぅ…。」

マホロア「今の夢ハ……少なくともボクダケが見たんダナ…。話には聞いてたケド、コンナ過酷な光景をキミは見ていたんダネ…アイシェ…。」

ドッドッドッド…

鼓動は速く、マホロアの頬を嫌な汗が伝っていく…

どうか、どうかアイシェが無事であります様に…そう願いながら、マホロアは彼女を抱きしめて再び眠りについた。

そして早朝…まだ陽が昇る前に目を覚ましたマホロアは、アイシェを起こさない様にそっと触れるだけのキスをして起き上がり、着替えて部屋を出た

キッチンでおにぎりを作り、準備を整えて外に出るとマルクがちょうど来た所で…

マルク「ちょうどいいタイミングだったのサ。」

マホロア「ソウダネェ…早速ダケド、行くヨ。」

お互いに朝の挨拶も無しに会話を交わすと、マホロアはマルクの分の大きなおにぎりを彼に投げて、受け取ったのを確認すると自身も小さなおにぎりを頬ばって飛び上がった!

マルク「まずはどこに行くのサ?」

マホロア「距離的にはメックアイが最初ダネ、エッガーエンジンズは調べる必要は無いカラ…後はボク達の知る限りの名も無き星を巡るヨ。」

マルク「分かったのサ。」

おにぎりを飲み込むと、2人はどんどん高度を上げて飛んで行き…宇宙へと旅立った。

To be continued…