小説「夢結ぶ星りんご」(ロボボ編)~声を通じて交わす口づけ~

マホロア達の黒い思惑を知る由も無く、カービィ達は駅の様な場所に辿り着いた

カービィ「これは?」

バンワド「この列車に乗れそうだね。」

カービィ「何が起きるか分からないから、注意しなきゃ。」

2人は警戒しつつも列車に乗り込み進んで行く。

途中で見慣れない敵が投げてきた赤と青の細長い物体を飲み込むと…新たなコピー能力「ドクター」を習得した!

バンワド「すごい、新しいコピー能力だね!」

カービィ「よーし、どんどん行くよ!」

道中でICキューブを回収しつつ、時にはロボボアーマーに乗り込み大きなブロックを持ち上げながら道を切り開き…最後には巨大なロボット「鉄巨兵ギガヴォルト」と戦い、壊す事に成功した

列車から脱出した次の場所は、巨大な機械の建物でラボと書かれていて…建物の頂上と大きな歯車が回る不気味な場所だった。

バンワド「敵の拠点の1つなのかな、ここを壊せば何か情報を得られるかもしれないね。」

カービィ「マホロア達もアイシェを助け出す為に頑張ってるからね、ボク達も頑張らないと!」

決意を新たにカービィ達が侵入すると…中は見た事の無い機械で溢れ、侵入者を駆除しようとレーザービームを放っている

バンワド「わわっ、あんなのに当たったら大変だよ!」

カービィ「慎重に進まないと…!」

飛び越えたり、金網に掴まりながらレーザービームを避け、途中で立ちはだかったキングスドゥも敵によって改造されてしまっていたが…カービィは素早い身のこなしで倒して奥へと進んで行き…ついにボスの所へと辿り着いた。

タランザの助言通り、集めておいたICキューブがバリアを解除してくれて…そのままボスの所へと向かった

バンワド「カービィ、これを!」

カービィ「ありがとうバンワド!」

バンワドから元気ドリンクを受け取り、パイプを潜りながらどんどん下へ進んで行くと…ハルトマンワークスカンパニーのロゴが入った大きな鉄扉が現れて、白い煙を上げながら左右の歯車が回って扉が開いた

そしてカービィとバンワドが扉に入ると、地下に潜ったはずなのに空の上に居て…

辺りを見渡していると、最初に2人を追いかけてきたあの機械仕掛けの木が姿を現した!

バンワド「あの時の木だ!」

カービィ「これ…まさかウィスピ―じゃ!?」

バンワド「えぇっ!?」

驚いたバンワドだが、確かによく見れば緑豊かな葉っぱがあったであろう部分と細長い特徴的な鼻はウィスピ―の面影があって…

カービィ「とにかく今は倒さなきゃ!」

変わり果てたウィスピ―の姿に戸惑いはあったが、カービィはキリっとした表情になり立ち向かった!

一方のマホロア達も、カービィが対峙しているボスの情報を得ていた。

マホロア「ウィスピ―ボーグ…ウィスピ―ウッズを改造したんダナ…ホントやってる事が狂ってるヨ。」

マルク「カービィが今ちょうど戦ってるのサ。」

マホロア「アレはカービィに任せておけばイイヨ、それよりもアイシェの方ダネ…もうすぐ3時になるカラ、約束通りナラ、スージーが迎えに来る時間ダヨ。」

同じ頃、アイシェはゆっくりと目を覚ました。

まだ少し寝ぼけつつも目を擦り、時計を見るともうすぐ3時になる頃で…

服を整えてそっと座っていると…3時ぴったりにスージーが入って来た。

スージー「ごきげんようアイシェ、約束通り部屋に案内しますわ。」

アイシェ「うん…。」

スージーの後をゆっくりと歩いて行くアイシェは、少しでも情報を得ようと辺りを見渡した。

そこには見た事の無い光景が広がり、たくさんの機械やロボットが行き交っている

しばらく歩いて行くと、真っ白なエリアに辿り着いた。

スージー「このエリアは、アイシェも自由に見て回っていいですわ。」

アイシェ「え…いいの?」

スージー「ずっと部屋に居たら退屈してしまいますもの、ここで好きな事をして過ごして欲しいの。それに……ふふっ。」

アイシェ「何か…あるの…?」

含み笑いをするスージーに警戒するアイシェだったが、彼女は水色の瞳を向けると嬉しそうにしていて…

スージー「時間が出来たら、アイシェとここでたくさんお話をしたいと思ってますのよ。」

アイシェ「私とお話を…?」

予想外の返事にきょとんとしてしまうアイシェに、スージーは目を細めてそっと頭を撫でてきて…

スージー「ワタクシ、ずっと女の子の話相手が欲しかったの…この会社にはそんな相手居ないし…。」

嬉しそうにしていた様子から一転して、そう話す彼女の瞳はどことなく寂しげで…アイシェは心がぎゅっとした

とはいえ、まだ警戒心を解いた訳では無い…少しでも情報を集めてマホロアに伝える為にも、罠にかからない様にしなくては…そう自分に言い聞かせた。

アイシェ「あの…スージー、ここは何をしているの…?」

そう言ってアイシェが指さした先には、何やら怪しげな実験をしている様な光景が広がっていて…

スージー「あれは様々な場所から採取したデータを元に、クローンを作ってるのよ。」

アイシェ「クローン…?」

スージー「同じ物を作り上げる技術ですわ。とは言っても、流石にオリジナルと全く同じ物は出来ないけどね。」

アイシェ「(一体何のクローンを作ってるんだろう…。)」

スージー「さぁ、着きましたわ。」

不思議に思うアイシェだったが、部屋に到着して中へ案内された。

そこには青と白を基調とした部屋が広がっていて、ベッドやテーブル、シャワーに冷蔵庫等も完備されていた。

アイシェ「すごい…。」

スージー「いくらでも自由に使って構いませんわ、そして残念…まだお話したいのにまた戻らなきゃいけませんわ。」

アイシェ「お仕事があるの…?」

スージー「ワタクシ、この侵略プロジェクトの指揮を任されていますの…でもアイシェとの時間はなるべく取るつもりですわ。次に来る時は、部屋のインターホンを鳴らしますわね。」

アイシェ「うん、分かった…。」

スージー「それではまた後でね、アイシェ。」

そう言って再び頭を優しく撫でると、スージーは部屋を出て行った。

アイシェ「……マホロアに連絡しなきゃ。」

スージーが居なくなったのを確認して、アイシェは通信機チャームを開いてマホロアに連絡をした。

マホロア『アイシェ。』

アイシェ「マホロア、約束通りお部屋に案内されたよ。」

マホロア『アイツは約束ヲ守ってるみたいダネ?』

アイシェ「うん。それでね…」

そう言うと、アイシェはさっき聞いた話をマホロアに伝えた。

マホロア『採取したデータからクローンを…一体どういうつもりでソンナ事をしてるんダ…ソレに、今回の侵略の指揮を取っているのはスージー自身…コレはかなり重要な情報ダネ。』

アイシェ「外の様子がどうなってるのか分からないけど、またスージーから聞けそうだったら聞いてみるよ。それに自由に歩き回れるから、何か見つからないか調べてみるね。」

マホロア『…アイシェ、本当は怖いヨネ…?』

アイシェ「…うん、でもカービィ達もマホロア達も頑張ってる…だから私も頑張る。」

マホロア『分かっタ、ボクも引き続きアイシェの所ニ侵入する方法を探るヨ。』

心配するマホロアだったがアイシェの決意は固く、そんな彼女の様子に少しだけ安心して…その後も2人は時間の許す限り通信で会話を続けた

お互いの姿は見えなくても、声が聞けるだけで安心して…同時に早く再会して抱き合いたいと強く思った

アイシェ「マホロア…会えたら、いっぱい抱きしめて。」

マホロア『もちろんダヨ、思いっきり抱きしめてアゲル。……アイシェ、今は直接が叶わないカラ…通信機の画面にそっとキスをしテ…ボクもするカラ。』

アイシェ「うん。」

マホロア『愛してるヨ、アイシェ。』

アイシェ「私も愛してるよ、マホロア。」

早く会いたい…2人は込み上げる切ない気持ちと共に…マホロアはモニターに、アイシェは通信機の画面にそっとキスをしたのだった。

To be continued…