小説「夢結ぶ星りんご」(ロボボ編)~プレジデント・ハルトマン~

カービィ「わぁっ!」

危機一髪でかわしたカービィだが、メタナイトの猛攻は続く!

強いオーラを纏ったギャラクシアで斬りつけてきたり、床に突き刺してきたり…力を溜めて回転斬りと同時に激しい稲妻を落とす等、容赦の無い攻撃がカービィを襲う

バンワド「どうしよう、このままじゃカービィが…!」

カービィはミラーのコピー能力で何とかメタナイトに反撃はしているが、体力はジリジリと削られていてピンチの状態だ

そんな中、メタナイトボーグ改に変化が起きて…

動きを止めると、突然背中の赤いパーツが5本の爪の様に開き…そのまま細長いパーツが姿を現して尻尾の様になった!

カービィ「これは…!?」

スージー「それは「バックアームズ」ですわ。さぁ、お行きなさいメタナイトボーグ改!」

メタナイトボーグ改のバックアームズは、爪をギュッと握るとそのまま床に叩き付けてきたり、目にも止まらぬ速さで殴ってきたり…更には爪を床に食い込ませて体を持ち上げ、衝撃波を放って攻撃してきた

カービィ「うわぁぁぁーーーっ!!」

その衝撃波を受けて、カービィはミラーの能力を失って大きく吹き飛ばされ床に転がり…メタナイトボーグ改は彼を爪で掴むと…

ガンッ!!ガンッ!!

そのままカービィを何度も床に叩き付けた!

バンワド「カービィ!」

カービィ「ぐっ…うぅ…!」

ボロボロのカービィは顔を上げるのがやっとの状態で…視線の先には冷たい視線を向ける、メタナイトボーグ改の姿がある

ガシャン…ガシャン…機械音を響かせながらメタナイトボーグ改がカービィに近づき、アームを振り上げた次の瞬間!

アイシェ「やめて!!」

バンワド「アイシェ!?」

カービィ「アイシェ…どうしてここに…!?」

オフィスの奥からアイシェが走ってきて…ボロボロのカービィを庇った!

スージー「アイシェ、どうして…メタナイトボーグ改、この子には攻撃しないで!」

そう言ったスージーだが…メタナイトボーグはアームを伸ばしてアイシェを掴み上げた!

アイシェ「きゃあぁぁぁ!」

カービィ「アイシェ…!」

バンワド「メタナイト、アイシェを離してよ!!」

そう言ってバンワドが飛び出し、スピアを持ちながらメタナイトボーグ改のアームに向かったが…

ガンッ!!

ギャラクシアの振りで吹っ飛ばされ、そのままうつ伏せに倒れた

アイシェ「バンワドくん!」

カービィ「バンワド…!」

スージー「メタナイトボーグ改、止めなさい!ワタクシの言う事が聞けないの!?」

そう叫ぶものの、メタナイトボーグ改は一切反応せず…アイシェの体をギチギチと締めつける…

アイシェ「うっ…あぁぁぁぁ…!」

スージー「メタナイトボーグ改、アイシェを離しなさい!!」

カービィ「アイシェ…やめて…メタナイト…!」

バンワド「うぅ…アイ…シェ…!」

アイシェ「うっ…メタ…さん…!」

メタナイト「……………。」

アイシェ「もう…やめて…メタさん…っ…!」

苦しさで意識が朦朧としてくる中、アイシェの青い瞳から涙が零れ落ち…メタナイトボーグ改の仮面の隙間から彼の口内に入った。

すると…

メタナイト「……っ………!!」

カービィ「メタ…ナイト…?」

メタナイト「うっ…あぁぁぁぁ…!!」

彼の頭の中に強いノイズが走る

私は戦闘ロボ……メタナイトボーグ改

休む事無く戦い続ける戦闘マシン……

…………?

……………………!?

いや、違う……

アイシェ……!

私は其方を…大切な友を守ると誓った!

アイシェ「メタ…さ…ん…!」

メタナイト「うっ…ぐぅ…カービィ…私の仮面…を…!」

カービィ「メタナイト…!」

バンワド「カービィ、ボクのスピアで…メタナイトの仮面を!」

そう言ってバンワドは自身のスピアを投げて、カービィは受け取り…

カービィ「メタナイト…戻って来て!」

パアァァァァンッ!!

手に持ったスピアで、カービィがメタナイトの仮面を叩き割ると…粉々に砕け散った!

スージー「正気に戻ったというの!?」

驚くスージーの目の前でアームが消滅して…落ちていくアイシェをメタナイトが受け止めた。

アイシェ「メタ…さん…。」

メタナイト「アイシェ…大丈夫か?」

心配するメタナイトはこの世界に転生してからは初めてみた素顔だが、黄色い瞳は優しくアイシェを見つめていて…いつもと変わらない紳士で格好良い彼の姿がそこにはあった

アイシェ「うん…メタさん…よかった…!」

メタナイト「すまなかった…アイシェ…!」

そう言うとメタナイトはアイシェを抱きしめ、アイシェも優しい笑みを浮かべて抱きしめた。

抱き合った後、メタナイトはアイシェをカービィに託して…

カービィ「メタナイト…?」

メタナイト「アイシェを頼んだ、カービィ。」

そう言い残して飛び去ってしまった。

同じ頃、マホロア達は廊下でハルトワーカーズやロボット兵達に囲まれていた!

マホロア「アァーー邪魔なんダヨ!!」

マルク「コイツらキリがないのサ!」

タランザ「マホロア、マルク…ここはボクが引き受けるから、2人は先に行って!」

マホロア「分かっタ…頼んダヨ、タランザ!」

2人はタランザに任せて先へと進み…

タランザ「クフフ…ボクはまだ魔力を消耗してないのね、操りの魔術師の本気を見せてあげる。」

そう話すタランザの白い瞳はギラギラと光り、ぐぐぐっと力を込めると…スーパータランザバーストを炸裂させた!

すると今度はロボット兵やハルトワーカーズの手足が光る糸で拘束されていく…

ハルトワーカーズ「コ…コレハ…!?」

タランザ「言ったでしょ?ボクはまだ魔力を消耗してないってね。この操りの糸で、キミ達はボクの思うがままに動くのね。」

タランザの6つの手が妖しくも滑らかに動き、糸で操られたロボット兵達は、次々とぶつかり合って破壊されていく

そして最終的には、床が光り始め…

ハルトワーカーズ「ナ、何ヲスル!?」

タランザ「クフフフフッ、キミ達を養分にして…花が咲くのね!」

ニタァ〜と狂気に満ちた笑みを浮かべるタランザ、その直後に床から大きく太いツルが生えてきて…ハルトワーカーズ達はそのツルに絡め取られてメキメキと軋む音を響かせ…

ハルトワーカーズ「グワアァァ…!!」

ガシャアァァン!!

大きな音を響かせながら、タランザの技「愛しのワールドツリー」が炸裂した!

ツルからはボタボタとオイルが流れ落ち、周りにはガシャンと大きな音を立てて剥がれ落ちた装甲が鉄屑となって散乱する

タランザが手をグッと握ると、ワールドツリーは消滅して…そこには瓦礫の山が築かれた。

タランザ「さて、片付いたの…ボクも早く向かわないとなのねっ!」

そう呟くと、タランザはマホロア達を追ってオフィスへ向かった。

一方、メタナイトが元に戻った事にスージーは驚きを怒りを隠せない様子で…

スージー「マザーコンピューターが作ったマシンが二度も破れるなんて…!?クッ…ならばこのワタクシめが!」

アイシェ「スージー、もうやめて…!」

スージー「アイシェ、ワタクシはもう止まれませんわ…貴女は安全な場所に避難をして!」

怒ったスージーは、リレインバーを呼び出そうとリモコンを押そうとしたが…

???「もう良い、スージーよ。」

突然低く冷たい声が響き、視線の先には金色の椅子に座った男性の姿が…

スージー「しゃ…社長…っ!」

カービィ「社長…ハルトマン…!」

アイシェ「この人が…!」

バンワド「全ての元凶…!」

ハルトマン「これはこれは…我が秘書が世話になった様だな。」

椅子に座ったまま浮きながら移動してきたハルトマンは、カービィ達とスージーの間に立ち…

スージー「社長…ワタクシは…!」

ハルトマン「スージー、キミにはこの仕事を降りて貰うのである。」

スージー「そ…そんな…!!」

ハルトマン「キミがその小娘を匿っていたのはとっくに知っているのである。勝手に仕事と関係の無い事をして貰っては困る…キミはもう下がっていなさい。」

冷たく見下ろすハルトマンの氷の様な眼差しに、スージーは俯いてしまい…

スージー「…………はっ。」

一言だけ返事をして、そのまま部屋を出て行ってしまった。

そして残されたカービィ達を前に、ハルトマンが口を開き…

ハルトマン「あー…オッホン。改めて自己紹介しよう、ワシがこのハルトマンワークスカンパニーの社長にしてトップであり最高責任者でもある…プレジデント・ハルトマンである。原住民共よ、見るが良い。」

彼が手を叩くと、お互いの間の床が開き…巨大な機械が姿を現した

羽の様な部品が周りに付いていて、細長い機械の本体には電気の様な物が流れていて周りにはICキューブが浮いており、上にはHのロゴが刻まれている不思議な機械だ。

カービィ「この機械は一体…。」

ハルトマン「素晴らしい…じぃ、つぅ、にぃ、素晴らしいっ。これこそ銀河の彼方の文明を紐解き、我が社のテクノロジーで蘇らせたマザーコンピューター「星の夢」である。」

アイシェ「星の…夢…?」

ハルトマン「あー…つぅ、まぁ、りぃ、だ…この星の夢が示す完璧な経営戦略に従い、本日付けでキミ達には…このプレジデンバーの手によって消えて貰うのであーる!」

カービィ「なっ…!!」

アイシェ「そんな……!!」

バンワド「何て事を…!!」

高笑いと共に、ハルトマンは金色のプレジデンバーと呼ばれる機械に乗り込んだ!

するとカービィは、突然アイシェを抱き上げた

アイシェ「きゃあっ!」

カービィ「バンワド、アイシェをお願い!」

バンワド「うん、任せて!」

カービィからアイシェを託されたバンワドは、彼女をしっかりと抱き上げたまま安全な場所に避難した。

アイシェ「カービィ、これを持って行って!」

オフィスに来る途中で入手したミラーのコピー能力の元を投げると、カービィは受け取ってニコッと笑い…

カービィ「ありがとう、アイシェ!」

お礼を言うとカービィはハルトマンの方を向いて…両者の戦いの火蓋が切って落とされたのである!

スージーにそっくりな純金の時限爆弾「ミス・オフィサー」を飛ばしてきたり「イエスマン」という名前のロボットを召喚して自爆させてきた

アイシェ「ロボットが…!」

バンワド「ロボットとはいえ自爆させるなんて、酷過ぎる…!」

心を痛めるアイシェと怒りを滲ませるバンワドの視線の先では、カービィがハルトマンとの激闘を繰り広げている。

ハルトマン「これでも喰らうのであーる!」

時には独自の通貨であるハルトマニー札をばら撒いて視界を遮る「ハルトマニーキャッシュ」も使ってくる

カービィ「くっ…!」

落ち着いて振り払うと、ハルトマンやスージーが描かれたハルトマニー札がヒラヒラと足元に落ちていった。

スージーと同じ攻撃を使ってくる時もあったが、ハルトマンの方がより速く強い攻撃で…カービィは時々危機一髪でかわしつつ、ミラーの跳ね返し攻撃を利用しながら反撃していく!

アイシェ「頑張ってカービィ!」

バンワド「負けないでー!」

2人の声援もカービィの力となり…焼けたハルトマニー札が舞う中、ハルトマンの乗っていたプレジデンバーは砕け散り、ついにハルトマンを倒したのである!

To be continued…