深呼吸をすると、スージーはゆっくりと口を開いた。
スージー「アタシのフルネームは…スザンナ…「スザンナ・ファミリア・ハルトマン」…社長の娘よ。」
アイシェ「だからハルトマンを止めようと…?」
スージー「えぇ…。」
マホロア「…やっぱりネ、ボクの予想通りカ。」
アイシェ「マホロア?」
マホロア「アイシェが攫われてる間、救出する方法を探しながラ調べてたんダ。そして社長の名前「ゲインズ・インカム・ハルトマン」と彼が昔、事故によって幼い1人娘を失った事…その辺りカラおかしくなった事を突き止めタ。彼が唯一ロボット以外に雇っていたのがコイツ…何かしら関係があるのかもって思ってたんダヨ。」
スージー「…彼の言う通りよ、アタシは星の夢の時空転移プログラムの実験による事故で父と離ればなれになって、やっとの思いで戻って来た…そして厳しい試験を乗り越えて社長秘書になったの。……あの人はもうアタシの事なんて覚えてもいなかったけどね。」
アイシェ「そんな…どうして!?」
スージー「アタシにも分からないわ…。」
マホロア「…ソレについてモ、魔術でハッキングして調べたヨ。ハルトマンは星の夢とプログラムコントローラーで自身の脳と接続をしていたんダ。」
スージー「それじゃあ…アイツのせいで父は記憶を…!?」
マホロア「ソウだろうネ。」
スージー「そん…な…そんな…っ!!」
ショックを受けるスージーだが、マホロアは彼女を冷たく蔑んだ目で見ていて…今まで黙って休んでいたマルクも起き上がって彼の隣に来て、翼の鉤爪をジャキンと光らせた。
マルク「さて…話が終わったなら、落とし前を付けさせてもらうのサ?」
マホロア「キミはアノ父親を止めようと動いていたみたいダケド、コノ星を侵略してアイシェを攫った罪は許されないヨ。」
スージー「………………。」
マルク「この会社のロボット共は鉄屑に変えてやったのサ、お前も覚悟するのサ。」
アイシェ「やめてマルク…マホロアもさっき話した通りだよ、スージーは私を守…」
マホロア「アイシェ、確かに彼女はキミを守ってくれてタ…ケド、今回の事は到底許される事じゃないんダ。本当ならハルトマンを消し炭にしてやりたいくらいなんダカラ。」
彼女の言葉を遮って話すマホロアの瞳はスージーを冷たく見ていて…マルクの鋭く変化した紫の瞳にも、彼女への強い憎悪が見え隠れしている…
アイシェ「マホロア…それでもダメ…ダメだよ…!」
そう言ってアイシェはスージーを庇ってぎゅっと抱きしめた。
スージー「アイシェ…!」
アイシェ「スージーはずっと1人で戦ってた…ずっとつらい思いを我慢してたんだよね?」
スージー「アイシェ…アタシは…!」
アイシェ「だってスージー、私にアイスクリームを食べさせてくれた時…髪飾りのお話をした時…すごく嬉しそうだったもの。周りに自分と同じくらいの年頃の女の子が居ないって…すごく寂しそうだったもの。」
スージー「あ…アタシ……アタシ…!」
アイシェ「もう大丈夫、だって私達…もう友達でしょ?」
スージー「そんな…こんな事をしたのに友達なんて…!」
アイシェ「私は貴女も大切な友達だよ、スージー…ううん、スザンナはもう1人じゃないからね。」
そう言って優しく背中を撫でてくれるアイシェに、スージーの水色の瞳からは大粒の涙が溢れてきて…
スージー「アイ…シェ………アイシェ…ェ…うっ…あぁぁ…!!」
ぎゅっ…抱き返して大泣きしてしまったスージーを、アイシェはそっと目を閉じて背中を撫でていて…
すると、遅れてタランザが来た。
タランザ「マホロア、マルク!……これはどういう事なのね?」
マホロア「見ての通りダヨ、アイシェがコイツの…スージーの心を慰めてるノ。」
マルク「全く…アイシェは本当にお人良しなのサ。」
そう言って溜息を吐くマルクだが、その口元はうっすら笑っていて…
タランザ「…とりあえず、説明して欲しいのね。」
状況が全く分からないタランザは、マホロア達から事情を聞くのだった。
しばらくして、泣き止んだスージーはアイシェからそっと離れ…
スージー「ありがとう、アイシェ…。」
アイシェ「どういたしまして。」
優しい笑みを浮かべるアイシェに、スージーの心は暖かくなった
スージー「アタシの知る事は話したわ…後は好きにしてちょうだい。」
アイシェ「スージー!」
スージー「いいのよ、アイシェ…覚悟は出来てるわ。」
マホロア「…ナラ遠慮無く行くヨ。」
そう言ってマホロアは右手を振りかざし…
アイシェ「マホロア、ダメ!!」
叫んだアイシェだったが…次の瞬間!
マホロア「愛してるヨォ、アイシェ。」
そう言って突然マホロアはアイシェを抱き寄せて…マフラーを下げるとスージー達の目の前でキスをした!
アイシェ「!?」
驚いたアイシェは青い瞳を見開いたが…そう思ったのも束の間、マホロアは舌で口を割って入ってきて…深いキスをしてくる
マホロア「ンン?」
アイシェ「んっ…ふぅ…んん…!」
目を閉じて頬を真っ赤に染めているアイシェだが、マホロアはお構いなしに角度を変えながら何度も深いキスをしてきて…
それを見せられているスージー達は…
スージー「な……何…を………!」
マルク「おまっ…何してるのサ…!」
タランザ「あわわっ…!」
驚きで頬を真っ赤に染めつつ目が離せない3人…
そんな3人にお構いなしにマホロアは深いキスを堪能して…ゆっくりと口を離した。
アイシェ「ま…マホ…ロア…ぁ…!!」
恥ずかしさと戸惑いで頬を真っ赤にして涙目でプルプル震えているアイシェだが、マホロアはマフラーを上げると黄色い瞳を弓なりに細めて満足気に笑いながらスージーの方を向くと口を開いて…
マホロア「クククッ…アイシェに免じて許してアゲルヨォ。」
その言葉に、スージーの頭の中は一瞬真っ白になった。
スージー「……はぁ?え……どういう事なのよ…?」
マホロア「ダカラ、アイシェに免じて許してアゲルって言ってるノ、1回言えば分かるダロ。」
スージー「そんな事は分かってるわよ、どうしてアイシェにそんな事をしておいて…それでアタシが許されるのよ!?」
マホロア「ボクはアイシェ一筋に生きてるノ、友達認定されてるのハ気に入らないケド…代わりにアイシェとの熱~いキスでキミへのお咎めを無しにしてヤルヨ。」
スージー「な…何なのよそのふざけた理由は!」
マホロア「ハァ~フザけた理由なワケ無いダロ!愛するアイシェとの大切なイチャイチャタイムなんダカラ!」
スージー「そういうのは人に見せつけるものじゃないのよ!」
マホロア「当たり前ダロ、今回は特別に見せてやったんダヨ!」
スージー「そんなの必要ないわよ!アイシェ、どうしてこんなのと恋人になったの!?」
アイシェ「えぇ…それは…」
マホロア「コンナのって失礼ダナ!ボクとアイシェの相性は全宇宙デ一番なんダカラ!」
喧嘩を始めてしまったスージーとマホロアにアイシェは困ってしまい…一方のマルクとタランザは…
マルク「…とりあえず、アイシェを無事に助け出せたからよかったのサ。」
タランザ「…そうだね、後はカービィが星の夢を止めるだけなのね。」
2人はしばらくギャアギャアと騒いでいたが…落ち着いてきた所でマホロアがアイシェを抱き上げた。
アイシェ「きゃあっ!?」
マホロア「いつまでもコンナ所に長居ハ無用ダヨ。」
タランザ「バンワドはボクが運ぶのね。」
そう言って、タランザが気絶しているバンワドを抱き上げて槍を持った。
マルク「コイツはどうするのサ?」
マホロア「一緒に来て貰うヨ、まだ聞きたい事があるからネ。」
スージー「……分かったわ。」
マルク「じゃあ、コイツはボクが運ぶのサ。」
スージー「手荒な真似をしたら駆除するわよ!」
マルク「お前、自分の立場を分かってないのサ?」
そう言いながらマルクはスージーを掴む鉤爪に少しだけ力を入れると、痛みで顔を歪めて…
スージー「っ……!!」
アイシェ「マルク…!」
マルク「怪我しない程度にやってるのサ、とにかく大人しくしててちょーよ。」
スージー「……………!!」
こうして、マホロア達はアクシスアークスを脱出してローアに帰還した一方で、カービィ達は星の夢に追いついて戦闘が始まっていた。
To be continued…