スージー「これはどうするの?」
マホロア「コレはネェ…」
機械について語り出した2人は止まらず、楽しそうにしている
そんな様子を見つつ、アイシェはアップルパイを作り始めた。
アイシェ「(マホロア、すごく嬉しそう…機械について話せる人がここにはあまり居ないもんね。)」
時々、戦艦ハルバードの手入れの際に呼ばれてアドバイスをする事はあっても、こんな風に誰かと思いっきり機械について語り合う事は無くて…マホロアはどことなくはしゃいでいた
しばらくしてアップルパイが焼けると、その甘い香りでマホロアは嬉しそうに笑い…
マホロア「アップルパイのイイ香りがするヨォ~!」
そう言いながらアイシェの元に飛んで来て、ぎゅっと抱きしめた
アイシェ「ふふっ、スージーとのお話はいいの?」
マホロア「アイシェとアップルパイの方が大事ダヨォ。」
そう言ってスリスリするマホロアが少しくすぐったいと同時に、とても嬉しくて暖かくて…アイシェも嬉しそうに笑いながら抱き返す
その後ティータイムの準備をして、アップルパイをテーブルに運び丁寧に切り分けて置いたが、スージーは不思議そうに見ていて…
スージー「これは…何かしら?」
マホロア「アップルパイを知らないのカイ?」
スージー「アップルパイ?」
アイシェ「りんごから作られたお菓子だよ。」
マホロア「アイシェのアップルパイは、全宇宙で一番美味しいッテ評判なんダカラ!」
アイシェ「マホロア、気持ちは嬉しいけど評判までは…。」
マホロア「イイんダヨ、いずれはホントに評判になるんダカラ!」
そう言ってマホロアはフォークでサクッとアップルパイを一口サイズに切り、フーッと冷まして頬張り…それを見たスージーも真似をして口に入れた。
スージー「…美味しい!何これ、アイスクリームとはまた違う甘さで…すごく美味しいわ!」
アイシェ「ふふっ、気に入って貰えてよかった!」
スージー「アイシェ、これ商品化しましょう!?全宇宙で一番美味しいアップルパイとして、売れるわよ!」
マホロア「スージー、分かってるジャン!」
アイシェ「えぇっ…でも私は趣味で作る範囲にしておきたいから…ごめんなさい…!」
スージー「まぁ…残念だわ…。」
マホロア「寧ろアイシェのコノ味がいつでも楽しめるのハ、ボクの特権っテ事ダネ!」
スージー「悔しいけど、そういう事ね。」
そんな話をしつつ、穏やかな時間が流れ…結局スージーが帰ったのは夕方だった。
マホロア「フゥ…楽しかったケド疲れたヨォ。」
アイシェ「お疲れ様。」
マホロア「アリガトウ、フフッ…明日もチョット忙しくなるケド楽しみダヨォ!」
アイシェ「明日もスージーと、機械のお話をするんだよね?」
マホロア「ウン、明日は外で2人デ話す事になったんダ。」
アイシェ「(外で2人で…?)ふふっ、楽しめるといいね。」
マホロア「ウン!」
外で2人きりで会う事に少しだけモヤッとしたものの、楽しそうにはしゃぐマホロアにアイシェは優しい笑みを浮かべて彼を送り出す事にした。
次の日…
アイシェ「行ってらっしゃい。」
マホロア「…コンナ風にお見送りしてくれルと、何だか新婚の夫婦みたいダネェ。」
アイシェ「えぇっ!?」
突然そんな事を言うマホロアに、アイシェの頬は真っ赤に染まり…その青い瞳は見開かれて思わず驚いた声が出てしまった。
マホロア「フフッ、ソンナに驚かなくてもイイんダヨォ?行って来るネ、アイシェ。」
優しく笑いながらマホロアはアイシェの頭を撫でて、ちゅっとキスをすると出かけて行き…
アイシェ「…いって…らっしゃい…。」
そんな彼を、アイシェは頬を赤く染めてドキドキしながら見送った。
その後、洗い物や洗濯、掃除を終えて部屋で寛ぎながらドロッチェから貰ったガラス細工を眺めたり、カービィからプレゼントされたマホロアのバルーンを撫でたり…窓から差す暖かいお日様の光を浴びている内に眠ってしまったり…のんびりした時間を過ごした。
結局マホロアが帰って来たのは夕方で…
マホロア「ただいま~アイシェ。」
アイシェ「お帰りなさいマホロア、楽しかった?」
マホロア「疲れたケド、とっても楽しかったヨォ!」
少し疲れているが、嬉しそうな様子のマホロアにアイシェも自然と笑みが零れる
アイシェ「よかった、お風呂沸いてるからゆっくり温まってね。」
マホロア「アリガトウ、アイシェ。フフッ、明日もスージーと機械のトークするカラ楽しみダヨォ。」
アイシェ「えっ…?」
マホロア「スージーは2週間くらいココに滞在するカラ、明日もボクに機械について聞きたいんダッテ。」
アイシェ「…そうなんだね。」
それを聞いたアイシェの心は少しだけぎゅっとしたが…マホロアとスージーの為にも送り出そうと決めた。
次の日、マホロアは朝早くに出かけて行き、アイシェはローアで家事をこなした後にカービィの家へ遊びに行った
カービィ「いらっしゃい、アイシェ!」
いつもと変わらない満面の笑顔で迎えてくれるカービィに、アイシェも安心して笑顔になる
その日はカービィやバンワドと遊び、夕方に帰って来るとじきにマホロアも帰って来た。
アイシェ「お帰りなさい。」
マホロア「ただいま…疲れたヨォ。」
アイシェ「お風呂入っちゃう?」
マホロア「そうダネ。」
今日は疲れた様子のマホロアはカチャカチャとベルトを外して、アイシェはマントを受け取ったが…
ふわっ…マホロアのマントからとても良い香りがして…
アイシェ「(この香り…スージーの…。)」
彼女の香水だと気づいたと同時に、アイシェの心はぎゅっと苦しくなった…。
次の日もマホロアは出かけて行き…アイシェはマルク、タランザと遊んでいた。
マルク「機械について話せるだけで、アイシェをほったらかしてんのかよアイツ。」
アイシェ「そんな事は…。」
タランザ「でもアイシェ、この所マホロアとほとんど一緒に居ないんでしょ?」
アイシェ「うん…でもマホロアとスージーの為だから…。」
そう話すアイシェの伏せられた青い瞳は寂しげで、それを見たマルクは…
マルク「…アイシェ、今夜ボクとタランザ、カービィと一緒に夜空を見に行くのサ!」
アイシェ「えっ?」
タランザ「ちょっ…勝手に決められてるのね!?」
マルク「つべこべ言わずに行くのサ、夜に迎えに行くから待ってるのサ!」
そう言うとマルクは飛び去って行き…
アイシェ「行っちゃった…。」
タランザ「アイシェを元気づけようとしてるけど、やり方が強引なのね…。」
アイシェ「ふふっ、でもマルクらしい。」
タランザ「クフフ、確かに。」
思わず笑ってしまった2人は、その後もお茶をしたりしつつ穏やかに過ごし…
夕方、マホロアが帰って来て伝えたが…
マホロア「ン、イイヨ~。」
マルクと遊ぶ事にやきもちを妬かなくなったが、それだけじゃなくてどこか適当に受け流している様子も見える…しかしアイシェは気にしない様にした。
それにしても、今日のマホロアはいつにも増してご機嫌で…
アイシェ「(マホロア…スージーと一緒の方が楽しいのかな…。)」
ふとそんな不安がアイシェを過り…そんな事を知る由も無いマホロアは続けて話し出し…
マホロア「それよりアイシェ聞いテヨォ〜、今日スージーがすっごい大きなメカを見せてくれたんダヨォ!」
無邪気な笑みで嬉しそうに話すマホロアに、アイシェは心がぎゅっとして…ズキンと痛んだ。
アイシェ「…………………。」
マホロア「アイシェ?」
全く気づいてないマホロアは、返事が無いアイシェに不思議そうに名前を呼ぶと、ハッとして口を開いた
アイシェ「…あ、ごめんねマホロア…よかったね。」
マホロア「ウン、明日も2人デ機械のトークをするんダ、チョー楽しみダヨォ!」
アイシェ「(…また……2人で…。)」
タランザ「…アイシェ、そろそろマルクが迎えに来るから外に行こうね。」
嬉しそうにルンルンしているマホロアに、アイシェは俯いてしまい…見かねたタランザがフォローに入った
アイシェ「うん…行ってきますマホロア。」
マホロア「気をつけてネェ~!」
送り出してくれるマホロアの優しい笑みが、今はとてもつらくて…アイシェは俯いたままタランザと共に外に出た。
To be continued…