小雨の中マホロアはフロラルドへ飛んで行き、到着した頃にはすっかり雨が上がって晴れていた。
タランザ「マホロア!」
マホロア「タランザ、アイシェの様子ハ!?」
タランザ「相変わらず酷い熱で魘されてるの、早く熱を下げないと…!」
アイシェ「はぁ…はぁ…うっ…!」
マホロア「すぐに薬を調合するヨ!」
そう言うとマホロアはタランザからアイシェを受け取り、自身のマントで包んでタランザと共にローアへ戻った。
ローアに着くとマルクが待っていて…
マルク「アイシェ!」
マホロア「酷い熱なんダ…今カラ薬を調合して飲ませるカラ、2人は大王達にアイシェのコトを伝えテ!」
マルク「分かったのサ!」
タランザ「アイシェを頼んだのね!」
2人はローアを出て飛んで行き、マホロアは自分の部屋にアイシェを連れて行くと、濡れた服も下着も取り去って自身のパジャマを着せた
そしてベッドに寝かせると布団を掛けておでこを冷やし、彼女に作って貰った実験用の服に着替えると熱を下げる薬の調合を始めた。
程無くして薬は完成し、マホロアはアイシェの上半身を優しく抱き上げた
マホロア「アイシェ、コノ薬を飲んデ!」
しかしアイシェは魘されていて…
アイシェ「うっ…や…マホロア…マホロア…はぁ…はぁ…!」
マホロア「熱で魘されテル…こうなっタラ…!」
口に少量の薬を含むと、マホロアはアイシェに口づけて飲ませ始めた。
ゴクリ…アイシェが飲み込むのを確認すると、再び少量を口に含んで飲ませて…それを数回繰り返し、全ての量を飲ませた。
一方タランザとマルクはデデデ達に知らせ、とりあえず今日1日は2人だけにして翌日お見舞いに行く事にした。
報告を終えた2人がローアに戻ると、マホロアはアイシェを看病していて…
マルク「マホロア、アイシェの様子はどうなのサ?」
マホロア「薬が効いてきたみたいダネ、徐々に下がってるヨ。」
タランザ「よかったのね…とはいえマホロア、一体何があったの…?」
マホロア「…アイシェと喧嘩したんダ……。」
そう言うとマホロアは事の顛末を話して…
タランザ「お互いにそんな事を言ってしまったのね…。」
マホロア「アイシェに何かあっタラ…ボクハ……ッ……!!」
ぎゅっ…眠るアイシェの手を握って俯くマホロアに、タランザは優しく背中を撫でて口を開いた。
タランザ「2人で話をして謝れば大丈夫、今は看病に専念するのね。」
マホロア「…ウン……。」
この日はマルクとタランザもローアに泊まり、マホロアのサポートをしつつもなるべく2人きりにさせていた
そして翌日…
アイシェ「うっ…マホ…ロア……いや…行かない…で……っ…!!」
マホロア「熱は下がっタノに魘されたまま…どういう事なんダ…!?」
熱は完全に下がっているのにアイシェが目を覚ます事は無く、ずっと魘されて自分の名前を呼んでいて…明らかに様子の違う事にマホロアは怪訝な表情を浮かべていた。
するとタランザとマルクが入ってきて…
タランザ「マホロア、アイシェの熱はどうなのね?」
マホロア「熱は下がったケド、目を覚まさなくテずっと魘されテルんダヨ…。」
マルク「なら起こしてみればいいんじゃねーの?ほらアイシェ、起きるのサ。」
そう言ってマルクはアイシェを優しく揺するが…
アイシェ「やっ…マホロア…いや…ぁ…お願い…連れて行かない…で……!!」
枕の上で首を横に振りながら酷く魘されているアイシェは、全く起きる気配は無い…
マルク「何で…全く起きないのサ!?」
マホロア「まさか…何かの術二かかっテル…?」
そう思いながらマホロアが魔力を集中させて気を張り巡らせるも、何も感知せず…
タランザ「ボクも何も感じないの…一体何が…?」
すると…
アイシェ「うっ…あぁぁ……!!」
マホロア「アイシェ!?」
酷く苦しみ出すアイシェを抱き上げて心配するマホロア…
アイシェ「マホ…ロア…待っ……て…っ…!」
するとアイシェの体が一瞬だけ真っ黒なオーラに包まれて…すぐに消えたと同時に…
パリンッ!!
枕元に置いていたアイシェのリボンから小さな魔法陣が現れ、そのまま壊れて消えた…。
マホロア「守護の魔術が発動しタ…!」
タランザ「マホロア、アイシェはきっと何かに取り憑かれているのね…!」
マルク「カービィ達を呼んでくるのサ!」
ローアを飛び出してマルクはカービィ達を呼びに行き…
タランザ「ひとまず、ボクが抑えておくのね!」
そう言うとタランザは、アイシェの周りに蜘蛛の糸の様に結界を張った。
マホロア「アイシェ…!」
タランザ「何が悪さをしているのかさえ分かれば、すぐに助けにられるのに…!」
歯痒い思いをしつつマルクが戻って来るのを待っていると、しばらくしてカービィ達を連れて戻って来た!
カービィ「マホロア!」
マホロア「カービィ!どうしヨウ…アイシェが…アイシェがボクのせいデ…ッ……!!」
カービィ「落ち着いてマホロア、大丈夫だからね!」
そう言ってぎゅっと自分の手を握るカービィの温もりが伝わってきて、マホロアは落ち着きを取り戻した。
タランザ「アイシェは何かに取り憑かれてるみたいなの…さっき真っ黒なオーラに包まれたのね…!」
デデデ「真っ黒なオーラ…まさかそれは…!」
マホロア「大王、心当たりがアルノ!?」
デデデ「あぁ、それは恐らく「闇の一族」の仕業だ!」
マホロア「闇の一族…カービィが今まで対峙してきた一つ目の邪悪な憑依力を持つ奴等ダネ…!」
バンワド「それがアイシェの体に取り憑いたって事…!?」
アイシェ「っ…あぁぁ…マホ…ロア…!」
カービィ「アイシェ…!」
メタナイト「だがアイシェからは何も邪悪な力は感じない、それに今も魘され続けている…!」
マルク「カービィ、確か昔にナイトメアっていう悪夢が居たって言ってたのサ?」
カービィ「うん、でもあれも滅ぼしたから大丈夫なはずだけど…。」
タランザ「なら、その闇の一族の仕業でアイシェが悪夢を見続けている可能性ならどうなのね?」
カービィ「もしタランザの予想が当たっていたら、アイシェはこのままずっと目覚めずに魘され続けちゃうよ…!」
マホロア「こうなっタラ…アイシェの夢の中に入るしか無さそうダネ。」
バンワド「アイシェの夢の中に?」
メタナイト「そんな事が出来るのか?」
マホロア「ボクとタランザの2人の力を合わせてアイシェの夢の世界を開くんダ、後はマルクの魔法があれば道を作れると思うヨ。」
マルク「それくらい簡単なのサ、ボクに任せるのサ!」
トンッと自分の胸を叩くマルクに、マホロアも頷き…
マホロア「お願い、タランザ。」
タランザ「アイシェの為だもの、協力は惜しまないのね!」
いつでも準備は出来てると言わんばかりに手からバチバチと魔力を出しているタランザを見てマホロアは安心して…最後にカービィ達の前で土下座をした。
カービィ「マホロア!?」
マホロア「こうなったノハ元はと言えばボクの責任…お願いミンナ…アイシェを助けたいんダ…ボクに力を貸しテ!」
そう話すマホロアの体は小さく震えていて…カービィはマホロアの背中をトントンと優しく叩いて口を開いた。
カービィ「マホロア、顔を上げて。」
マホロア「カービィ…!」
ゆっくりと顔を上げると、カービィ達は優しく笑っていて…
カービィ「そんな事しなくていいんだよ、友達だもん!」
バンワド「そうだよ、友達が困ってる時は助け合いだよ!」
デデデ「そうだぞ、何も遠慮すんな。」
メタナイト「其方とアイシェの為ならば、いくらでも力を貸そう。」
マホロア「アッ…アァ…アリガトウ…ミンナ…ッ…グスッ…!!」
泣き出したマホロアとカービィは優しく抱きしめ合い、涙を拭うと準備を始め…
タランザ「大丈夫なのね、マホロア?」
マホロア「ウン、行くヨ!」
2人は魔力を集中させて…それぞれ魔法陣を繰り出して合体させ、アイシェの体を包んだ
するとアイシェの頭上に大きな空間が出来て…キラキラと輝きながら真っ白な光景が見える。
マルク「後はボクの出番なのサ!」
そう言うとマルクは魔法を自身の鉤爪にかけて…そのままアイシェの頭上へ近づくと空間にスッと切り込みを入れて…そのまま鉤爪で左右にグッと開いた!
すると夜空の様な光景が広がっていて…その先にはブラックホールの様な真っ黒な空間が見えていた。
To be continued…