アイシェが目覚めて以降マホロアは一時も傍を離れず、カービィ達もアイシェが目覚めた後に少し話をしてからすぐに帰り、タランザとマルクもローアを後にした
それはマホロアとアイシェを2人にして、じっくりと話をさせる為の気遣いでもあった。
それから数日…アイシェは高熱を出していたのと闇の魔術師に悪夢を見せられた影響で体力が落ちていたが、マホロアの看病の甲斐もあって少しずつ回復してきた
漸く自力で起き上がれる様になり、シャワーを浴びようとベッドから足を下ろして歩こうとしたが…
フラッ…
アイシェ「きゃあっ!」
何日も歩いていないのと、体力が落ちていた事もあって足には力が入らずふらついてしまい…そのままベッドに倒れ込んでしまった!
ちょうどその直後に、食物庫から食材を補給し終えたマホロアが戻ってきて…
マホロア「アイシェ……ッテ大丈夫カイ!?」
驚いたマホロアは、そのままアイシェの元へ急いで駆け寄った。
アイシェ「うん…シャワー浴びたいと思って立ち上がったら、ふらついちゃって…。」
マホロア「無理しないデ、危ないヨ。」
ゆっくりと起き上がってもう一度立とうとしたものの、足元は力が入らずふらついていて…マホロアは大きな手でアイシェを支えつつも、とても心配な様子だ。
アイシェ「ありがとうマホロア、けどもう何日も入れてないし…体を拭くだけよりもちゃんと入りたいの…。」
マホロア「それナラ、ボクが一緒に入ってアゲルヨォ。」
アイシェ「えぇっ!?」
突然そんな事を言い出すものだから、アイシェは驚いて頬を真っ赤に染めた
マホロア「だってそんなにフラフラしてたら危ないヨ。」
アイシェ「そ…そうだけど…。」
マホロア「変なコトは絶対にしないヨォ…綺麗にしてアゲルカラ…ネェ?」
そう言って耳元で熱っぽく囁くマホロアに、アイシェはビクンとしながら更に頬を真っ赤に染めて上半身も力が抜けていく…
アイシェ「マホロア…だめぇ…力抜けちゃう…!」
マホロア「ジャア抱っこしてアゲル。」
そう言うとマホロアはアイシェをひょいと抱き上げて、若干嬉しそうに脱衣所へと向かい始める
アイシェ「ま…マホロアぁ…!」
マホロア「隅々まで洗ってアゲルヨォ。」
実際その言葉は嘘では無く、変な事はせずに丁寧に洗ってくれて…上がってからはドライヤーで髪を乾かしてくれた。
アイシェ「ありがとう、マホロア。」
マホロア「どういたしましテ。」
数日振りのお風呂に心も体もスッキリして、髪もふわふわでいい香りがする
そしてついでだからと一緒に体を洗ったマホロアからも、石鹸のいい香りがしてきた。
その後、マホロアが作ってくれた冷たいアップルティーを飲み干すと…アイシェはベッドの枕元に腰掛けながら窓の外を眺めていて…
マホロア「お散歩でもスル?」
そう声を掛けたが、アイシェはフルフルと首を横に振ってマホロアの顔をじっと見た。
アイシェ「行きたいけど、ちゃんと歩ける様になってからにするよ。」
マホロア「一時的なものダカラ大丈夫ダヨ、回復しタラ一緒にお散歩に行こうネ。」
アイシェ「うん。」
すると、マホロアはベッドに乗ってきて…
ギシ…ベッドは小さく軋んだ音を鳴らし、マホロアはマフラーを下げるとアイシェに正面からしっかりと向き合った。
マホロア「アイシェ…ボク、キミとたくさん話をしたいんダ。モットたくさんアイシェを知りタイ…ボクのコトも知ってもらいタイ。」
アイシェ「マホロア…うん、私も知りたい、知ってもらいたい。」
2人は今までの時間を埋める様に、たくさん話をした…
アイシェがずっと寂しい気持ちを我慢していた事…今回の件を通して、かつてフロラルドの件でマホロアが感じていた寂しさや嫉妬の感情が分かった事…
マホロアが夢中になり過ぎてアイシェを知らずに傷つけてしまっていた事…同じ気持ちだと思ってた故に大切な事を話そうとしていなかった事…
お互いに心にも無い事を言ってしまった事への謝罪…
たくさん話した後に、一番大切な事に触れた。
マホロア「アイシェ、ボクはね…将来キミをお嫁さんに迎えタイと思ってるんダ。」
アイシェ「マホロア…!」
マホロア「アノ時…夢の泉の前デ告白した時カラ、そのつもりで言ってたんダヨ。」
アイシェ「そうなの…?」
マホロア「ウン、デモ…アイシェも同じ気持ちでボクに応えてくれタんだっテ思い込んデ…ソレについてボクがちゃんと話そうとしなかったカラ、結果的に大変なコトになっちゃったんダ…。」
アイシェ「私、前にスージーに聞かれてからずっと不安だったの…もしマホロアが望んでいない事だったらどうしようって知るのが怖くて…。」
マホロア「アイシェ、不安な思いをさせテ本当にゴメンネ…。」
そう言ってマホロアはアイシェをぎゅっと抱きしめた。
アイシェ「マホロア…あったかい……私こそちゃんと相談しなくてごめんなさい…。」
胸に顔を埋めるアイシェの声は震えていて…マホロアはアイシェの頭を撫でると一旦彼女から離れて、再び真っ直ぐ見て口を開いた。
マホロア「アイシェ、ずっと永遠にボクの傍に居テ…いつかボクのお嫁さんになって欲しいヨォ。」
そう話すマホロアの頬は真っ赤に染まっていて、アイシェの頬も真っ赤に染まって熱を帯び、青い瞳からは涙が零れ落ちるがその口元は嬉しそうに笑っていて…
アイシェ「うん、ずっと永遠に一緒に居る…私も同じだよ、マホロアのお嫁さんになりたい。」
マホロア「アイシェ…アイシェ!」
アイシェの涙を優しく拭い、愛おしそうに何度も名前を呼びながらマホロアはアイシェを抱きしめる
アイシェ「マホロア、私とっても嬉しい!」
マホロア「ボクも嬉しいヨォ、いつかッテ言ったケド…モウ今すぐに結婚式を挙げたいくらいにネ!」
アイシェ「ふふっ…気が早いよぉ…。」
そう言って泣きながら笑うアイシェだが、マホロアの黄色い瞳は真剣で…何なら少しギラギラ輝いていて…
マホロア「ボクは本気ダヨ?」
アイシェ「マホロア…!」
マホロア「アイシェさえ良けれバ今すぐ結婚したいヨ、何なら子供だって…ネェ?」
アイシェ「……………!!」
頬は真っ赤に染まり、胸の鼓動は聞こえてしまいそうなくらいに高鳴っていて…真剣な眼差しの彼からもその気持ちが本気であると伝わってくる
マホロア「どうダイ、アイシェ?」
アイシェ「えっと……その…子供…出来るの…かな…。」
マホロア「エッ?」
返事では無くて子供についての疑問が返ってきて、マホロアは予想外の事に黄色い瞳をぱちぱちさせているが、アイシェは心配な様子で…
アイシェ「種族も違うし…その…マホロアがそこまで望んでるかも分からなくて……今までそういう事がたくさんあったけど…もし出来ちゃったらマホロアが困っちゃうかなって不安もあって…最近ずっと拒んでたの…ごめんなさい……。」
とても申し訳無さそうにしているアイシェに、マホロアはこれについてもちゃんと話していなかった事を反省して、おでこにキスをした。
マホロア「コレについてもちゃんと話さないとダメだったヨネ…ゴメンネ、アイシェ…。」
アイシェ「マホロア…。」
マホロア「コノ世界はネ、種族が違くても子供は出来るんダヨ。」
アイシェ「そう…なの…?」
マホロア「ウン。」
アイシェ「嘘じゃないよね…?」
マホロア「こんな大事な話デ、嘘を吐くワケないダロ。」
優しい笑みを浮かべつつ、マホロアは真剣な眼差しのままで…彼が嘘を吐いていない事を確信したアイシェは安心した
アイシェ「よかった…。」
マホロア「アイシェが妊娠しないのハネ…ボクが魔術をかけているカラなんダ。」
アイシェ「他の人に手を出されない様に、私自身にかけている魔術とは違うの?」
マホロア「アイシェに対してはソノ魔術ダケド、ボク自身にもかけているんダヨ。いつかその時が来るまでは解除しないつもりでネ。」
アイシェ「マホロア…そんな事を…!」
マホロア「ボク達の幸せの為だモン、ちゃんと考えてるんダヨ。」
彼がそこまで考えて行動してくれていた…こんなにも真剣に将来の事について考えてくれていた…その事を知れたアイシェの心は嬉しさでいっぱいになり、閉じた目尻からは涙が頬を伝って零れ落ちて…そのまま再びマホロアの胸に顔を埋めた。
To be continued…