小説「夢結ぶ星りんご」(夢幻の歯車編)~夢幻の旅へ!~

翌朝、準備を整えたカービィ達は旅立つ事になったが…

デデデ「船の手配はしておいた、すぐに出発出来るぜ。」

メタナイト「港に着いたら、少し付き合ってくれないか?」

カービィ「何かあるの、メタナイト?」

メタナイト「私の知り合いが居てな、星の歯車についても何か聞いているかもしれない。」

バンワド「整備完了したよー!」

デデデ「よーっし、行くぞ!」

一行を乗せた小型飛行機はしばらく飛んだ後に港町へ到着した。

アイシェ「メタさん、知り合いの方はどこに?」

メタナイト「こっちだ。」

彼に案内されて進むと、路地裏の小さくお洒落な小屋に辿り着いた。

ふわっ…入った瞬間に、コーヒーの香りと共に甘い香りが広がる

すると、奥から人影が見えて…

???「連絡も無しに来るなんて珍しい…どうしたんだ?」

メタナイト「突然だが、其方に聞きたい事があって来たんだ。」

???「オレに?」

メタナイト「星の歯車…という物なのだが、宝物に目がない其方なら何か知っているんじゃないのかと思ってな。」

???「ふっ…流石だな、メタナイト。」

人影とやり取りをするメタナイトを見ているカービィ達だったが…

アイシェ「その声…まさか…!」

マホロア「アイツもコノ世界に居るのカヨォ…。」

驚くアイシェと眉間に皺を寄せてげんなりするマホロア…そんな2人の様子を不思議そうに見ながら人影…ドロッチェが姿を現した!

ドロッチェ「オレを知ってるのか?」

メタナイト「話すと長くなるのだが…」

そう言うと、メタナイトは2人の事情を説明した。

ドロッチェ「なるほどな…それでオレの事も知っていたのか。」

メタナイト「話を戻すが、星の歯車について何か知らないか?」

ドロッチェ「あぁ、噂なら聞いた事があるぜ。そこからオレなりに探りを入れて、地図を入手した。」

そう言うと、ドロッチェは地図を開き…

アイシェ「星の形の泉…カービィが聞いたお話と一致してるね。」

カービィ「うん。」

ドロッチェ「この泉の少し先にある印が付いた場所、ここに星の歯車はある。」

マホロア「つまり、コノ場所さえ見つければイイんダネ?」

ドロッチェ「そういう事だ。だがここは灼熱の砂漠地帯…それ故か、幻を見たという証言も多い。酒や女達…豪華な屋敷…まるで見た者の夢でも叶えるかの様に、様々な幻という名の誘惑に負けて何も得られず命を落とした者もいると聞いている。」

アイシェ「そんな過酷な場所に…。」

不安や恐怖がアイシェを襲い、胸がぎゅっと締めつけられたが…マホロアが抱き寄せて口を開いた。

マホロア「大丈夫ダヨ、ボクが一緒に居ル…ソレにカービィ達もネ。」

アイシェ「マホロア…うん、そうだね。」

カービィ「みんなで力を合わせれば、幻なんて打ち勝てるよ。」

自信満々に言うカービィに、アイシェを含めてみんな思わず笑ってしまう。

デデデ「決まりだな!」

カービィ「その地図の場所に行こう!」

ドロッチェ「その前に…アイシェ。」

アイシェ「えっ?」

ドロッチェ「これから旅に出るのに、その格好は危険だな…オレとメタナイトが服を準備してやろう。」

メタナイト「そうだな、この世界に合う服装の方が良いだろう。」

アイシェ「ありがとうドロッチェ、メタさん。」

2人の案内でアイシェは奥の部屋へ連れて行かれ…

しばらくして…

デデデ「お、来たな。」

先に気づいたデデデの声でマホロア達も振り向くと…

そこにはこの世界の服装に身を包んだアイシェが居た。

パフスリーブに胸元とスカート部分の裾がフリル状になった、淡いシフォンベージュのワンピース

そのワンピースを包む様にアンダーベストコルセットを着て、腰に黄色い星ボタンが付いた小さなポーチ

足は茶色い編み上げブーツを履いていて、左耳に結んでいたリボンは後ろ向きにして首元に結び、歯車型の通信機チャームはチョーカーの様になっている。

アイシェ「どうかな…?」

恥ずかしそうに少しモジモジしつつ尋ねるアイシェだが、マホロアを含む全員が優しい笑みを浮かべている

マホロア「チョー可愛いヨォ、アイシェ!」

カービィ「うん、すっごく似合ってる!」

バンワド「素敵だよ!」

デデデ「あぁ、いいと思うぜ。」

アイシェ「ありがとう…!」

ドロッチェ「気に入って貰えたみたいだな。」

アイシェ「うん、ありがとう…あ、ちゃんと洗って返すからね。」

そう言ったアイシェだが、ドロッチェとメタナイトは優しい笑みを浮かべたままで…

メタナイト「いや、そのまま髪飾りと共に受け取って欲しい。」

アイシェ「えぇっ…でも…!」

ドロッチェ「オレとメタナイトからのプレゼントだ、アイシェさえよければ受け取ってくれないか?」

アイシェ「2人共…本当にありがとう!」

頬を真っ赤に染めつつも、とても嬉しそうに感謝するアイシェに、2人も嬉しそうに笑う。

しかし…マホロアはふとアイシェの髪型が少し変わっている事に気がついた。

下ろしていた髪は左右で少し三つ編みにして、後ろで緩く纏めて青い薔薇の形をしたバレッタで留めていた

マホロア「アレ、アイシェ…髪を結ったのカイ?」

アイシェ「あ、これはね…ドロッチェが結ってくれたの。」

マホロア「ハァァァァーーー!?何ボクの大切なアイシェの綺麗な髪に触れてるんダヨォ!」

アイシェ「ま、マホロア!?」

ドロッチェ「アイシェの髪はとても柔らかくて美しい、主が美しいから髪も美しいんだな。」

そう言いながら、ドロッチェはアイシェの右手をそっと取り、手の甲にキスをした。

アイシェ「ドロッチェ…!」

マホロア「チョット!何してるんダヨ!!」

目をつり上げて怒るマホロアに対し、ドロッチェは全く気にしている様子は無く…

ドロッチェ「何って…挨拶だが?」

マホロア「他の方法でイイダロ!いちいちキザなんダヨォ!!」

アイシェ「マホロア、落ち着いて…!」

湯気を出して怒るマホロアを必死に宥めるアイシェ…しばらくギャアギャアと騒いでいたが、ようやく落ち着いた所で全員は船に乗り込み、港を出発した。

To be continued…