小説「夢結ぶ星りんご」(夢幻の歯車編)~安らぎの子守歌(鎮魂歌)~

オーラを纏うマホロアは、再び魔力球やレボリューションフレイムで反撃していく!

マホロアソウル「グゥゥ…グオォォォォォーーーーー!!」

攻撃を受けたマホロアソウルは大きく体勢を崩したが、すぐに立て直すと悍ましい叫び声を上げた!

そして両手を目の前で回して左右に振り払った直後、2つのブラックホールが出現して周りの宝石や本を吸い込んでいく!

マホロア「アイシェ!」

すかさずマホロアはバリアの中に入ってアイシェを抱きしめ、そのまま異空間バニシュでかわした!

バリアはパリンと音を立てて壊れてしまったが、ブラックホールが消えたのを確認して姿を現したマホロアは、アイシェを再びバリアで包んで反撃をしていく!

マホロアソウルの攻撃も変わり、砂で出来た2つの竜巻を交互に撃つ「デザートハリケーン」や巨大な青い火の玉を撃ち出して地を焼き尽くす「打ち上げファイア」、その後に極太のレーザーで薙ぎ払う「フルチャージブラスター」とその攻撃も強力なものばかり

他にも「ミラクルビーム」や「ドラゴストーム」等のカービィが使っていたスーパーコピー能力の技や、空間を一時的に歪めて上下を反転させる「リバースワールド」の後に放たれる「ギガトンスノーハンマー」の攻撃も強力で、マホロアもギリギリをかわしつつ反撃の手を休めない!

アイシェ「(マホロアソウルはかなり体力を消耗してる…このまま押し切れれば…!)」

マホロアソウル「カァ…ビ……カービィ!!」

悍ましい声で再び叫ぶと、マホロアソウルは2本の「ウルトラソード」を持ってマホロアを薙ぎ倒そうとして来る!

マホロア「己の欲に溺れ友達を利用シテ、魂を啜られる…愚かな別世界のマホロアは、ボクが後始末してヤルヨ!!」

そう言うと、マホロアも自身のウルトラソードを出現させて…マホロアソウルに斬りかかった!

ガキンッ!!

大きな音を響かせ、ウルトラソード同士がぶつかり合う!

マホロアソウルの力は強く、マホロアはどんどん押されていくが…

アイシェ「負けないで、マホロア!!」

バリアの中から叫ぶアイシェの声は大きな力になり、マホロアは徐々に押し返していく!

マホロアソウル「カービィ…カァ…ビ…!」

マホロア「ボクには愛する人が居る…大切な友達モ居る…ダカラ負けナイ、絶対に負けナイヨ!!」

グググググ…

マホロアのウルトラソードがマホロアソウルの2本のウルトラソードをどんどん押し返していき…

ビキ…バキバキ…!!マホロアソウルのウルトラソードに亀裂が入り、どんどん崩れていく。

そしてついに…マホロアのウルトラソードが、マスタークラウンごとマホロアソウルの体を貫いた!

マホロアソウル「グ…グググググ…カァーーービィーーー!!」

青緑の炎に包まれるとマスタークラウンは粉々になり消滅して、炎が消えるとカービィの名前を叫びながらマホロアソウルは地面に落ちて…緑の手を微かに動かして持ち上げている

マホロアはバリアを解除したが、アイシェはゆっくりとマホロアソウルの傍に歩いて行った。

マホロア「アイシェ!」

驚いたマホロアはアイシェの傍に行ったが、アイシェは首を横に振り…

アイシェ「大丈夫、マホロアソウルはもう動けないから…。」

そう言うと、アイシェはマホロアソウルの手をそっと握った。

マホロアソウル「カービィ…ボク……」

最期を悟ったマホロアソウルがそう呟くと、アイシェは手を握ったまま優しい眼差しで見つめて口を開いた。

アイシェ「カービィはね、どんな姿になっても…貴方の事を友達として大切に思ってるよ。」

マホロアソウル「トモ…ダチ…?」

アイシェ「うん、友達。」

マホロアソウル「カービィ…ボクヲ…怒ッテル…?」

アイシェ「怒ってないよ、カービィはいつだってマホロアの事を心配してるもの。」

マホロアソウル「ネェ…別世界ノボク…カービィト…本当ノ…トモダチ…ニ…ナレタノ…?」

マホロア「なれたヨ、カービィやバンワド、大王やメタナイトもミンナ大切な友達ダ。」

マホロアソウル「ソウ…ナンダ…ヨカッタ……ボク…モ…ソウナリタカッタ…ナァ……。」

元に戻った白い瞳は虚ろで、目玉の消えた口は震えていて…アイシェは手を握りつつも寄り添った。

アイシェ「カービィの気持ちが今こうして届いたからもう大丈夫、貴方もカービィと友達になれたよ。」

マホロアソウル「ヨカッタ…嬉シイ…ヨォ………安心シタラ…眠くナッテキチャッタ………昔…カービィ…ガ…歌ッテクレタ子守歌…酷カッタ…ナァ…。」

アイシェ「…私が歌ってあげる。」

そう言うと、アイシェはゆっくりと「雲の夢」を口ずさんだ。

優しい歌声はマホロアソウルの体に響いて暖かく包み…

カービィ『マホロア!』

彼の脳裏に、カービィが満面の笑みで自分を呼び、手を差し伸べる姿が浮かんだ。

マホロアソウル「カービィ…………アリ…ガトウ……アイ…シェ……。」

消え入る声でそう言うと…マホロアソウルは光に包まれて…右手…左手…そして最後は体が小さな煌めく光になって消えた。

マホロア「(アイシェ…キミは別世界のボクまで救ってくれたんダ…。)」

そう思いながら、マホロアはアイシェを強く抱きしめた。

アイシェ「マホロア…。」

マホロア「アイシェ…ありがトウ。」

頬を伝って零れ落ちるアイシェの涙を拭い、マホロアは両手で優しく顔を挟んで何度も口づけた。

口を離すとアイシェの頬は赤く染まり、安心した表情で見ていて…

アイシェ「私こそありがとうマホロア…合言葉があったからこそ惑わされなかったの。」

マホロア「どれダケ似せテきても、合言葉の「アップルパイ」までは気づかなかったみたいダネ。」

アイシェ「うん。……マホロア…。」

マホロア「どうしたノ?」

アイシェ「ベストがボロボロになっちゃった…。」

彼女の言う通り、ベストのベルトが引き千切られてビリビリに破れていて…落ち込むアイシェを見たマホロアは優しく抱きしめた。

マホロア「きっと外套はカービィ達の所に残ってるカラ羽織ろうネ、ベルト部分は後でボクが直してアゲルヨ。」

アイシェ「うん。」

慰めてくれるマホロアの胸に顔を埋めるアイシェ…すると、再び光に包まれて…目を開けると、そこは休憩していたオアシスだった。

カービィ「アイシェ、マホロア!」

バンワド「よかった…無事だったんだね!」

アイシェ「カービィ、バンワドくん!」

マホロア「戻って来れタみたいダネ。」

デデデ「アイシェ、どうしたんだその格好!?」

アイシェ「それが…」

事の顛末を話すと、カービィ達はとても驚いていて…

メタナイト「そんな危険な事になっていたのか…無事でよかったアイシェ…。」

ドロッチェ「とはいえ、この砂漠を越えるには熱砂がキツイな…。」

マホロア「外套はココに残されてたヨネ?」

バンワド「うん、2人が消えた場所に落ちてたよ。」

マホロア「とりあえず砂漠を越えるマデは、コレで凌ぐヨ。」

そう言ってマホロアがアイシェに外套を着せ、自身も羽織った直後…

パアァァァ…!!

再び光が一行を襲い…そのまま包み込んで飛んで行った!

To be continued…