楽しい旅行も終わり、ポップスターへ帰る日が近づいていた。
後からマホロアが確認するとどうやら元の世界とは時間の流れが違う様で、1ヶ月近い冒険だった星の歯車の件もこちらの世界では1週間しか経過していなかった。
予定より少し遅れた帰還になったが、カービィ達の事だからいつも通りの笑顔で迎えてくれるだろう…マホロアはそう思い、何も心配はしていなかった。
アイシェ「みんなへのお土産も買えたし、これで大丈夫かな。」
マホロア「カービィ達はともかく、マルクにマデ準備する必要なんて無かったノニ。」
マルクへ何を買うか決める時、マホロアが眉間に皺を寄せて心底嫌な顔をして渋ったのを、アイシェが説得したのだった。
アイシェ「またそんな事言って…。」
マホロア「あのピエロにはお菓子の包み紙デモぶつけておけばイイヨォ~。」
アイシェ「マホロア…!」
マホロア「それよりアイシェ、もうすぐミルキーロードに入るヨォ。」
アイシェ「…マホロア、はぐらかしてない?」
マホロア「そんなコトないヨ~、アイシェはホント~に優しいネェ。」
アイシェ「もう…マホロアったら…。」
そう言ってアイシェの頬にキスをすると、嬉しそうにはにかみつつも、やっぱりマホロアのペースに飲まれてしまうのだった。
その後ローアはミルキーロードに入り、メックアイやケビオス、スカイハイ等の星々の横を通過しながらゆっくり進んでいく
マホロア「ポップスターはもうすぐ夜ダカラ、今夜は近くの星で休んで行こうヨ。」
アイシェ「どこの星で休むの?」
マホロア「ココからだと、前にミンナでお花見に行ったフロリアが一番近いカラ、そこにするヨ。せっかくダカラ温泉にも浸かろうヨォ。」
アイシェ「うん。」
2人が楽しく会話している間にもローアはフロリアに近づいて行き、ゆっくりと降り立った。
マホロア「お疲れ様ダヨォ~ローア、今夜はゆっくり休んデネ。」
ローアから降りて優しく船体を撫でると、ローアは返事をしている様にゆっくりとオールを動かした。
アイシェ「わぁっ、桜が綺麗!」
目の前には夜桜が広がり、ヒラヒラと花弁が舞っていて…アイシェはクルクル回りながらはしゃいでいる。
そんな彼女の様子をマホロアは穏やかな表情で見ていて…一旦ローアに戻ってタオルを持って来ると、はしゃいでいるアイシェの頭を優しくポンポンした。
マホロア「サァ、温泉に行コウ。」
アイシェ「うん。」
咲き誇る夜桜を眺めながら温泉へ向かい…
マホロア「ゆっくり浸かってネェ~。」
アイシェ「うん、マホロアもね。」
2人は温泉の前で別れ、それぞれ服を脱いでゆっくりと温泉に浸かった。
マホロア「ハァ…温かいヨォ。」
舞っている桜の花弁や夜空を眺めつつ、マホロアはホッと溜息を吐いた。
アイシェとの初めての旅行…途中でとんでもないトラブルに巻き込まれたが、結果的にそれも含めていい思い出になった
帰ったら何をしようか…まずはカービィ達にお土産を渡して、旅行の土産話をして、テーマパークの案を練って…何よりアイシェとの幸せで穏やかな日々を過ごせるのが、マホロアにとっては何よりもの楽しみだった。
一方のアイシェも、温泉に浸かりながら浮かんでいる桜の花弁を手で掬って遊んでいた
アイシェ「ふふっ、綺麗。」
温かいお湯は疲れを癒やしてくれて、リラックスさせてくれる。
すると…
マホロア「アイシェー。」
アイシェ「マホロア?」
岩の向こうからマホロアの声が聞こえてきて、アイシェが返事をすると…
マホロア「温まってるカイ?」
アイシェ「うん、マホロアは?」
マホロア「ボクも温まってるヨォ。」
アイシェ「ふふっ、よかった。」
マホロア「…アイシェ……そっちに行ってもイイ…?」
アイシェ「えっ…?」
マホロア「変な意味は無いヨォ!タダ…アイシェと一緒にコノ景色を見なガラ浸かりタイ…傍に居たいんダ…。」
アイシェ「…うん、いいよ。」
岩の向こうで頬を真っ赤に染めながら言うマホロアに、アイシェも頬を赤く染めつつ返事をした。
マホロア「ありがトウ、今そっちに行くネ。」
そう言うとマホロアは、ゆっくりと浮きながらアイシェの居る方へやって来て隣に浸かった。
アイシェ「マホロア…。」
マホロア「アイシェ…。」
2人で見つめ合い、アイシェは頬を真っ赤に染めつつゆっくりと目を閉じて…マホロアも目を閉じると優しく甘いキスをした。
その後は2人でゆっくり浸かりながら景色を堪能し、ローアに戻ってから晩ご飯を食べて、ふかふかのベッドでぐっすりと眠った。
翌日…朝ご飯を食べ終えるとマホロアはローアのパネルを操作して、行き先をポップスターと入力して決定ボタンを押した。
ローアはゆっくりと浮き上がるとフロリアを後にして、ポップスターへどんどん近づいて行く。
アイシェ「ポップスターが見えてきたね。」
マホロア「もうじき着くヨォ。」
2人がお土産の準備をしている間に、ローアはポップスターへ到着し…ゆっくりといつもの場所に降り立った。
そして2人がお土産を持ってローアから降りてくると…
カービィ「アイシェ、マホロア!」
バンワド「お帰りー!」
早速カービィとバンワドが走ってきて出迎えてくれて、遅れてデデデとメタナイトも来た。
アイシェ「カービィ、バンワドくん、大王さま…メタさん…!」
マホロア「今度こそ元の世界のミンナダネェ…!」
元の世界のカービィ達を見て、2人は安心から泣きそうになる。
デデデ「おいおい、どうしたんだよ。」
メタナイト「元の世界の私達とはどういう事だ?」
マホロア「後でゆっくり話すヨォ、ハイお土産!」
目に溜まった涙を拭うと、マホロアはカービィ達にお土産のお菓子を渡した。
カービィ「わぁ~美味しそう!」
バンワド「後でみんなで食べようよ。」
メタナイト「そうだな、2人の土産話も楽しみだ。」
デデデ「そういや、マルクとタランザはどうした?さっきまで一緒に居たんだが…。」
すると…
タランザ「だからボクはこの後ワールドツリーのお世話をするの!マルクのイタズラに付き合ってる暇はないのね!」
マルク「そんなの後でいいのサ!」
タランザ「そうはいかないのね!」
ギャアギャア騒ぎながらマルクは玉乗りしながら歩き、タランザはふわふわ浮きながら2人でやって来た。
アイシェ「マルク、タランザ…!」
マホロア「ウルセーのが来たヨォ…。」
喜ぶアイシェに対してマホロアは溜息を吐いているが、どことなく嬉しそうな様子だ
マルク「あれ、帰って来てたのサ?」
タランザ「お帰りなのね、旅行は楽しかった?」
しかしアイシェは無言のまま、2人の顔をじっと見ていて…
マルク「どうしたのサ?それよりもお土産をさっさと寄越すのサ。」
ポンポンと軽やかなステップを踏みながら、玉乗りをして催促するマルクに、アイシェの頬を伝って涙が零れ落ちて…
アイシェ「マルク…マルクぅ……!!」
安心と嬉しさのあまり、アイシェはピョンと跳ねてマルクに抱きついて…
マルク「ちょっ…アイシェ、落ちるのサ!」
ドシーンッ!!
アイシェに抱きつかれた事で、マルクはバランスを崩して落ちてしまった。
アイシェ「ぐすっ…ごめんなさい…!」
マルク「全く…何があったのサ?」
煌めきの翼を出して抱きしめつつ、鉤爪でアイシェの頭を優しく撫でるマルクだったが…
マホロア「フザけんなクソピエロ、サッサと離れろヨォ!」
やきもちを妬いたマホロアがマルクを押し退けてアイシェを抱きしめ…
マルク「何するのサ!」
マホロア「ボクの可愛いアイシェにベタベタ触れるなヨォ!」
マルク「お前帰って来て早々にそれかよ!」
マホロア「ハイハイ、お土産ヤルから食っとけヨ!」
そう言うとマホロアはマルクの頬にお土産のチョコレートの箱をグイグイと押しつけた。
マルク「ちょっ…やめろイカサマタマゴ!」
タランザ「2人共、やめるのね!」
ギャアギャアと騒ぎながら喧嘩を始めるマホロアとマルク、それを止めるタランザ…
カービィ「もー喧嘩してないで、みんなでお菓子食べようよ。」
いつもの様にニコニコ笑顔で誘うカービィの姿…それらはいつもの光景で、アイシェからは笑みが零れた
プププランドは、今日もとっても平和である。
To be continued…