しばらくして…疲れたマホロアはウルトラソードを消して、その場にゆっくりと降りた。
マルク「もう終わりなのサ?」
マホロア「ゼェ…ゼェ……どうシテ…コンナ奴にクッキー渡してるんダヨォ…!」
マルク「お前、今日が何の日か知らないのサ?」
マホロア「…エッ?」
マルク「バレンタインなのサ。」
マホロア「バレンタイン……アァーーーッ!!」
漸く気づいたマホロアは驚いた顔をして、頬はボンッと赤くなった。
マルク「アイシェから去年もこうやって貰ったのサ、だから今年も貰ったのサ。」
マホロア「ソ…ソンナ……ボクが初めてジャ無かったノォ!?」
マルク「はぁ?お前何言ってるのサ?」
マホロア「アイシェがミンナにチョコを渡してたなんテ……初めてのチョコはボクが欲しかったヨォォ…!」
そう言って草むらに突っ伏して嘆いているマホロアに、マルクは呆れた顔をして口を開いた。
マルク「いや、チョコじゃなくてクッキーなのサ。それにボクらが貰ってるのは義理だし、本命はお前が初めてなんだから関係ないのサ。」
するとどうだろう…嘆いていたマホロアは一転してガバッと起き上がり、黄色い瞳をキラキラ輝かせている。
マホロア「というコトは…ボクが帰っタラ、アイシェはボクに本命のチョコをくれるんダネェ!?」
マルク「まぁ、普通に考えりゃそうだろうな。」
マホロア「イヤ、待てヨ……もしかしタラ…!」
アイシェ『マホロア、チョコは私だよ。』
マホロア『エェ…それっテつまり…?』
アイシェ『私を食べて、マホロア…。』
そう言ってアイシェはマホロアの目の前でゆっくりと服のボタンを外していって…
マホロア「ワァァ~アイシェっタラ、大胆なんダカラァ!デモ…アイシェがそう言ってくれるナラ、ボクもしっかり応えないとネェ!」
マルク「気持ちわりー妄想すんな、ドスケベ魔術師。(コイツほんと都合が良くて、アイシェが心配になってくるのサ…。)」
1人で都合の良い妄想を繰り広げているマホロアを、マルクはクッキーを囓りつつ冷めた目で見ていた…。
その後…マホロアがルンルン気分でローアに戻ると、アイシェが満面の笑みで迎えてくれた。
アイシェ「お帰りなさい、マホロア。」
マホロア「ただいま~アイシェ!」
いつ自分の前で脱いでくれるのだろうと期待するマホロアだが、アイシェはそんな素振りは全く無く…
アイシェ「マホロア、ちょっと待っててね。」
そう言うと、パタパタと台所へ向かって行った。
マホロア「ウン、待ってるヨォ~!(ドコカラ味見しようカナァ~?)」
楽しみにしながらマホロアが待っていると、アイシェが戻って来た。
アイシェ「マホロア……ふふっ。」
マホロア「ンン~どうしタノ?」
両手を後ろに回して、頬を少し赤く染めながらモジモジするアイシェが可愛くて仕方が無いマホロアだが、焦る気持ちを抑えて優しく尋ねた
アイシェ「はい、どうぞ。」
そう言ってアイシェが両手でそっと差し出したのは、自分と同じ青と黄色のリボンでラッピングされた小さな箱。
マホロア「開けてイイ?」
アイシェ「うん。」
そっとリボンを解き、丁寧に包装を外しながら蓋を開けると…そこには自分の形をしたチョコと、周りを囲う様に、3色の小さなハートのチョコが詰められていた。
マホロア「アイシェ…コレ…!」
アイシェ「バレンタインのチョコ…マホロアの為に作ったの。」
頬を赤く染めて笑うアイシェが可愛く愛おしくて…マホロアは言葉よりも先に強く抱きしめていた。
マホロア「アリガトウ、アイシェ…嬉しい…ボクすっごく嬉しいヨォ!」
アイシェ「ふふっ、どういたしまして。」
マホロア「食べてイイ?」
アイシェ「うん。」
ソファにアイシェと共に座り、まずはハートの形をしたミルクチョコを口にすると甘い香りが広がり…ビターチョコやストロベリーチョコも口に運んでいく。
マホロア「甘くテ美味しいヨォ!」
アイシェ「ふふっ、よかった。」
マホロア「どれもホントに美味しいヨ、アイシェにも食べさせてアゲルネ。」
アイシェ「ありがとうマホロア、頂きます。」
マホロアが持ったチョコを食べさせて貰うと、甘い香りが口内に広がる。
マホロア「アイシェが心を込めテ作ってくれタ、ボクの形のチョコ…しっかり味わっテ食べないトネ。」
割れない様にそっと持って、耳をパクッと咥えると…パキッと割れてミルクチョコと中に入っていたホワイトチョコが口内に広がった。
アイシェ「ふふっ、可愛く作れたんだよ。」
マホロア「ウン、すっごく可愛くて上手ダヨォ。」
丁寧に味わって食べていったマホロアは、時間をかけて全て平らげた。
アイシェ「マホロアにチョコを作ったの始めてで…ドキドキしたけど喜んで貰えて本当によかった。」
マホロア「アイシェの本命チョコ…ボクが初めてなんダネ?」
アイシェ「うん、もちろんだよ。」
マホロア「フフッ、アイシェの初めてヲまた貰っちゃっタ。」
アイシェ「もう…マホロアったら。」
お互いに頬を真っ赤に染めて笑い合い…ぎゅっと抱きしめ合った後に優しくキスを交わした。
マホロア「ボクもお礼をアゲル。」
アイシェ「えっ?」
マホロア「チョット待っててネ。」
そう言うとマホロアは台所に向かって何かを準備し始め…しばらくして、マグカップに温かいココアを入れて戻って来た。
アイシェ「わぁ…いい香り。」
マホロア「フフッ、普通のココアじゃないヨ?」
アイシェ「えっ?…あっ!」
ココアにはマシュマロが浮いていて…アイシェの瞳はキラキラと輝いた。
マホロア「マシュマロココアって言うんダ…サァ、ドウゾ。」
アイシェ「ありがとうマホロア、頂きます。」
そっとマグカップを持って口にすると、ココアと溶けたマシュマロの甘さが口内に広がり幸せな気持ちになれる。
マホロア「ボクとっても幸せダヨ、アイシェ。」
アイシェ「うん、私も幸せだよマホロア。」
マホロアが再びソファに座ると…2人はそっと寄り添い、お互いの温もりと幸せを感じた。
To be continued…