雪が溶けて木々が芽吹き始め、徐々に春の報せが届き始めたプププランド。
アイシェは部屋で小さなぬいぐるみを縫っていた。
茶色い布に黄色い糸で刺繍をして、他の色の布も合わせながら綿を詰めてタマゴ型に縫っていく…
すると、マホロアが部屋に入って来た。
マホロア「アイシェ、何してるんダイ?」
アイシェ「ぬいぐるみを縫ってるの。」
マホロア「コレはもしかしテ…ボク?」
アイシェ「うん。」
マホロア「ワァ~既に可愛いヨォ!」
アイシェ「ふふっ、もう少しで完成するよ。」
マホロア「アイシェ…このまま見ててイイ?」
アイシェ「うん、いいよ。」
マホロア「ありがトウ。」
アイシェ「どういたしまして。」
優しい笑みを向けると、アイシェは再び丁寧に縫い始め…マホロアは傍でうつ伏せになりながら両手で頬杖をしながらじっと見守り…しばらくして、ついに完成した。
マホロア「完成したんダネ?」
アイシェ「うん、どうかなマホロア?」
マホロア「ボクと一緒デ、すっごく可愛いヨォ!」
アイシェ「…ふふっ、ありがとう。」
自分の可愛さを自覚している節があるマホロアは、ぬいぐるみのクオリティに関しても自分と同じくらいと喜んでいて…アイシェはそんな彼の発言に思わず笑ってしまう。
マホロア「ンン~何が可笑しいノ?」
アイシェ「だって…マホロアがちょっとだけナルシストなんだもん。」
マホロア「コンナにキュートな魔術師は、そう居ないデショ?」
アイシェ「うん。」
マホロア「もちろん、アイシェもチョー可愛いヨォ!」
アイシェ「ふふっ、ありがとうマホロア。」
マホロア「どういたしましテ、大好きダヨォ~アイシェ。」
アイシェ「私も大好きだよ、マホロア。」
完成したマホロアのぬいぐるみをベッドの傍に置き、その後はお茶をしたりお散歩をして穏やかな1日を過ごした。
それから数日後…アイシェはピアノで雲の夢を演奏して、マホロアは床に置かれたクッションに顔を乗せながら聴き入っていた。
マホロア「アイシェの演奏はホント綺麗デ、癒やされるヨォ。」
アイシェ「ありがとう、マホロア。」
しばらく演奏した後に、ピアノを閉じたアイシェだが…カレンダーを見たままじっと立ち尽くしている。
マホロア「どうしたノ?」
アイシェ「マホロア、今日…何の日か覚えてる?」
マホロア「エッ?今日……アッ!」
アイシェ「うん、マホロアが帰って来た日。」
マホロア「それダケジャナイ…カービィ達と仲直りシテ、アイシェと恋人同士になった日デモあるんダヨ。」
アイシェ「ふふっ…うん、そうだね。」
起き上がって後ろからそっと抱きしめるマホロアに、安心して身を預けるアイシェ…穏やかで心地良い時間が流れている。
マホロア「今夜はお祝いしようヨ、ボク達が恋人になっテ1年の記念をネ。」
アイシェ「うん。」
約束をした後、2人で散歩をしていると…
マルク「ヘイヘーイ、今日も2人で散歩なのサ?」
マホロア「見りゃ分かんダロ、ボク達の邪魔しない様にサッサとどっか行けヨォ。」
アイシェ「マホロア、そんな事言わないで…。」
マルク「なら邪魔してやるのサ。」
マホロア「邪魔すんなっテ言ったばかりダロ!」
マルク「どうするかはボクが決めるのサ~。」
マホロア「フザけんナこのクソピエロ!」
アイシェ「やめて2人共…!」
ちょっかいを出すマルクにビキビキするマホロア、それを止めるアイシェはいつもの光景で…
カービィ「あ、マホロア、アイシェー!」
デデデ「一緒に遊ぼうぜ!」
バンワド「みんなでかくれんぼしよう!」
アイシェ「うん!」
マホロア「今行くヨォ~!」
マルク「キシシ、面白くなりそうなのサ!」
声を掛けてきたカービィ、バンワド、デデデと遊び、傍の木ではメタナイトが読書をしながら優しく見守り、お散歩を終えてからは…
タランザ「アイシェが育ててるお花、段々と成長してきたのね。」
アイシェ「ふふっ、どんな色のお花が咲くのか楽しみ。」
ローアに遊びに来たタランザと一緒にお花のお世話をして、平和な1日が過ぎた。
夕方…
マホロア「スープは出来たヨォ。」
アイシェ「サラダも出来たから、後はこれだけだね。」
台所で仲良く会話をしながら料理をする2人…程無くして完成した料理がテーブルに運ばれ、グリルチキンのマキシムトマトソースがけ、温野菜サラダ、コーンスープ…マホロアとアイシェの好物が並んでいく。
マホロア「2人デ作ったご飯、今日モすごく美味しソウダネェ。」
アイシェ「ふふっ、うん。」
マホロア「早速食べようヨォ、アイシェ!」
アイシェ「ふふっ…マホロア子供みたい。」
嬉しそうにはしゃぐマホロアはまるで子供みたいで、アイシェは思わず笑ってしまう。
マホロア「ンン~どういう意味ダヨォ?」
アイシェ「可愛いなぁって思ったの。」
マホロア「ムム…ソンナ風に揶揄っちゃうアイシェは…こうしチャウヨォ!」
そう言うと、マホロアはアイシェをぎゅっと抱きしめて頬ずりした。
アイシェ「きゃっ!ふふっ、柔らか~い!」
頬ずりする度にマホロアの柔らかい頬の感触が伝わり、アイシェは嬉しそうにしている。
マホロア「ボクは子供ジャないヨォ?」
そう言うとマホロアはアイシェに不意打ちでちゅっとキスをすれば…その頬は真っ赤に染まった。
アイシェ「うん、マホロアは素敵な大人の男性だよ。」
はにかみつつもそう言うアイシェに、マホロアは優しい笑みを浮かべて再び優しくキスをした。
マホロア「アイシェ…ボクの帰りをずっと待っててくれテ、ありがトウ。」
お礼を言うマホロアの瞳は真剣で、その言葉には1年前の再会までずっと待ち続けてくれたアイシェへの心からの感謝が込められていた。
アイシェ「うん、私こそ…ずっと想ってくれて…帰って来てくれてありがとう、マホロア。」
マホロア「コレからもずっと…ずっと一緒に色んなコトをしようネ。」
アイシェ「うん、約束だよ。」
マホロア「もちろん、約束するヨ。」
そっと手袋を脱いだマホロアの小指と、アイシェの小指が絡み合い…指切りげんまんをして、再びぎゅっと抱きしめ合ってキスをした。
アイシェ「マホロア。」
マホロア「アイシェ。」
2人「愛してる。」
お互いの気持ちを伝え合い、席に着くと食事を始め…
今日は特別な日だからとマホロアが用意したワイングラスに水を注いで、小さくぶつけて乾杯をした。
食事の後もソファで寛いだ後にお風呂に入り、今となっては2人でお互いの部屋を交互に使いながら一緒に眠る様になり…今夜はマホロアの部屋で抱きしめ合って眠りについた。
これからも平和で幸せな時間が続きます様に…明日もきっと素敵な1日になる。
楽しみにしながら夢の世界を楽しむ2人をローアの温かく優しい風が撫で、外では月と星が輝いていた。
………………………………
ポップスターから遙か彼方にある不気味な星…明らかに人工的に作られたその星で、怪しい影が動く
???「儀式の準備がもうすぐ整いますぅ~。貴方達、後は分かりますねぇ~?」」
真っ白なローブと衣装に身を包んだ男が、禍々しい光を放つ「何か」を見ながらそう話すと…奥の暗闇から黒い衣装に身を包んだ3人の人物が姿を現した。
???「はい。」
???「お任せを。」
???「全ては貴方様のご命令のままに。」
氷の様な青い髪、炎の様な赤い髪、雷の様な黄色い髪の3人は男の前に跪き、そのまま暗闇に姿を消した。
夢結ぶ星りんご~Fin~
海賊ダイルです。小説を読んで頂いた皆様、本当にありがとうございます!
小説「夢結ぶ星りんご」はこれにて完結しました!
マホロアが元の世界に戻って来て、アイシェと恋人同士になった直後から始まった今回の物語、生前のアイシェが知らなかったトリデラ編のお話やロボボ編のお話…アートワークスで登場した夢幻の歯車も盛り込みつつ、時には衝突しながらも仲直りして絆を深めていくお話にしました。
また、ロボボ編の次のシリーズではアイシェとマホロアが最大の危機を迎え、後のWiiのマホロアとも言われている没キャラ(通称:没さん)を入れる事で2人の絆を引き裂き、ポップスターを静かに支配しようと企んでいた…という感じにお話に入れ、最後はカービィ達の力を借りてそれらも乗り越えてより絆は深まり、将来の約束も果たしました。
作中で様々な体験をしながらカービィ達とも色んな事をして…あんなに仲が悪かったマホロアとマルクの関係も少しずつ良好になってきて、新たにタランザも加わり更に賑やかになり…時々騒がしくありつつも、平和で穏やかな日々を送るマホロアは幸せを感じていたんじゃないかなって思ってます。
今回の物語はここで終わりです、最後に不穏な気配がありますが…こちらは次のシリーズにて続いていきます!
ここまで読んで頂き、ありがとうございました!
新しく始まる物語「星夢煌めくpomme d’amour」(ポム・ダムール:直訳はフランス語で愛のりんご)でまた会いましょう!
2025.5.31 海賊ダイル