マホロア「バンワドの目…何かに操られテルみたいダネ…!」
アイシェ「バンワドくん…!」
マホロア「アイシェ、危ナイからローアの傍に居テ。」
アイシェ「うん。」
ローアの傍にアイシェを避難させると、マホロアはバンワドと対峙した。
バンワド「…倒す!」
槍を向けて突っ込んでくるバンワドを、マホロアは軽い身のこなしでかわしていく
マホロア「バンワド、しっかりシテ…ボクはキミと戦いたくナイんダ!」
素早い動きと槍捌きで間合いを詰めてくるバンワドだが、操られている友達に攻撃など出来ない…
昔の自分なら躊躇せず攻撃していたのに、随分と丸くなってしまったものだ…そう思いつつ何とかバンワドを正気に戻そうと試みるマホロアだったが…
ビュンッ!
考え事をしていた一瞬の隙を突かれ、バンワドが振り下ろした槍で体勢を崩してしまった!
アイシェ「マホロア!」
マホロア「クッ…!」
バンワド「………………。」
体勢を崩したマホロアはそのまま背中から地面に落ちて、バンワドが飛び上がるとそのまま槍を真下に向けて「月落とし」をしてきた!
マホロア「(リフバリアが間に合わナイ!!)」
アイシェ「バンワドくん、やめてぇぇぇぇ!!」
叫ぶアイシェの願いも虚しく、迫るバンワドの槍に覚悟を決めたマホロアが目をぎゅっと瞑ったその時!
ガキンッ!!
大きな音が聞こえて、ゆっくりとマホロアが目を開けると…
マホロア「アッ…!」
アイシェ「カービィ!」
カービィ「大丈夫、マホロア?」
ソードをコピーしたカービィが間一髪で駆けつけて、バンワドの槍を剣で弾き返したのだ。
バンワドは槍を持ったまま後ろに大きく宙返りして体勢を立て直し、カービィはマホロアに手を差し伸べて彼を起こした。
マホロア「ありがトウ、カービィ…!」
カービィ「どういたしまして、無事でよかった!」
そう言ってニコッと笑うカービィは、いつもと変わらなくて…マホロアは再び彼に救われた事に感謝していた。
アイシェ「カービィ、バンワドくんが…!」
カービィ「うん、あの様子だと操られている感じだね…!」
マホロア「多分だケド、降ってきた禍々しい光と関係してるんジャないカナ…!」
カービィ「とにかく、早く元に戻さなきゃ!」
体勢を立て直したマホロアと共にバンワドに対峙するカービィ…一方のバンワドは再び槍を手に素早い動きで間合いを詰めてくる!
マホロア「バンワド、ボク達の声が聞こえル!?」
カービィ「元に戻ってバンワド!」
アイシェ「バンワドくん!」
バンワド「…倒す…!」
いくら呼びかけてもバンワドが元に戻る気配は無く、体力を消耗するばかりで埒が明かない。
マホロア「クッ…キリがないヨ…!」
カービィ「どうしたらバンワドを元に戻せるの…!?」
焦りの表情を滲ませるカービィ…すると突然、体が淡く輝き出した!
アイシェ「カービィの体が光ってる…?」
カービィ「これは…?」
マホロア「一体何が起きタノ…?」
3人が不思議に思っていると、今度はカービィの手が光り出して…両手を前に出すと、大きなピンク色のハートが現れた!
『それは慈愛の心……フレンズハート』
カービィ「これ…もしかして…?」
頭の中に流れてきた声で、カービィは現れたハートを両手で持ち上げてバンワドに向かって投げると…
パアァァァ…暖かい光がバンワドを包みこみ、次の瞬間…
バンワド「んっ……あれ、カービィ、マホロアにアイシェ、それにローアまで?」
アイシェ「バンワドくん、元に戻ったの…?」
マホロア「いつものバンワド…ダヨネ?」
バンワド「えっ…どういう事?……そうだよ、それよりみんな大丈夫だった!?さっき禍々しい光が降り注いだでしょ!」
そう話すバンワドは完全に元に戻っていて…どうやら操られていた間の記憶は無い様だ。
カービィ「よかった、バンワド。」
バンワド「えっ…どうしたの?」
マホロア「一旦ミンナでローアに入ろう、情報を共有したいんダ。」
状況が分からないバンワドは目をぱちぱちさせていたが、マホロアの提案でローアの中に入って話を聞いた。
バンワド「つまり…ボクは操られてて、2人に攻撃してたんだね。」
アイシェ「うん。」
バンワド「全然記憶が無いとはいえ、ごめんね…。」
アイシェ「ううん、バンワドくんは何も悪くないもの。」
マホロア「そうダヨ、悪いノハあのハートなんだカラ。」
バンワド「ありがとうアイシェ、マホロア。」
申し訳無さそうにしていたバンワドだが、2人の優しさに安堵の表情を見せた。
カービィ「それにしても一体何が…アイシェも今回は予知夢を見ていないって事は、今までとは違う敵の可能性も…?」
マホロア「その可能性はあるネ、いずれにしろ一筋縄ではいかない相手だと思うヨ、大王も既に洗脳されテルと思った方がイイカナ…。」
アイシェ「大王さま…。」
カービィ「さっきのハートが出てきた時、誰か分からないけどボクの頭の中に「フレンズハート」っていう言葉が聞こえてきたんだ。きっとこれがあれば、デデデも元に戻せると思うんだ。」
マホロア「もしかしタラ、他にも洗脳されてる人達が居るカモしれないネ…カービィのフレンズハートで元に戻せレバ、協力して貰えるト思うヨォ。」
バンワド「とにかく一刻も早くお城に戻って、大王様に会わなきゃ…!」
バンダナをキュッと結び直すと、バンワドはキリッとした顔をした。
カービィ「決まりだね。」
マホロア「ボクも一緒に行くヨ。危険ダカラ、アイシェはローアと一緒に待ってテ。」
アイシェ「うん、みんな気をつけてね。」
バンワド「ありがとう、アイシェも気をつけてね。」
マホロア「ローア、アイシェを頼んダヨ。」
ローアにアイシェを託すと、それに応える様にローアは船体を少しだけふわりと浮かせた。
カービィ「よし、行こう!」
こうして…アイシェとローアに見送られながら、カービィ達はデデデ城を目指して歩き始めた。
道中、プププランドの住民達が襲ってきたが…マホロアの予想通り、カービィのフレンズハートによって正気を取り戻して様々な場所で協力してくれた。
それだけではない、カービィが剣で草むらを切り裂いていると…
マホロア「カービィ、ちょっと剣を掲げテ。」
カービィ「こう?」
言われた通りにカービィが剣を掲げると…マホロアは両手を構えて呪文を詠唱し…レボリューションフレイムをぶつけた!
すると剣の周りを炎が囲い…まるで炎の様な形状に変化して、メラメラと燃えさかる炎を宿す「メラーガソード」になった。
バンワド「すごい、剣に属性が…!」
マホロア「コレで攻撃力も上がるハズダヨ。」
バンワド「他にも付与出来るのかな?」
マホロア「魔力球や、コレもいけるヨ。」
そう言うと、今度はバンワドの槍に向かってマホロアストームを当てると…風を纏う「ウィンガスピア」に変化した。
バンワド「風の属性だね、ありがとうマホロア!」
カービィ「すごい、すごいよマホロア…ありがとう!」
マホロア「エヘヘ、どういたしましテ。」
2人は満面の笑みで感謝して、マホロアも頬を赤く染めて照れつつも、耳は喜びを表現してパタパタと揺れていた。
To be continued…