小説「星夢煌めくPomme d’amour」(スタアラ編)~無口な闇と操られた剣士~

翌日…マホロア達は準備を終えると、灼熱の溶岩地帯を進み始めた。

カービィ「すごく熱いけど、ボク達はもう慣れてるよね。」

マホロア「ハルドラボ火山に比べタラ、ずっとマシな方ダヨ。」

バンワド「とはいえ危険だから、気をつけて進もうね。」

同じ頃…朝食を終えたアイシェは後片付けをすると、ドリーム神殿へと向かった

アイシェ「(みんなが無事であります様に…。)」

カービィ達が旅立ってからも足を運び続け、ドリームロッドを大事に抱えながら無事を祈るアイシェ…するとまた輝き始めて、目の前にほんのりグレーに輝くハートが現れた。

タランザ「アイシェ、ここに居たのね!」

マルク「出かけるなら言うのサ、お前に何かあったら大変なんだからな。」

心配して捜しに来たタランザとマルクだが、アイシェは目の前のハートをじっと見ていて…

アイシェ「これは…?」

恐る恐る手を伸ばすと、ハートは更に輝いて強い光に包まれ…次の瞬間、目の前に誰かが立っていた。

タランザ「メタナイト…?」

マルク「いや…違うのサ?」

不思議に思う2人だったが、アイシェは驚いた表情で…

アイシェ「貴方は…ダークメタナイト…!」

そう、目の前に現れたのは…メタナイトの中にある僅かな闇から生まれた影「ダークメタナイト」だった!

ダーク「………………。」

微動だにせず、言葉を発する事も無くアイシェをじっと見つめるダークメタナイト…仮面の構造の関係でメタナイトよりも鋭い瞳が覗き、左側にはかつて彼によって付けられた大きな傷がある

翼はボロボロになっていて、赤い足はその漆黒の体とは対象的にとても鮮やかで目を引く

そして右手にはメタナイトの持つ宝剣ギャラクシアと良く似たデザインの剣を持っているが、彼のとは違い銀色をベースにした剣にこちらは3対の枝が付いていて…青い宝石が埋め込まれていた。

アイシェ「どうして…貴方がここに…。」

困惑するアイシェ…すると突然ダークメタナイトが剣を振った!

タランザ「アイシェ!」

アイシェ「きゃあぁ!」

マルク「何するのサ!」

タランザがアイシェを庇い、マルクがシューターカッターを放ったが…ダークメタナイトはそのまま剣を上に掲げ、周りにたくさんの鏡を出現させて跳ね返してしまった。

タランザ「くっ…!」

咄嗟にタランザが魔法陣を出して防いだが、ダークメタナイトはそのまま動かない…

アイシェ「どう…したの…?」

タランザの腕の中で戸惑いを隠せないアイシェだったが、ダークメタナイトの周りの鏡が光り出して…ひょこっと姿を現したのはシャドーカービィ!

マルク「今度はカービィ…なのサ?」

アイシェ「あれは…シャドーカービィ!」

シャドー「やあ!ボク達の事を知ってるんだね。」

タランザ「アイシェ、彼等は何者なのね…?」

アイシェ「あの人達は、メタさんとカービィの僅かな心の闇を実体化した存在なの…。」

マルク「カービィにも闇があったのか…。」

アイシェ「ほんの僅かな闇なんだけどね、それにしても…どうしてここに…?」

シャドー「何か強い力を感じたんだよね。」

アイシェ「強い力…?」

シャドー「ボク達を呼ぶ強い力を感じて、ダークが向かったんだよ。」

タランザ「もしかして…ドリームロッドの力を介して、アイシェの願いが届いたのね?」

アイシェ「私の願いが鏡の国まで…?」

シャドー「詳しい事はよく分からないんだ、ボクは鏡の国を守らないとだから行けないけど…ダークがキミの力になってくれるよ。」

マルク「そうなのサ…?」

すると相変わらず無言のダークメタナイトだが、こくりと頷いて協力の意思を示した。

シャドー「ダークは無口だからあまり喋らないけど、とっても強いから頼りになるよ。それじゃあ頑張ってね!」

ダークメタナイトは剣を下ろすと、シャドーカービィは手を振ったまま鏡と共に姿を消した。

タランザ「とりあえず、力にはなってくれそうなのね。」

マルク「さっきのは攻撃してきたわけじゃ無かったんだな。」

ダークメタナイトは無言のままだったが、アイシェはまだ少しだけ戸惑いつつも口を開いて…

アイシェ「ありがとう…ダーク…メタさん。」

そう呼ぶと、ダークメタナイトは少しだけ驚いた顔をして…そのままサッと背中を向けてしまったが、仮面の中の頬は赤く染まり…グレーのハートを纏いながら光となってドリームロッドに消えて行った。

一方、カービィ達は火山地帯を抜けて高い塔に辿り着いていた

マホロア「正気に戻った人達の話だと、メタナイトは1人でコノ辺の住民を守ってタみたいダネ。」

バンワド「それならメタナイトも、あのハートの影響を受けているかもしれないよ。」

カービィ「メタナイトは強いからね、出来れば戦いたくないけど…いざという時はこのフレンズハートで元に戻さないと。」

3人は決意を新たに進んで行くが、塔に辿り着いた頃には星が出始めていた。

マホロア「コノ先カラ強い力を感じるヨ…!」

バンワド「きっとメタナイトが…!」

カービィ「戦いは避けられそうにないね…行こうマホロア、バンワド!」

バンワド「うん!」

マホロア「任せてヨォ!」

気を引き締めて最上階に辿り着くと…そこには1本の剣が刺さっている。

カービィ「…居るんだね、メタナイト!」

刺さっている剣を引き抜いて、ソードをコピーしたカービィが上を向くと…彼の視線の先にはメタナイトが居た!

メタナイト「……………倒す!」

マントを翻して翼に変化させると、宝剣ギャラクシアを手に斬りかかってきた!

ガキンッ!!

お互いの剣がぶつかり合い、激しい火花を散らす中でバンワドとマホロアもカービィを援護する。

カービィ「メタナイト、しっかりして!」

呼びかけながら戦うカービィだったが、ある程度ダメージを与えると…飛び上がって禍々しいオーラを纏い分身が出現した!

バンワド「分身が…!」

マホロア「メタナイトの目が紫ニ…やっぱり操られてるんダ…!」

カービィ「負けない、メタナイトを元に戻さなきゃ!」

剣を持つ手にぐっと力を込めたカービィは、地を蹴ってメタナイトに立ち向かって行った。

To be continued…