封印の祭壇…美しい銀河が広がるのとは対象的にその場所は禍々しく、奥では巨大なハートの形をした闇の宝石が奉られていた。
向かって左が欠けているが、次々とジャマハートが集まり…形が戻っていくのが見えて…その祭壇の前に白ずくめの人物が何かをしているのも見えた。
カービィ「あれがきっと、ビートの言っていたハイネスだ!」
一行は祭壇に向かって真っ直ぐ走っていくが…
パルル「止まれ、ずんぐりピンク!」
デデデ「この声は…!」
立ち止まったカービィ達が上を見上げると…そこにはザン・パルルティザーヌの姿があった。
パルル「あのジャマハルダから生還するとはな…その分だと、キッスとルージュも退けたのだろう。だが、神聖なるハイネス様の祈りは……誰にも邪魔させないっ!」
そう言うと、ザン・パルルティザーヌは槍を取り出した!
カービィ「待って、ビートから聞いたんだ!キミはビートと一緒にアイシェを助けようとしてくれてたって!」
パルル「………アイシェ…それは誰だ、一体何の話をしている?」
デデデ「何を言ってるんだ、お前らがアイシェを攫って…」
パルル「その様な者は知らぬ…我々はハイネス様の御意志に従うのみ!」
そう話す彼女の瞳に一瞬だけ映った妖しい光を、メタナイトは見逃さなかった。
メタナイト「あの者は、ハイネスとやらに操られているのかもしれない。」
カービィ「どういう事、メタナイト?」
メタナイト「瞳に一瞬だけ妖しげな光が見えた、恐らくアイシェに関する記憶を封じられているのだろう。」
バンワド「それじゃあ、戦うしかないの?」
デデデ「それしか方法はねぇだろうな。」
マホロア「どんな状況ダロウと容赦しないヨ…アイシェを返して貰うカラネッ!」
そう言って、マホロアはレボリューションフレイムを撃った!
カービィ「倒せば正気に戻るかもしれない…行こうみんな!」
迷いを捨て、カービィもスティックを自在に操りながら応戦し、デデデ達もそれに続く
相変わらず動きは速く、槍を突き上げて振り回して雷雲を呼び起こしてからの強力な落雷もカービィ達を襲うが…これまでの旅で培われてきた経験や動きで上手に回避をしつつ反撃をしていく。
メタナイト「見るが良い!」
槍で突撃してきたザン・パルルティザーヌの攻撃をギャラクティックカウンターで返り討ち…
デデデ「どりゃあぁぁー!」
バンワド「わにゃあーーー!」
デデデとバンワドのハンマーと槍のクロス攻撃がパルルを襲う!
そしてマホロアとカービィが高く飛び上がり…
マホロア「行くヨ、カービィ!」
カービィ「うん!」
マホロアはウルトラソードを、カービィは手に持った棒に力を込めて…
マホロア「ハァァァァーーーッ!!」
カービィ「とりゃあぁぁーーーっ!!」
ウルトラソードと、突く突く棒が炸裂した!
パルル「あぁぁぁぁーーーーーー!」
2人の攻撃を受けたザン・パルルティザーヌは…その場に倒れたが…ゆっくりと顔を上げた。
カービィ「大丈…」
声をかけようとしたカービィだが、彼女は真っ直ぐ祭壇で何かをしている人物を見ていて…
パルル「あぁ……ハ、ハイネス…さ…まぁ……!」
そっと震える手を伸ばしたザン・パルルティザーヌだが、呼ばれた人物…魔神官ハイネスは振り返る事も返事をする事も無く、彼女はその場で気を失った
すると…それまでずっとこちらを気にもせず何かをしていたハイネスが、ゆっくりと振り返った。
ハイネス「ンジャ?な~にやら騒がしいですねぇ~。」
そう言うと、ハイネスはゆっくりと祭壇から降りて来て…倒れているザン・パルルティザーヌを見た。
マホロア「テメーがコイツらの親玉ダナ!」
バンワド「アイシェはどこに居る!」
それぞれバチバチと魔力球を浮かべ、槍を向けてハイネスを睨み付ける2人だが、彼は気にもせず…
ハイネス「えっとぉ~貴女、邪魔ですぅ。」
そう言うと、気絶している彼女を手で乱暴に払い除け…離れた場所へ飛ばした!
カービィ「!!」
デデデ「おい、何してるんだ!?」
メタナイト「貴様の部下では無いのか!?」
怒りを滲ませるデデデとメタナイトだが、それでもハイネスは全く気にしている様子は無い…
ハイネス「使え無い木偶など要らないのですよ~。」
バンワド「何て酷い事を…!!」
ハイネス「さてぇ~…我らが神のぉ~…復活にはエネルギーがぁ~…ま~だぁ足りない様ですねぇ~…。」
カービィ「エネルギー…?」
警戒しつつもハイネスに問うカービィだが…相変わらず聞いている様子は無い。
ハイネス「これはもう、我々はぁ~…滅びの道をぉ~辿るしかぁ~なぁいので~…しょ~かぁ~~~~?」
マホロア「滅びの道…一体何のコトなんダヨ…?」
ハイネス「否っ否ぁっ否っ否っ否っ!否イナ否イナ否イナ否イナ否イナ否イナ否イナ否イナ否イナ否イナ否イナ否イナ否イナ否イナ否イナ否………ゼッタァ~イ、い~~~~~~~~~~なぁっ!!!!」
マホロア「ナッ…!?」
突然荒ぶるハイネスに、マホロアは驚いて少しだけ後ずさりしたが…
ハイネス「銀河の果てに追いやられた我ら魔力を司る一族の悲願!お前なぞにこの積年の思いの尊さが分かるのか?いや分かるはずが無い断じて無い無い無い!かつて友であった奴等は我ら一族の力に恐れたのか、一族を皆悉く封印し銀河の果てへと追いやった!それでも飽き足らずこの歴史からその存在さえ一片も残さず消し去ろうとしたぁ!我らの魔力があってこそ、奴等の科学と融和する事で成し得た偉大な繁栄!銀河の危機とも呼べるあの悍ましい悪夢を退けた我々に対しあまりの仕打ち!これは誤解などでは決して無い無い!我を狂っているなどと言った奴等よ聞こえているか!銀河の最果てへと我らを置き去りにして旅立ち今も恐らくどこかでのんびり暮らしてるお前らに最早未来など無い闇の物質を奉る我が一族の復権は近い皆が偽りと決めつけおった伝説の書の通りについに我らは神のおられる器を手に入れたのだ目覚めさせし者に染まり慈悲を下さるという神の器は今満たされつつあるついに偉大なる神が誕生する時が来たのだあ誕生するそう誕生するそう誕生するぞお~はっぴぃーばーすで~い!新たなる歴史よぉ時代よぉ~!はっぴぃーばーすで~い偉大なる神よおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!」
捲し立てる様に早口で語るハイネス、その様子は狂気そのもので…カービィ達は言葉を失った。
デデデ「な…何なんだ今のは…?」
メタナイト「終わった…のか?」
バンワド「一部しか聞き取れなかったけど…闇の物質を奉ってたって…もしかしてダークマター達の事…?」
カービィ「それに追いやられたって…一体…?」
マホロア「魔力を司る一族ト…奴等の科学っテ…?」
ハイネス「ゼェ…ハァ…ゼェ…ハァ……………………!」
一部聞き取れた話を疑問に思うカービィ達だが、当のハイネスは息を切らしていて…答えてくれる様子は無い。
マホロア「…事情は知らないケド、コンナ儀式はさっさとブッ壊しテ、アイシェを返して貰うヨォ!」
ハイネス「アイシェ……あぁ…あの小娘ですねぇ~?そうはいかないですぅ~あんなに強い魔力の持ち主…神への捧げ物に相応しいのですよぉ~!と、いう訳でしてぇ~…復活の儀式を邪魔しただ~れかさんにはぁ~…御心のま~まにぃ~…死んで貰いますです!!」
マホロア「ナッ……まさかアイシェを生贄にするつもりカ!?」
カービィ「そんな…ダメだよ!」
バンワド「アイシェは生贄なんかじゃない、大切な友達だ!」
デデデ「テメェの思い通りにはさせないぜ!」
メタナイト「必ずアイシェを助けてポップスターを救う、その為に我々は来たのだ!」
こうして…カービィ達とハイネスの戦いが始まった!
ハイネスは魔力球に近い弾「ジャマ」や大きく追尾性能がある「ウンジャマ」を撃ってきたりする他、ジャマハルダマークを出現させ、マグマの柱や雷の「メラガバリカ・マッデム」、複数から冷気を放つ「ブリザ・ハローア」等の属性攻撃もしてくる
それらはどれも強力で、三魔官よりも遙かに脅威であった。
ハイネス「串刺しにしてやりま~すぅ~!」
真上にジャマハルダマークが現れたと思ったら、たくさんの槍が降り注いでカービィ達に襲いかかる!
マホロアが真上に大きなリフバリアを出して攻撃を防ぐと、カービィ達も反撃に出た!
メタナイトの剣、デデデのハンマーとバンワドの槍…マホロアのクアッドキルニードル…そしてカービィの竹とん棒が当たった瞬間、ハイネスのローブが外れた。
ハイネス「ヴ………ヴ……ヴッ!」
デデデ「お…おい、どうしたんだよ…?」
マホロア「また荒ぶるのカヨォ…?」
しかしハイネスはその素顔を大きな袖で隠してプルプルと震えていて、カービィ達が不思議に思ったのも束の間…
ハイネス「ヴンギャマエヴィティゴッポコポオォォーーーッ!!」
何を言っているのか分からない…言葉なのかすら分からない声を上げて、ハイネスの素顔が露呈された!
真っ青な肌にマホロアと似た形と模様の耳…大きく垂れ下がった太く大きい鼻…焦点の合わないギョロギョロと動く不気味な瞳…
彼のオーラや言動から滲み出る狂気と相まって「悍ましい」という言葉が浮かぶ程の恐怖に満ちた姿がそこにはあった。
To be continued…