小説「緑髪の少年(出会い編)」~見上げた夜空と温もりと~

数時間後の夜

まめお「わーっ!すっげぇ!」

タキ「わぁっ!暗いのにまめお君がハッキリ見えるよ!」

まめみ「…………。」

少し疲れているのか、まめみはタキの使っている布団の近くでうとうとしながら2人が遊んでいるのを見ていたが…

次第に彼女の瞼は重く閉じていって…

ポフッ

布団の上に倒れてしまった。

タキ「まめみちゃん!?」

驚いたタキだったが…

まめお「疲れたんだな。」

タキ「……え?」

倒れたのでは無く、眠ってしまっただけの様だ

そう言ってまめみの傍へ行くまめおに、タキは安心して目の色も戻りホッとため息を吐くとナイトビジョンを外して近くに置き、まめみの傍へ行った

するとちょうど同じタイミングで、スルメさんがまめみに布団を掛けてあげた。

まめお「こいつ、昔から疲れると突然パタって倒れて寝ちゃうんだよ。」

タキ「そうなんだ…びっくりしたけど、よかった。」

スルメさん「タキが元気になってきたし一緒に出掛けて買い物もしたさかい、いい意味で疲れたんやろ。今日は泊まって行き。」

まめお「ありがとうスルメさん。」

タキ「まめみちゃん、よく寝てるね。」

まめお「あぁ。」

数分後…

まめみ「すー、すー。」

小さな寝息を立てて寝ているまめみ。

まめお「俺、トイレ行ってくる。」

そう言ってまめおは立ち上がってトイレへ

タキ「…スルメさん、僕ちょっと外へ出て来るよ。」

スルメさん「それはええが…まだ本調子じゃないさかい、あんまり長居しない方がええで。」

タキ「うん。」

まめおがトイレに行っている間に、タキは昨日買ったF-190を着て外に出た。

今日は少し曇り空…しかし辺りには涼しい風が吹いている

体調はここ数日と比べるとかなり良くなり、明日にはナワバリも出来そうだった

時間帯がかなり遅い為、周りはタキ以外誰もおらず静かで…スルメさんのお店以外は全て閉まっていて物寂しい雰囲気が漂っている。

そんな中、タキはジャッジくんの傍へ行った

ジャッジくん「…………。」

ぐっすりと眠っているジャッジ君の傍にゆっくりと座り、曇り空を見上げた

特に何かを感じる訳でも無く、何故かボーっと空を見上げていたい気持ちになった。

タキ「…………。」

しばらく曇り空を見上げていると、眠気が襲ってきてしまった…

早く戻らないとみんな心配しちゃう

こんな所で寝るのはいけない…

でも…たまにはここで…寝てみたいかも…

タキの心の中で2つの相反する気持ちがバトルしていたが、考えている内に何も考えられなくなり…ゆっくりと目を瞑った。

それから数時間後の早朝…

まめおが慌てた様子でスルメさんのお店から飛び出し、ハイカラシティの広場を駆け回っていた。

まめお「タキー!タキどこだー!!」

タキが昨夜から戻ってこない為、慌てて捜しに来たのだ

しばらく捜し回り、ジャッジくんの傍を通ると…

タキ「…………。」

まめお「タキ…!はぁ…はぁ…よかった…タキ…!」

ぐっすりと眠っているタキの姿を見つけたまめおは、安心してホッとため息を吐いた。

タキ「…すー、すー。」

彼の寝顔は穏やかで、うっすらと口元が笑っている様にも見えた

まめお「タキ…起きろタキ。」

タキ「ん…まめお…君…?あれ…僕…」

まめお「ジャッジくんの隣で寝てたぞ。ほら、スルメさんのお店へ戻ろう…立てるか?」

タキ「う…ん…。」

支えられて立ち上がったタキだが、眠くてまだ寝てたいらしく…まめおに体を預け、支えられていないと立てない状態だった。

まめお「しょうがないな…ほら、おぶってやるよ。」

タキ「う…ん…。」

そう言って背中を見せてしゃがんだまめおに、タキは体を預け…

そしてまめおはタキをおんぶして、スルメさんのお店へ戻った。

お店に戻ると、まだ寝ているまめみの隣にタキを寝かせて布団をかけて…

まめお「ふあぁ…。」

大きなあくびをすると、まめおは台所へと消えて行った。

それから数十分後…

まめみ「んっ…。」

朝日がハイカラシティを照らしている中、まめみは眠い意識の中少しずつ目を覚ました

…いつの間にかタキの使っている布団の上で眠ってしまったらしい。

彼女の体には、布団が掛けてある

誰かが掛けてくれたのだろう

まめみは少し嬉しくて、あたたかい気持ちになった。

タキはすぐ近くでぐっすりと眠っていて…楽しい夢でも見ているのか、口元はうっすらと笑っている様にも見えた。

まめみはタキを起こさない様に布団を抜け出して廊下に出た

いつもなら、まめおが起きているのだが…今日は誰も起きていない

辺りをゆっくりと見回しながら、まめおの姿を捜していると…

まめお「…………。」

台所の近くにある椅子にぐったりと座ったまま…すやすやと寝ており、その表情はどこか疲れている様な雰囲気を感じた…。

まめみ「まめお…。」

優しく彼の寝顔を見ていたまめみだが…!

まめお「ん…。」

まめみ「あ…まめお。」

まめお「おはよう。」

まめみ「どうしてこんな所で?」

まめお「タキが居なくてさ…大慌てで探したら広場のジャッジ君の傍で寝てたんだよ、だからおぶって連れ帰ってきて…疲れてここで休んでたんだ。」

まめみ「そうだったのね、お疲れ様。」

少し話した後に2人がタキの眠る部屋へ戻ろうとしたら…

タキ「ふあぁ…おはよう2人共…。」

おおきなあくびをしながら、タキが歩いて来た。

その後3人はよっちゃんの作ってくれた朝食を済ませ、スルメさんのお店は通常通り開店して、まめおはスルメさんのお店を手伝っていた。

お店はいつもの様に大賑わいになっている中…

まめみ「ジャッジくんの隣で寝てたって聞いたよ。」

タキ「うん、夜空を見てたらすごく眠くなっちゃって。」

まめみ「まめおったらその後、台所で座ったまま寝ちゃってたの。」

タキ「あらら…ごめんね。」

まめみ「ううん、まめおはよくお店のお手伝いもしてて体力と腕力には自信があるから、どんどん甘えていいよ。」

タキ「あははっ、まめお君に厳しくない?」

まめみ「え~そうかな?えへへっ!」

タキと傍にいるまめみの2人は、仲良く座って話していた。

To be continued…