あれからもまめみはうなされ続ける日々が続き…
捕まったリスティヒ達はウデマエを剥奪、ナワバリバトルへの出入り禁止となり…釈放後にハイカラシティを去った
あの悲劇から早数ヶ月が経とうとしていたある日の事…止まっていた時間は大きく動き出した。
まめお「悪いなタキ…まめみがあんな状態なのに、こんな事になっちまって…。」
タキ「大丈夫だよ、まめみちゃんは僕が見てるから早く行ってあげて!」
まめお「ありがとなタキ、行ってくる!」
この日、腰を痛めたスルメさんの代わりにまめおが数日間お店の手伝いをする事になった
お店にそのまま寝泊まりする為、何日かは帰って来ない。
まめみ「…………。」
相変わらず明るさも笑顔も失ったままのまめみ
最近は部屋から出るようになったものの、テレビや窓の外をボーッと眺める日々が続いた。
タキ「まめみちゃん、良かったら…僕と少しだけお散歩しない?」
まめみ「タキ君と…?」
タキ「うん、どうかな…?」
まめみ「っ…怖い…!」
人と会うのを恐れ、まめみは酷く怯えている…
タキ「…そうだよね…ごめんね…僕、まめみちゃんの気持ちも考えずに…。」
そう言うとタキは、震えるまめみの体をぎゅっと優しく抱きしめた。
まめみ「っ……!」
実はあの日以来、まめみはまめお以外に抱きしめられておらず…タキに抱きしめられて一瞬体が強張った
しかし彼の温もりとやさしい手に安心して、すぐに力が抜けそのまま彼の背中に手を回した
タキ「大丈夫だよ、しばらくこうしてるね。」
まめみ「…うん…。」
腕の中のまめみは震えていて…タキの肩に温かい涙の雫が流れ、服に吸い込まれて消えていった。
まめみちゃん…
あの時…僕は君を守れなかった…
だから…今度こそ君を守る…
必ず守るから…
数日後…タキの提案でゲームを始め、最初はあまり表情を変えないまめみだったが…
タキ「あ、ここで決めるよ!」
まめみ「うん………あっ!」
タキ「上手だよ!これでランクが上がったね、おめでとう!」
まめみ「…ふふっ、ありがとうタキ君…!」
タキ「あっ…!」
まめみ「どうしたの…?」
タキ「やっと笑ってくれた。」
まめみ「えっ…?」
ほんの一瞬だけだったが…まめみが「笑った」のだ
タキ「まめみちゃんの笑顔、可愛くて優しくて暖かくて…僕は大好きだよ。」
まめみ「ぽ、タキ君…!」
そう言うと今度は頬を真っ赤に染めて恥ずかしがって…
この数ヶ月全く見せなかった「感情の変化」が見られ始めた。
しかし、夜に事態は大きく変化した…
まめみはお風呂に入り、タキは部屋で音楽を聴いていた
タキ「この曲良いなぁ~、後でまめみちゃんにも聴かせてあげよう。」
一方まめみは、シャワーを浴びながら体を洗っていた
ふと鏡を見ると、自分の体が映し出されて…脳裏に思い出されたのは……
リスティヒ『良い体だな…はぁ…はぁ…!』
あの忌まわしき記憶…
思い出したくない…
嫌…嫌…!!
怯えだしたまめみ…その時!
鏡に映る自身の後ろにリスティヒの姿が見えた気がして…!!
ガタンッ!!
まめみ「いやあぁぁぁぁぁ!!」
頭を抱えて座り込み、酷く怯えて叫んでいるまめみ
ハイドラント「(まめみ!?)」
その声に気づいたのはハイドラント
しかし自分はブキ…自力で動く事は出来ない
タキを呼ぼうにも…彼にはブキと会話する能力は無い為、自分の言葉は通じない…!!
部屋でタキはヘッドホンで曲を聴いている為、気がつかない…
そして、その間にもまめみは息が荒くなっていった…
それから少しして…
タキがヘッドホンを外して、飲み物を取りに部屋を出た
すると…ハイドラントが目に止まった。
いつもの場所に置いてあるのに…何故かとても気になる…
何かを伝えようとしている様な気さえするのだ…
ハイドラント「(タキ!まめみの…まめみの元へ行ってくれ…!!)」
タキ「まめみちゃんのハイドラント…何か言ってる気がする…?」
言葉は通じないが、不思議な感覚を覚えたその時!!
ガタァァァン!!
浴室から大きな音が!!
まめみ「いやぁぁぁ…!」
タキ「まめみちゃん!!」
驚いたタキは、浴室へ向かって走った!
浴室へ行くと、シャワーを出したまま、裸のまめみが頭を抱えて座り込み、酷く怯えて過呼吸を起こしていた
まめみ「はっ…ひっ…ひっ…いや…あぁぁ…!」
タキ「まめみちゃん、落ち着いてまめみちゃん!」
まめみ「はっ…はっ…タキ…君…?」
タキ「うん…僕だよ…大丈夫、僕が傍にいるからね。」
まめみ「…嫌…やめて…!」
タキ「まめみちゃん…?」
まめみ「あたしは…汚れてる…!あの男にあんな事されて…汚いの…!!」
タキ「そんな事な…」
まめみ「あたしはもう前みたいに笑えない!明るくもなれない!あたしは汚れてしまった!もう外にも出れない…!!ひっぐ…うぇ…!!」
タキの腕の中で泣き叫んで暴れるまめみだが…次の瞬間、力強く抱きしめられた。
タキ「まめみちゃん…もうやめて…!」
まめみ「……………!」
タキ「君のそんなつらい姿…もう見てられないよ…!」
そう話すタキの体は震えていて…
まめみ「タキ…君…。」
タキ「まめみちゃんは綺麗だよ、汚れてなんかいない!」
まめみ「でも…あたし…あたし…!」
タキ「…まめみちゃん…僕を信じて。」
まめみ「っ……タキ君……!」
タキ「まめみちゃんが大好きなんだ…だから…僕の事を信じて…。」
まめみ「タキ…君…!」
タキ「僕が君を守りたいんだ…まめみちゃん…。」
まめみ「タキ君……タキ…君……!!」
タキ「まめみちゃん…!」
そのまましばらく抱き合っていた2人
その後まめみの部屋に移動して…
彼女が着替えたのを確認すると、タキは振り返った。
薄暗い部屋…月明かりに照らされるまめみの体はとても綺麗で…タキはゴクリ、と生唾を飲んだ
まめみ「タキ君…。」
不安げな表情のまめみは胸に手を当てていて、体は少し震えていた。
タキはゆっくりと近づき、まめみを優しく抱きしめた
そして…背中を優しく撫でて気持ちを落ち着かせた。
タキ「まめみちゃん。」
耳元で囁くと、まめみの体はピクンと反応して…徐々に力が抜けていった
まめみ「タキ…君…。」
そう言って彼女を抱き上げると、ゆっくりとベッドに下ろして優しくも強く抱きしめた。
タキ「大丈夫、僕はここに居るよ。」
そのまま横になり、タキはまめみを抱き寄せた
まめみ「タキ君…暖かい…。」
タキ「まめみちゃんも暖かいよ、ずっとこうしてるからね。」
まめみ「タキ君…。」
彼の腕に包まれて…まめみはじきに眠りについた。
その表情はあの日以来見せなかった安心しきった表情で…タキは心が暖かくなった。
タキ「大好きだよ、まめみちゃん。」
…まめお君はきっと…まめみちゃんの事を…
でも…僕もまめみちゃんを守りたいんだ
まめみちゃんが大好きで…ずっと…ずっと一緒にいたい
僕が彼女を護りたい。
To be continued…