小説「緑髪の少年(再会編)」~懐かしさと惹かれる心~

あれから何日かして…すっかり打ち解けたフーは愛用ブキの3Kスコープと共にまめお達とのナワバリを楽しんでいる一方、ガチマッチにも再び挑戦してあっという間にC-からS+に復帰した。

まめお「フー兄、リッター3Kの照準なんだけど…。」

フー「どれ…あぁ、狙ってる場所より微妙に軸がずれてるんだな…これでどうだまめお?」

まめお「おぉ…!今度は上手くいった!」

フー「お前は飲み込みが早い。それに洞察力も中々に優れてるから状況に応じて敵を翻弄するのが得意だろ、パーマネント・パブロを上手く使いこなせてるのも、まめおの戦い方のスタイルによく合ってるんだな。」

まめお「へへっ…そこまで褒められると照れるぜ…。」

最近はこうしてみんなのブキのエイムや立ち回りのアドバイス等もしているフー。彼の洞察力、リッターの腕はとても頼りになる一方でこんな弱点も…。

まめみ「え、フーさんリッターしか使えないの?」

スー「そうなの、兄貴は他のブキと相性が悪くてね~。」

まめみ「へぇ~そうなんだ。フーさん、何でも使いこなせそうなイメージだったから…。」

スー「リッターバカなのよ~兄貴。」

フー「おいスー、いらん事話すんじゃ無い!」

スー「ふふっ、怒られちゃった。」

まめみ「えへへっ。」

そう言って恥ずかしそうに怒るフーだったが、まめみとスーは楽しそうに笑った。

この日もみんなでナワバリをして楽しく過ごしていたが、次の日の朝…

タキ「ゲホッ、ゲホッ…!」

ピピピッ…

まめみ「すごい熱だよタキ君…やっぱりこの前の咳、風邪の引き始めだったんだね。」

タキ「うぅ…喉が痛い…。」

まめみ「まめお…あたしタキ君の看病するから、今日は行かないって伝えておいて。」

まめお「分かった。何か必要な物があったら電話くれ。」

まめみ「うん。」

タキ「まめみ…僕は大丈夫だよ…だから行ってきて…。」

まめみ「だーめ!心配で1人には出来ないよ。」

タキ「…まめみ……ありがとう…。」

…あぁ…まただ…

何か…前にもこんな事があった様な…不思議な感覚…

どうしてなんだ…記憶を失う前にこんな事があったのかな…

相変わらず何も思い出せないけど、まめみが傍に居てくれるのは嬉しい…

それに…ああ言ったけど、本当はまめみが残ってくれるって信じてた…

まめおが出かけた後、まめみはタキの為におかゆを準備した。

まめみ「タキ君、おかゆ作ったよ。少しだけでもいいから食べて欲しいな。」

タキ「うぅ…喉が痛いよ…でも…まめみが作ってくれたから…食べたい…。」

そう言うとタキはまめみに支えられながらゆっくりと体を起こし、用意して貰ったクッションにもたれかかった。

まめみ「ふー、ふー…はい、あ~んして。」

タキ「ま…まめみ…いいよ…食べれる…から…!」

まめみ「そんなフラフラな状態じゃ無理でしょう…ここで甘えないでいつ甘えるの。」

タキ「ん…んぅ…あ~ん…。」

頬を真っ赤に染めて恥ずかしがるタキだったが、まめみの説得に折れ、口を開けて食べさせてもらった。

まめみ「どう…?」

タキ「うん…熱いけど…とっても美味しい…。」

まめみ「よかった。はい…もう一口。」

タキ「あ~ん…。」

半分くらい食べた後、薬を飲んで少し眠りについたタキ。

まめみはタキが眠るまでずっと傍で優しく手を握り、洗い物をする為に台所へ…。

まめみ「……………。」

洗い物を済ませた後は、リビングでテレビを見ていたが…次第にウトウトしてソファで眠ってしまった。

それから1時間後…タキが目を覚ました。

ボーッとする意識と視界の中でまめみの事を考えていると…何故か急に彼女の姿が無い事に強い不安を覚え始めた。

タキ「(まめみ…どこに居るんだろう…。)」

強い不安と戦うタキだが、体は重くて動かず…布団をぎゅっと抱きしめて耐えていた。

同じ頃…まめみはリビングで目を覚ました。

まめみ「ん…寝ちゃってた…。」

伸びをした後、タキの様子を見る為に部屋へ向かうと…

タキ「まめ…み…!」

まめみ「タキ君…苦しいの?」

心配して駆け寄るまめみだったが…彼から返ってきたのは意外な返事だった。

タキ「まめみ…よかった…。」

まめみ「えっ?」

タキ「何故か急にすごくまめみの顔が見たくて…姿が無くて不安で…。」

まめみ「ふふっ、そうだったんだね…あたしはここに居るよ。」

そう言うと、まめみはタキの頭を優しく撫でた。

タキ「安心したら喉渇いちゃった…水を飲みたいな。」

まめみ「うん、分かった。」

ゆっくりと起き上がるタキを支え、背中に大きなクッションを敷いてあげると、水の入ったコップを渡した。

タキ「ありがとう。」

まめみ「どういたしまして。」

タキ「……情けないなぁ、僕…。」

まめみ「タキ君…?」

タキ「僕がまめみを守りたいのに、こんな情けない姿で迷惑ばかり…。」

そう呟いたタキだが、ふわっと柔らかくて温かい感触がして…気がつくと、まめみが自分を抱きしめていた。

まめみ「そんな事言わないでタキ君…。」

タキ「まめ…み…?」

まめみ「あたしタキ君が大好きだもの、何も迷惑じゃないよ。」

タキ「…まめみ…うぅ…まめ…み…!」

病気で不安定なせいなのか…まめみの優しさ、暖かさ…愛情にタキは心が暖かくなって…

彼の頬を伝って大粒の涙が零れ落ちた。

そして熱で力が入らない中、精一杯まめみの背中に手を回し…彼女を抱きしめた。

…どうして…どうしてこんなにも懐かしく感じるんだ…

でも…懐かしさとは別に…まめみの暖かさに安心して…僕は彼女に惹かれていく…

…まめみ…僕…まめみが好きなんだ…

To be continued…