小説「巡る虹色四季模様(完結編)」~新しく吹く風~

フェスのお題発表から5日後、まめみはタキと一緒に帽子を見に来ていた。

まめみ「あ、これ可愛い!」

タキ「俺が買ってあげるよ、貸して。」

まめみ「えっ、いいの?」

タキ「もちろんだよ。」

まめみ「嬉しい、ありがとうタキ君!」

タキ「どういたしまして。」

いつも通りラブラブな2人は買い物を終えた後、モンガラキャンプ場へ向かって川を眺めたりバードウォッチングをしたり…2人だけの時間を満喫していた。

同じ頃、ロブのお店に来たのはツネとざくろ。

ざくろ「ツネは何にする?あたしはアゲホイップダブルクロスにするつもりだよ。」

ツネ「僕はロブサンドにしようかな。あ、チケットは自分の使ってね。」

ざくろ「えぇーこの前はツネが「君が食べたいならいつでも買ってあげる」って言ってたじゃん!」

ツネ「確かに言ったけど、ざくろがチケット使い過ぎたからしばらくは禁止だよ。」

ざくろ「ツネのけちんぼー!」

そう言ってぶーぶー文句を言うざくろだったが、ツネの意思を表すかの様に財布の紐も硬いのだった。

一悶着あったものの、2人で近くのパラソル付きテーブルに座って食べ始めると…

ピロン!それぞれのイカスマホとタコスマホにフェスに関する通知が来た。

ツネ「へぇ…今回のフェスでは衣装も特別仕様なんだね…………って、お爺様!?」

珍しくツネがとても驚いた様子でスマホを見ると、そこには混沌派の陣営に映るタコワサ将軍の姿があった

ざくろ「タコも何匹か居るから、お爺ちゃん経由で連絡が来たのかな…って足の先がコジャッジ君に食べられてる!?」

まだどちらにするか決めていない2人は今回のお題に緊張していたが、送られてきた各陣営の写真と一言コメントに思わず笑ったりツッコミを入れたり…気がつくと穏やかな時間と共に気持ちも落ち着いていた。

ツネ「ざくろ、フェスはどうする?」

一呼吸置いたツネが口を開くと、ざくろも彼の目を真っ直ぐ見て口を開いた

ざくろ「今回が最後のフェスだから、あたしはツネが選んだ陣営に入って…一緒に戦いたい。」

ツネ「ざくろ…!」

ざくろ「どんな結末になったとしても、最後の瞬間までツネと一緒に居たい。」

ツネ「僕も同じだ…君と共に過ごし戦えるのなら、これ以上の幸せは無いよ。」

ざくろ「嬉しい!もし勝てたら、嬉しくてツネに抱きついちゃおうかな。」

ツネ「…人が居ない所でお願いするよ。」

そう話すツネは気恥ずかしさから頬を真っ赤に染めていて、ざくろはそれを見て笑う。

しかし2人の表情は穏やかで、そっとお互いの小指を絡めて…

「共に戦う」約束の指切りげんまんをした。

その後もフェスの日が近づくにつれて人々の気持ちは昂ぶり…いよいよフェス前日になった。

そしてこの日、アイカはシキとデカ・タワーで待ち合わせをしていた

アイカ「シキちゃん、どこにいるんだろ?」

姿を探してキョロキョロするアイカ、すると後ろから足音を立てずに近づく者が1人…

謎の声「アイカちゃん。」

アイカ「えっ?」

曇った声が聞こえて振り返ると、そこにはジャステスブレインが光っていて…

謎の声「やぁ!」

アイカ「っ……!!」

驚いて声にならないアイカに、その者はゆっくりとジャスティスブレインを脱いだ。

シキ「あははっ、ごめんねアイカちゃん!」

アイカ「し、シキちゃん!?」

シキ「ほんとにごめんね、ここまで驚かせちゃうとは思わなくて…。」

アイカ「ううん、もう大丈夫…それよりもシキちゃん、それは?」

シキ「今回のフェスのキャンペーンで貰ったの、広場の投票受付で貰えるよ。」

アイカ「そうなんだ、後で貰いに行こうっと。」

シキ「あっ見てみてアイカちゃん、綺麗だね!」

そう言ってはしゃぐシキが指差した先に広がっていたのは、綺麗な夜景で…

アイカ「わぁ…すごく綺麗!」

2人はしばらく夜景を眺めていたが、シキがアイカの方を向いて口を開いた。

シキ「アイカちゃん、あたしね…お母さんと話をしてきたの。」

アイカ「どうだった?」

シキ「お父さんも居たから、一緒に3人でたくさん話し合ったの。お母さんもあたしが居なくなってから自分が過保護過ぎたって気づいたみたいで…いっぱい謝られた。」

アイカ「そうだったんだね…。」

シキ「でもお母さん、認めてくれたよ。あたしの好きな様にやってごらんって…いつでも応援してるよって言ってくれた。」

アイカ「よかった…よかったねシキちゃん!」

シキ「うん!」

アイカ「そっか…それじゃあ海外に…。」

シキ「うん、ファイナルフェスが終わって1週間後には旅立つよ。」

アイカ「そんなに早く………でも、シキちゃんの新しい挑戦だもん、応援してるよ。」

シキ「ありがとう、アイカちゃん。あ…そういえばフェスはどうする?」

アイカ「最後のフェスだから参加するよ、いっぱい楽しみたい。」

シキ「それじゃあ、一緒に投票しに行こうよ!」

アイカ「うん!」

2人はキラキラした笑顔で、そのまま仲良く手を繋いでフェスの投票へと向かうのだった。

To be continued…