まめみ「ハイカラシティやスクエアと違って、すごく広いし入り組んでるから道が分かりづらい…アタリメさんはどこに居るんだろ?」
イカボーイ「お嬢さん、お困りですか?」
まめみ「えっ?」
タコボーイ「俺達で良ければ力になりますよ。」
辺りをキョロキョロしながらアタリメ相談役を捜すまめみに、背後から2人の男が声をかけた。
「バンカラ街では知らない人に絶対に着いて行かない事!」とタキに言われていたが…道を聞くくらいならきっと大丈夫…まめみはそう思って、イカスマホのアタリメ相談役の写真を見せた。
まめみ「あの…このお爺さんを捜していて、見かけませんでしたか?」
イカボーイ「(何だこのジジイ…)ん~確かこっちの方で見かけた気がしますね。」
タコボーイ「俺達が案内しますよ。」
まめみ「えっ…あっ、それは…遠慮します…。」
イカボーイ「もしかして俺達、警戒されちゃってます?」
まめみ「えっと…バンカラ街では無闇について行かない様にって…旦那さんに言われてる…ので…。」
タコボーイ「(おい、この子まさかのイカ妻だぞ!?)」
イカボーイ「(旦那持ちとか…最高じゃねぇか!!)」
タコボーイ「(これはますます味見したくなるな!)」
まめみ「あの…どうかしましたか?」
ヒソヒソと何かを話す男2人に、怪訝な表情を浮かべるまめみだったが…
イカボーイ「これは失礼、ですがこのバンカラ街は入り組んでいて迷いやすいので…私達で案内しようかと。」
タコボーイ「大丈夫、お爺さんの居場所は分かってますので。」
そう言って素早く横に来て、まめみの腰に手を当てた!
まめみ「っ…嫌っ!!」
タコボーイ「そんな事言わないで、一緒に行こうぜ~!」
まめみ「嫌…やめて下さい…!」
イカボーイ「抵抗する姿も可愛いねぇ…でも、これ以上抵抗するなら、ちょっとだけ痛くしちゃうよ?」
そう言って暴れるまめみの腕をぐっと掴んだイカボーイ…
まめみ「痛っ…!」
痛みに顔を歪めるまめみ…するとポシェットがモゾモゾと動いて…
ドスコイまる「キュッ!」
イカボーイ「おわっ、何だコイツは!?」
タコボーイ「コジャケじゃん、びっくりする事でもねぇよ。」
まめみ「(ドスコイまる…出てきちゃダメ!)」
ドスコイまる「キュッ、キュー!」
まめみ「(お願いドスコイまる、今は静かにしてて…!)」
イカボーイ「とにかく、こっちに来てよ~可愛がってあげるからさ。」
とうとう自分達の欲望を曝け出して、無理矢理まめみの口を塞ぎ、を路地裏に連れて行こうとする2人だったが…
ガブッ!!
イカボーイ「痛ってえ!」
まめみを助けようとしたドスコイまるが、イカボーイに手に噛みついたのだ!
まめみ「(ドスコイまる!!)」
イカボーイ「やめろ、何しやがるんだ!」
ドスコイまる「キュッーー!!」
ぐっと掴んで引き剥がされたドスコイまるは、そのまま遠くへ投げ飛ばされてしまい…
まめみ「(ドスコイまる…嫌っ離して!!)」
タコボーイ「おっと、暴れないでくれよ。」
助けに行きたくても動けないし、口を塞がれているので声も出せない…暴れるまめみだったがタコボーイはさらに強く拘束してきて…
イカボーイ「たくっ…まぁいいか、今のコジャケの分もしっかり体で詫びて貰うからさ。」
まめみ「(嫌…タキ君…!)」
恐怖と腕を捕まれている痛みでぎゅっと目を瞑ったまめみ…すると!
謎の声「おい、その手を離せ。」
3人が声のした方を向くと…そこにはドスコイまるを抱いた黄色い三つ編みのイカガールが居た。
タコボーイ「何だよ、邪魔しないでくれないか?」
イカガール「その手を離せと言っている。」
タコボーイ「やれやれ…聞き分けの無いお嬢さんだ。」
イカボーイ「お前も一緒に可愛がってやんよ!」
そう言ってまめみの腕を放して近づいたイカボーイだが…
イカガール「口で言っても分からない様だな。君はちょっとここに入っていてくれ。」
そう言った直後ドスコイまるを服のポケットにスポッと入れ、イカガールの姿がスッと消えた次の瞬間!
イカボーイ「ぐっ…がはぁ!」
素早く懐に入ったイカガールは鳩尾に攻撃を喰らわせて、イカボーイはそのままそこに座り込んだ…。
まめみ「…………!!」
タコボーイ「お、おい…大丈夫か!?」
イカガール「お前も私とやるか?」
青い瞳は鋭く光りながらタコボーイを見つめていて…
タコボーイ「め…めめ滅相もございません!すいませんでしたあぁぁぁーー!!」
まめみをその場に開放すると、タコボーイは相方のイカボーイを抱き抱えて、凄い速さで逃げて行った…。
イカガール「大丈夫か?」
ドスコイまる「キュッ!」
イカガール「この子が飛んできたからびっくりしたよ、どうぞ。」
まめみ「はい、あの…ありがとうございます。」
先程の雰囲気とは違って、柔らかい表情を浮かべながら手を差し伸べてくれたイカガールの手とドスコイまるを受け取り、まめみはお礼を述べた。
イカガール「礼には及ばない、この辺には時々あんな輩も居るから気をつけた方がいい。」
まめみ「は、はい…。」
初めて会うのに、何故か懐かしいような…不思議な感覚を覚えたまめみだったが…
アタリメ「おーい、まめみちゃん!」
まめみ「アタリメさん!あ、私はこれで…本当にありがとうございました!」
ドスコイまる「キュッ!」
そう言って頭を下げると、まめみは荷物を持って頭の上で手を振るドスコイまるを連れてアタリメ司令の所へ走って行き、イカガールはしばらくその場に立ち尽くしていたが…
イカガール「何だ…この不思議な感じ……………まさか、まさかあの人が…!」
何か思う事があったのか、まめみが向かった先に走ったが…既に姿は消えていた。
すると…今度はイカガールの背後から声がした。
謎の声「どうしたのよ、そんなに慌てて?」
イカガール「今ハイカラ地方から来たイカの女性を助けたんだが、今まで感じた事の無い不思議なものを感じた…!」
謎の声「えっ…それってまさか!?」
イカガール「間違い無い、あの御方はウト族の…!」
謎の声「すぐに戻って準備しなきゃ!」
イカガール「あぁ!」
何かを決意した2人は、バンカラの路地裏へと姿を消した…。
To be continued…