小説「彼方からの旅人と夢色金平糖」~支配に抗って~

部屋の中で、アイシェは息を切らしていた

湧きあがる恐怖は体をガタガタと震えさせて、呼吸も荒い…

誰かに連絡を…そう思った時、脳裏にメタナイトの言葉が浮かんできた。

アイシェ「メタさんがくれたチャーム…通信機って言ってたよね…!」

マホロアが来ない内に早く!アイシェは震える手でチャームを外して開いた…

ザザ…ザザザ…

ハルカンドラの気候のせいか、通信状況は非常に悪く…雑音だけが聞こえてくる…

どうか届いて…アイシェが目を瞑って祈ったその時!

メタナイト『アイ…シェ…!』

雑音の中、メタナイトの声が聞こえた!

アイシェ「メタさん!」

メタナイト『無事…か…アイシェ!?』

アイシェ「うん…でもローアの中にマホロアが…!」

メタナイト『何…だと!?』

アイシェ「メタさん、マホロアを止めて…このままだと彼は…」

そこまで言いかけたその時…

マホロア「何をしてるんダ。」

背後から恐ろしく低い声が聞こえてきた。

アイシェ「ひっ…!」

メタナイト『ア…イシェ!?』

マホロア「メタナイトがプレゼントしてたヤツ…通信機だったんダネェ…余計な事をするナ。」

パキッ…マホロアはアイシェの手からチャームを取り上げると、そのまま握り潰して2つに割ってしまった…。

アイシェ「あ…あぁ…!」

メタナイト「アイシェ、アイシェ!!」

デデデ「アイシェはどうしたんだ!?」

メタナイト「突然通信が切れた、マホロアが彼女に何かしたのかもしれない!急いでくれランディア!」

ランディア「ギュアアーッ!」

カービィ「アイシェ…!」

アイシェの無事を願い、カービィ達はアナザーディメンションを進みながらマホロアを追いかけた!

一方ローアの中では…

マホロア「ボク以外ノ男と喋るナ。」

アイシェ「男……そんなつもり…は…。」

マホロア「キミはホント~に鈍いネェ…。」

そう言うとマホロアは割れたチャームの欠片をマフラーのベルトの裏にしまい、アイシェを魔法で持ち上げてやや乱暴にベッドに落とした!

アイシェ「きゃあっ!」

マホロア「悪い子なアイシェにハ、お仕置きしなキャネ。」

ギシ…ベッドの軋む音が響き、マホロアがアイシェの上に覆い被さった

アイシェ「マホロア…嫌…っ…!」

マホロア「キミに拒否権ナンテ無いヨ。」

魔法で身動きの取れないアイシェに対して、マホロアの手が彼女の体を厭らしく這っていく…

アイシェ「っ…!」

マホロア「アイシェ、ココが弱いんダロ?」

そう言いながらアイシェの耳に顔を近づけて…手でむにむにと触り始めた。

アイシェ「っ…んっ…マホロア…やめて…!」

マホロア「止めル訳無いダロ、そんな声出しちゃってサァ…ボクを誘ってるのカイ?」

アイシェ「違っ…やっあぁん…!」

耳を咥えて何度も吸ったり舐めたりするマホロア…彼の厭らしい舌使いや熱い吐息がかかる度、アイシェは嫌がる態度と反して無意識に声が漏れてしまう…

一方のマホロアはアイシェの真っ赤に染まった頬や潤んだ青い瞳、甘い声に興奮してどんどん息が荒くなっていく。

マホロア「ハァ…ハァ…アイシェ…可愛いヨォ…ボクの…ボクだけのアイシェ…。」

息の荒いマホロアは、アイシェの細い首筋に唇を這わせ…アイシェは恐怖とくすぐったさでビクンと敏感に反応した。

アイシェ「マホ…ロア…!」

止められなかった…こんなにも近くに、目の前に居たのに…

自分の気持ちを止められないくらいに…こんなにもマホロアの事を愛してしまったのに…

ゲームで見た展開を繰り返してしまった事…この後にマホロアが「辿る未来」…自分のマホロアへの想い…全ての感情が混ざり合った結果、アイシェの青い瞳からは大粒の涙が零れ落ちた…

マホロア「……せっかくこれカラお楽しみの時間なの二…カービィ達がモウ追いついちゃっタ…。」

アイシェ「(みんな…!!)」

マホロア「アイシェはこの中デ大人しくしてテネ、全てが終わっタラ…キミは今度こそ、身も心も全てボクのモノダヨ。」

アイシェ「っ………!!」

狂気を帯びたマホロアの声はアイシェの耳を通じて全身を恐怖で支配して…

マホロア「そうダ、アイシェにボクのモノだという証を付けテおかないトネ。」

そう言ってマホロアはアイシェの左耳に黄色で縁取られた青いリボンを結び、魔力が凝縮されたシャボン玉の様な物に彼女を閉じ込めた。

その後、カービィ達はマホロアに追いついた!

カービィ「マホロア、待って!」

マホロア「ボクをわざわざ追いかけて来るなんてネェ………出でよ、ローア!」

彼はディメンションホールを開き、ローアを召喚した!

カービィ「そんな…ローアと戦うなんて!」

メタナイト「カービィ、ローアの色が違う…恐らくマホロアに操られているんだ!」

バンワド「戦うしかないの!?」

デデデ「少なくとも正気に戻すには、そうするしかねぇな!」

パーツを集めて修理して…マホロアやアイシェと共に皆で楽しく過ごしたローアと戦う事に抵抗があったが、元に戻してマホロアを止める為には止むを得ない!カービィ達は決意を固めてローアとの戦闘に挑んだ。

オールを回転させてブーメランの様に飛ばしてきたり、遠くから攻撃してきたり…更には激しい竜巻の様な衝撃波でカービィ達を襲ってきたが、激しい戦闘を繰り広げた末に遂にローアを撃墜した!

カービィ「マホロア!」

デデデ「もう逃げられねぇぞ!」

バンワド「こんな事、もう止めようよ!」

メタナイト「アイシェを解放するんだ、マホロア!」

マホロア「しつこいネェ…!」

魔力球を放つマホロアだったが、メタナイトがそれらを剣で弾いていく…

メタナイト「観念しろ!」

マホロア「コレなら…ドウダッ!!」

ぐぐぐっと力を込めて、マホロアは先程より強力でたくさんの魔力球を放った!

それらは不規則な動きでカービィ達を襲い…

デデデ「うわっ!!」

バンワド「大王様…わあっ!!」

メタナイト「大王、バンワド……ぐっ…ぬわっ!!」

カービィ「メタナイト!!」

ギリギリの所で一発弾き返したが、その直後の球にぶつかって3人は落ちていき…

ランディア「ギュアアーー!!」

カービィ「ランディアどうし…うわあぁぁ!!」

最後の球を喰らい、カービィも3人の後を追うように真下の星の様な空間に落ちていった…。

メタナイト「カービィ!」

カービィ「んっ…メタナイト、みんな大丈夫?」

メタナイト「あぁ…それよりもカービィ、この先からマホロアの気配を感じる。」

カービィ「という事は、この先に…!」

バンワド「行こう、アイシェを助けないと!」

デデデ「そうだな、そしてマホロアの奴にはたーっぷり反省して貰うぜ!」

カービィ「うん、マホロアを止めてアイシェもポップスターも助けよう!」

4人は準備を整えて扉をくぐった…そこには蠢くマスタークラウンを乗せたマホロアが待ち構えていて…

マホロア「まだボクに楯突くのカイ?」

カービィ「マホロア、もうこんな事止めよう!アイシェだってこんなの望んでないよ!」

マホロア「アイシェはボクだけのモノだ、気安く口にするナ!!」

カービィ「うわぁっ!!」

怒ったマホロアの魔力球の弾幕が容赦無くカービィを襲い、そのまま吹っ飛ばされた!

バンワド「カービィ!」

カービィ「大丈夫、マホロアを必ず止めないと!」

決意を固めたカービィは、直前の部屋でコピーしてきたソードを手に、マホロアへ立ち向かった!

最初こそ余裕の表情を浮かべていたマホロアだが、ある程度ダメージを与えると突然俯いて…

マホロア「ボクの…邪魔をするナァァァァーーーー!!」

突然叫ぶと、マホロアの目つきが変わった!

そして彼が手を動かすと…真ん中に魔法陣が現れ、巨大なブラックホールが出現した!

デデデ「吸い込まれたら大ダメージだ、気をつけろ!」

バンワド「うっ…すごい力…!」

カービィ「マルクの時と全然違う…!」

マホロア「あんな腐レ道化師如きト一緒にスルナ、ボクの方が比べ物にならない程格上ダヨ!」

すると今度は魔力球を飛ばした後に、両手から強力なビームを放った!!

4人は寸前の所で何とかかわしたが、マホロアの攻撃は激しくなる一方で…それでもカービィ達は諦めずに戦い続けた!

カービィ「これで最後だよ!」

残り一撃で倒せそうだ!そう思った次の瞬間!

マホロア「リフバリア!」

カキンッ!寸前の所でマホロアに防がれ、攻撃が無効化されてしまった!

バンワド「マホロアが無敵になっちゃった!」

メタナイト「あぁなっては我々の攻撃が通じない…!」

デデデ「あの野郎、どこまでも卑怯な手を…!」

皆が困ってたその時、マホロアのローブからシャボン玉の様な物が出てきて…その中に居たのはアイシェ!

アイシェ「みんな!」

カービィ「アイシェ!」

マホロア「クッ…今の防御の衝撃デ…!」

アイシェに危害が及ばない様、マホロアは更に強い魔力をかけた一方、中から一生懸命叩いて何かを訴えるアイシェの姿が見えていた!

アイシェ「カービィお願い、マホロアを止めて!」

彼女の声は殆ど遮られてしまっているが、僅かに届いた言葉を、カービィは聞き逃さなかった。

カービィ「アイシェ、任せて!」

彼女からの言葉を、気持ちを受け取ったカービィは「マホロアを絶対に止める!」と改めて強く決意して彼に立ち向かった!

To be continued…