小説「夢結ぶ星りんご」~アップルパイが焼けるまでは甘い時間を~

家に戻った頃には夕方で、空がオレンジ色に染まっていた。

アイシェ「急いでアップルパイ作らなきゃ。」

カービィ「じゃあ、ボクはその間にデデデ城に行って様子を見てくるよ!」

そう言うとカービィはワープスターを呼び、そのまま飛び去って行った。

アイシェ「行ってらっしゃい!」

マホロア「気を付けてネェ!」

2人は笑顔で送り出して家に入り…

アイシェ「マホロア、ゆっくりしててね。」

アップルパイを作り始めたアイシェに対してマホロアは寛ぎながらも、その腹の中は欲で溢れていて…

マホロア「ウン、分かったヨ。(カービィが居ないカラ2人っきりの大チャ~ンスダヨォ!帰って来ない内にアイシェとイチャイチャして…パーティーが終わっタラそのままローアに連れて帰ってあわよくば…クッククク!)」

彼がそんな事を思っているとは知る由も無く、アイシェは順調に準備を終えて、大きなパイ生地をオーブンにセットして焼き始めた。

アイシェ「後は焼けるのを待つだけだね、今回も上手に出来てるといいな。」

マホロア「アイシェの作るアップルパイだモン、最高に美味しいのが出来るヨォ!」

アイシェ「えへへ、ありがとうマホロア。」

ふにゃっと笑うアイシェの笑顔が可愛くて、マホロアの中では彼女に対する愛情で溢れてくる

マホロア「どういたしましテ………アイシェ。」

そっと近づき優しく抱きしめたマホロアを、アイシェも優しい笑みを浮かべて抱き返す

アイシェ「どうしたの、マホロア?」

マホロア「今は2人っきりダヨ。」

アイシェ「うん。」

マホロア「ボク…アイシェとい〜っぱい、イチャイチャしたいナァ。」

アイシェ「ふふっ、今もイチャイチャしてるよ?」

マホロア「コレだけじゃ足りないヨォ…。」

そう言うとマホロアはマフラーを下げ、アイシェの頬を両手で優しく掴んでキスをした。

アイシェ「マホロア…。」

マホロア「他にも…キス以外にもシたいコトがいっぱいあるヨ?」

夕暮れの光が窓から差して、マホロアの黄色い瞳は美しくも妖しく輝き…アイシェの体をピリピリとした弱い電流の様な感覚が巡り、ドキドキしてしまう…。

アイシェ「マホロア……そんな…ダメだよ…まだ恋人になったばかり……だし…。」

彼の言う「シたいコト」を理解しているアイシェは頬を赤く染めて、眉根も下がり少しだけ困った様子で後ずさりしたが、マホロアはどんどん前に来て…気がつくと壁に追いやられていた。

マホロア「ソンナの関係無いヨ…愛があれば…ネ?」

逃げ場の無いアイシェの両手首を優しく掴んで壁に押しつけ、マホロアはもう一度キスをした

しかしそのキスは今までと違って…角度を変えて何度も繰り返され、舌でアイシェの唇を割って口内に入ってきて…初めての感覚にアイシェの頭はふんわりした不思議な気持ちになった。

アイシェ「ん…んんっ…!」

キスを止めるとアイシェの頬は真っ赤で息は荒く、潤んだ青い瞳はマホロアの黄色い瞳を映していて…力が抜けてズルズルと倒れ込んでいくアイシェの体をマホロアは優しく受け止めながら、ゆっくりと床に押し倒した。

マホロア「そんな顔されタラ…我慢出来なくなっチャウ…。」

アイシェのケープのリボンを解いてそっと外し、マホロアの唇が彼女の首筋を這っていく

アップルパイが焼けて甘い香りが部屋を漂う中、同じくらい甘い時間を堪能する2人…今は邪魔する者は誰も居ない、自分達だけの世界。

アイシェ「んっ…はぁ…マホ…ロア…。」

マホロア「イイネェ、ゾクゾクしちゃうヨォ…!」

興奮しているマホロアは、アイシェの頬にキスをしてスリスリしていたが…

キラキラキラーーー

ワープスターの音が聞こえてきて、ゆっくりと体を起こした

アイシェ「あっ…。」

マホロア「残念だケド、続きはまた今度ダネ。」

そう言うとマホロアはアイシェを優しく起こしてケープのリボンを結び、ちゅっと頬にキスをした。

それから少ししてカービィが家に入ってきて…

カービィ「ただいまー!」

マホロア「お帰りカービィ!」

まるで何事も無かったかの様に、目を弓形に細めてゴマすりをしながら迎えるマホロアとまだ頬の熱が取れないアイシェだったが、カービィは全く気づく様子は無く満面の笑顔で話し始めた。

カービィ「デデデ城に行ったら、もう少しで終わるって言ってたからお手伝いしてたの。でね、準備が出来たから2人を迎えに来たんだ!」

そう言ってカービィが2人宛の招待状を渡したタイミングで…

チンッ!

オーブンからアップルパイが焼けたと合図が鳴り、アイシェは招待状を読んだ後に取り出して丁寧に包んだ。

アイシェ「これで準備出来たよ。」

マホロア「ボクもいつデモ行けるヨ。」

カービィ「それじゃあ、デデデ城へレッツゴー!」

3人を乗せたワープスターはキラキラと輝きながらデデデ城へと飛んで行き…到着すると庭の会場にはたくさんの人達で賑わっていた

バンワド「あ、アイシェとマホロアだ!」

デデデ「お、主役の登場だな!」

マホロア「すごい賑わい様ダネェ~!」

デデデ「お前が移住して来たんだ、後のテーマパークの事を考えても、みんなに顔を知っておいてもらった方がいいだろ。」

マホロア「大王…ホント~に感謝ダヨォ!」

アイシェ「大王さま、私からもお祝いでアップルパイを焼いてきたの。」

デデデ「お~今回も美味そうだな!パーティーが終わってから、いつものメンバーで打ち上げしながら食べようぜ。」

マホロア「そうダネ、せっかくダカラゆっくり味わいたいシ。」

バンワド「じゃあ、一旦ボクが預かっておくね。」

アイシェ「うん、お願いバンワドくん。」

アップルパイの入った包みをそっと渡すと、バンワドは城の中へ入ってデデデが食事をするテーブルに置いてきた。

会場はブロントバートやワドルドゥ、ポピーブロスJr.等のお馴染みの住民達の他にも、メタナイトやマルクも居た。

マホロア「何でマルクも居るんダヨ。」

マルク「ボクもちゃ~んと招待されたのサ。」

マホロア「…チッ。」

マルク「おい、聞こえてんぞ。」

マホロア「エ~ボク何も言って無いヨォ?」

その後はいつもの言い争いになっていて…

メタナイト「…あの2人は仲が悪いのか?」

アイシェ「きっと本当は仲が良いと思うよ。」

メタナイト「なるほど…喧嘩する程仲が良いというやつか。」

マホロア「仲良くネーヨ!」

マルク「ありえないのサ!」

そう言って怒る2人だが、メタナイトとアイシェは顔を見合わせて笑ってしまった。

するとデデデがマイクを持って喋り始め…

デデデ「今日からこのポップスター…プププランドの住民になったマホロア、そしてアイシェがコイツと恋人同士になった記念のパーティを存分に楽しんでってくれ!」

そう言うとみんなはワーワーと歓声を上げて盛り上がり、マホロアを歓迎する声や、アイシェとの恋仲を祝福する声も上がった。

カービィ「アイシェ、ごちそう食べよう!」

アイシェ「ふふっ、カービィったら!」

カービィ「だって、もうお腹ペコペコだよ。」

アイシェ「アップルパイもあるから、食べ過ぎない様にね。」

カービィ「大丈夫だよ、アイシェのデザートは別腹だもん!」

お互いに満面の笑みで話す2人を、優しい眼差しで見ているマホロア

アイシェ「マホロアも行こうよ!」

カービィ「そうだよ、みんなで食べればもっと美味しいんだから!」

マホロア「カービィ、アイシェ………ウン、今行くヨ!」

2人が差し伸べた手をマホロアが取り、3人で食事が乗せられているテーブルへ向かい…

その後は食事をしながら談笑して…楽しい時間が過ぎたのだった。

To be continued…