気が済んだマホロアはローアへ帰る道中、魔法でアイシェの荷物をふわふわと浮かせて運んでいたが…
マホロア「(あのクソピエロ、今度会ったらタダじゃおかないヨォ!)」
誤解が解けたとはいえ、マホロアはマルクのした事を許してはおらず…今度見つけたら痛い目に遭わせてやると心に決めた。
これでとりあえず大きい荷物は運んだ、後は小さな荷物をまた運んで当日を迎えるだけ…これから始まる2人の生活にマホロアは心が弾んだ。
そしてついに、アイシェがローアへ向かう前日になり…
アイシェ「美味しいね、カービィ!」
カービィ「うん!」
一緒に暮らすのが最後となったこの日は、2人で仲良くオムライスを作り、ケチャップでお互いの顔を描いて食べた
明日の準備をして、ベッドに入った時…お互いに向き合って手を繋ぎ…
アイシェ「カービィ、本当に…本当にありがとう。」
カービィ「ボクの方こそありがとう、アイシェ。」
アイシェ「これからも、泊まりに来ていい?」
カービィ「もちろん、いつでも大歓迎だよ。」
アイシェ「ありがとう、カービィ。」
カービィ「どういたしまして。」
2人はそっとおでこを当てて笑い合い…じきに眠りについた。
一方のマホロアは夜空の散歩をしていたマルクを見つけて、空を飛びながら逃げる彼を追いかけ回していた
マルク「マホロア、お前しつこいのサ!」
マホロア「アイシェは許してモ、ボクは許してないカラ!」
そう言いながら、マホロアは魔力球を飛ばしながらマルクを追い続ける!
マルク「あの件はホントに悪かったって!」
マホロア「それで済んでタラ、今こうシテ追っかけてネーヨ!」
マルク「ひっ…!」
何て執念深い奴だ!マルクは改めて、マホロアの黒い部分を再認識した…
前から執着心の強さは知っていた…けどまさか、アイシェにイタズラをした誤解からこんな大事になるとは思いもしなかった。
このままでは朝になっても追いかけてくるだろう…何なら本当に地獄行きにされそうだ!
飛び回って逃げつつ、マルクは必死に思考を巡らせた…何とかしてマホロアから逃げる方法を…
そして、1つの答えに行き着き…ピタッとその場に止まった。
マホロア「ついに観念したのカイ?」
そう言って魔力球を出そうとしたマホロアだが…
マルク「アイシェの弱点を教えるのサ!」
その言葉に、マホロアの手がピタッと止まった。
マホロア「…アイシェの弱点ダッテ?」
マルク「ボクを許してくれるなら、代わりにこの前の件で知ったアイシェの弱点を教えるのサ…どーよ、悪い話じゃないだろ?」
マホロアはマフラーに手を当てて考えた…マルクの事だ、嘘を吐いてる可能性もある…けど、この前くすぐっていたんだから弱点の1つや2つを見つけていてもおかしくない
マホロア「マルク、自分が助かりたいカラッテ…大事な友達を売るのカイ?」
マルク「人聞きが悪いのサ!お前が許さないなら、ボクも教えられないのサ。」
少なくとも自分が危機的状況下にある中で、咄嗟に嘘を思いつくのも難しいだろう…それに彼の持つアイシェの弱点を知っておくのは、自分にとってはプラスでしか無い…そう判断したマホロアは、この「取引」に応じる為にマルクの話を信じる事にした。
マホロア「…今回ダケは許してヤルカラ、聞かせテヨ。」
マルク「感謝するのサ!…アイシェはこの前…」
心底ホッとしたマルクは、約束通りアイシェの弱点をマホロアに教えてそのまま飛び去り…
マホロア「コレは盲点だったネェ……今度ソコも試してみるヨォ。」
月夜に照らされたマホロアの黄色い瞳は怪しく輝きながら弓なりに細められて、マフラーの下では満足そうに口角が上がった。
翌日、アイシェは纏めた荷物と共に迎えに来たマホロアと共にローアへ向かった
カービィ「アイシェ、またねー!」
アイシェ「うん、またねカービィ!」
カービィ「マホロア、アイシェをよろしくねー!」
マホロア「もちろんダヨォ!」
お互いに笑顔で手を振り、2人は仲良く散歩しながらローアへ向かい…しばらくして無事に到着した。
アイシェ「今日からここで暮らすんだね。」
マホロア「ボク、すごく嬉しいヨォ!」
アイシェ「ふふっ、私も嬉しい!」
純粋無垢な笑顔を向けるアイシェにマホロアも笑顔で応えるが、昨夜マルクに教えて貰った弱点について試してみたい気持ちもあって…その腹の中は黒く渦巻いていた。
その後、マホロアはアイシェの部屋で荷解きを手伝っていたが…
マホロア「(ワオ!アイシェの下着が入ってる箱だったヨォ~ブラボー!でもバレたら大変ダカラ、見なかった事にしておこうット。)」
せっかく暮らせる所まで来たのだから、しょうもない理由で嫌われたくない…本当は色々と探りたい欲を抑えて、マホロアは荷解きの手伝いに専念した。
2人でやったのもあって無事に終わり、その後は2人で仲良くソファで寛いでいたが、マホロアはそっとアイシェに近づいて…
つつつーっとアイシェの無防備な背中をなぞった
アイシェ「ひゃあっ!?」
突然背中をなぞられたアイシェは、ゾクゾクとしたくすぐったさで驚いて声を上げ、それを聞いたマホロアは…
マホロア「クックック、ホント~に背中も弱いんダネェ。」
アイシェ「ま、マホロア…?」
マホロア「マルクから聞いたんダヨ、アイシェが背中も弱点ダッテネ。」
アイシェ「ど、どうしてそんな事…。」
マホロア「他にも…コレはどうカナ~?」
そう言うと今度はアイシェの脇腹をくすぐり出して…2人共そのままソファに倒れ込んだ。
アイシェ「まっ…マホロア…あははははっ!」
マホロア「ククク…コレでボクはアイシェの脇腹を支配スルのダ~ナンテネッ!」
アイシェ「ひゃ…マホ…ぉ…!」
潤んだ青い瞳がマホロアを見上げていて、頬も真っ赤に染まっていて…
マホロア「コレは……ボクを誘ってるのカイ?」
アイシェ「ち…違…!」
マホロア「まだ明るいケド、今カラ熱~い2人の時間を満喫しようネェ~!」
アイシェ「ま…マホロアぁ…!」
ルンルンのマホロアは、アイシェの首筋に顔を埋めたが…
カービィ「おーい、マホロア、アイシェー!」
外からカービィの声が聞こえて来た。
アイシェ「カービィ…!」
マホロア「居留守しちゃえばイイヨォ~。」
そう言って、お構いなしにアイシェの太ももを触り始めたマホロアだが…
ウィン…ローアの扉が開く音が聞こえて、慌ててアイシェから離れた!
カービィ「おじゃましまーす!2人共、バンワド達と遊ぶんだけど一緒に行かない?」
マホロア「カービィ…どうやって入って来れタノ…?」
カービィ「え?ローアが開けてくれたよ?」
すると、アイシェの脳内にローアの声が聞こえて来て…
アイシェ「ローア…。」
マホロア「アイシェ、確かローアの声が聞こえるんダヨネ…という事ハ…!?」
アイシェ「うん…ローアが開けてくれたみたい。」
昼間から暴走する主を止めてアイシェを助ける為、ローアは自らの意思で扉を開けて、カービィを船内へと招き入れたのだ。
マホロア「ローアァァ…余計な事スルナヨォ…!!」
野望を打ち砕かれたマホロアはガックリして…何も知らないカービィはキョトンとしていて…
カービィ「マホロア、どうかしたの?」
マホロア「…何でもないヨォ…。」
アイシェ「カービィ、一緒に遊ぼう。」
マホロア「アイシェ!?」
カービィ「決まりだね、マホロアも行こうよ!」
そう言ってカービィはマホロアの手を掴んで外へ走り出した!
マホロア「チョッ…カービィ!?」
お預けを喰らって半ば強引に外へ連れ出されたマホロアを見届けて、アイシェは天井を見上げて優しく笑った
アイシェ「…ありがとう、ローア。」
ローアからの返事は無かったが、変わりに優しい風がアイシェの髪を撫でてくれた。
カービィ「アイシェー?」
アイシェ「うん、今行くね!」
パタパタと可愛い足音を響かせて部屋を出て行ったアイシェは、日が暮れるまでみんなと遊びローアに戻ったが…
マホロア「アイシェ~昼間の件ダケド、覚えてるヨネェ?」
アイシェ「ま…マホロア…!」
マホロアはアイシェをぎゅっと抱きしめながら、太ももを撫で回し…黄色い瞳がギラギラと輝いている。
マホロア「今度こそ、2人きりの熱〜い時間を満喫しようネェ〜!」
こうしてアイシェは、昼間の件を忘れるはずも無かったマホロアによって美味しく頂かれたのだった。
To be continued…