自分に向けてブキを構えるツネに、タキは戸惑いつつもヒーローシューターを構えた。
タキ「ツネ…何があったのか知らないけど、俺は君の仲間を捕らえてな…」
バシュッ!
言い終える前にツネは攻撃を始めて、タキは後ろに大きくジャンプをしてかわした。
ツネ「貴様の戯言は聞きたくない。」
タキ「ツネ…!」
ドドドドドドド…!
ツネのクアッドホッパーブラックの弾幕が容赦なくタキを襲い…
タキもまた、ヒーローシューターで応戦した。
ツネ「答えろ…仲間を…ざくろをどこへやった!?」
タキ「知らない…一体何の事なんだ…!」
ツネ「許さない…まめみを…仲間達を…僕の大切な存在をどこまでも貴様は…!」
バシュッ!
感情的になっているツネはタキを執拗に襲い、攻撃を受けたタキは勢いで吹き飛ばされ大きな岩にぶつかった!
タキ「ぐっ…う…ゴホッ…ゴホッ…!」
ツネ「このっ!」
タキ「くっ!」
ぶつかった衝撃で咳き込むタキに対してツネは容赦なく襲いかかり、それをサッとかわすと反撃に出た。
同じ頃…
エン『やはり手がかりは無しですね…。』
すると…
ピピピッ…エンの無線が鳴り、タコワサの声が聞こえてきた。
タコワサ『エン、様子はどうだ?』
エン『手がかりは何も無いです…。』
タコワサ『そうか…済まないなエン、お前もろくに休めていないというのに…。』
エン『私はまだ少し休めているので大丈夫ですが、ツネが…。』
タコワサ『最近ほとんど眠れていない様子だな…ワシからも言っているのだが…。』
エン『将軍、ツネをこれ以上前線に出すのは危険です…少しでも休息を取らせるのが得策かと…。』
タコワサ『そうだな…エン、一度ツネと共に戻るのだ。』
エン『分かりました。』
ピッ…タコワサとの会話を終えて、エンはツネに連絡をしたが…
ツネからの返事は無く、無線も切っている様で全く反応が無い…
何かあったのでは…そう思ったエンは地面を蹴って駆けだし、ツネの行った方角へ向かうのだった。
一方…
ツネ「まだだ…まだ…終わっていない…!」
タキ「ツネ…!」
一度はツネを倒したタキがその場を立ち去ろうとしたが、彼はゆっくりと立ち上がった。
ツネ「貴様が…貴様が居なければ…!」
タキ「ツネ、落ち着くんだ…!」
ツネ「黙れ!」
互角の戦いではあったが、寝不足の影響もありツネの体力は限界に達していて…息も上がりフラフラしていて今にも倒れそうで…
タキ「もうやめろ…!」
ツネ「返…せ…僕の仲間を返せえぇぇぇぇ!!」
タキの制止を遮り、ツネは向かって来て…
ヒーローシューターを構えたその時!
タキ「!!」
パリン…ポシュッ!!
間一髪の所でタキは気がつきかわしたが…その場に落ちていたのは割れた瓶と黄色の霧…ポイズンミストだ。
ふと見上げると、高い足場に黄色のアフロ頭のボーイが居て…
タコマスクに白衣、タコゾネスブーツネオ姿…見た目は少し不気味な雰囲気を醸し出していて、そこから覗く紫の瞳はタキをしっかりと見つめていて…
彼はツネと同じ位の強敵だ…タキは一瞬でそれを感じ取り、ブルッと武者震いをした…。
ツネ「エン!」
タキ「エン…彼が…!」
彼は飛び降りて来くるとツネの前に立ちはだかり、タキの方を向いた。
エン「初めまして、ヒーロー3号。私は研究部隊のエンと申します。」
タキ「(イカの言葉をこんなに流暢に…)貴方が…前に俺とツネが幼児化した薬を…。」
エン「えぇ、入れ替わりの薬の件も含めて…その節は大変申し訳なく思ってます。」
タキ「あの…俺は…」
そう言いかけたタキだが…
ツネ『エン、何で邪魔するんだ!』
怒りが収まらないツネはタキに襲いかかろうとしたが、彼に押さえられていて…
エン『ツネ、今の貴方は冷静な判断が出来ていません。』
ツネ『けどコイツのせいでざくろやサマーニャが…仲間達が…!』
エン『それは違います、今回の件に彼は何も関与していませんよ。』
ツネ『でも…!』
エン『ツネ、気持ちは分かります…ですが、ここで貴方が冷静になれなくてどうするんですか。』
ツネ『………………!』
エン『心配で不安で堪らない気持ちは私も同じです…ツネ、1人で抱えないで…私は貴方まで失いたくない…!』
ツネ『……エン……!』
エンの紫の瞳を真っ直ぐ見つめるツネの黄色の瞳は次第に落ち着き…瞳孔が徐々に元に戻っていった。
エン『落ち着いた様ですね。』
ツネ『…ごめん…。』
エン『大丈夫ですよ、将軍がお呼びです…戻りましょう。』
ツネ『お爺様が……分かった。』
エン『歩けますか?』
ツネ『大丈夫…。』
エン『ふらついてますね…肩を貸しましょう。』
ツネ『ごめん…ありがとう…。』
エン「貴方も任務に向かう途中だったのでしょう…ご迷惑をおかけしました。」
タキ「いや…大丈夫…。」
エン「それでは失礼します。」
2人が去ろうとしたが…
タキ「あ…ツネ…!」
突然タキが呼び止めた。
ツネ「…………………。」
タキ「ツネ…君の任務が終わってからでいい…まめみの…まめみの傍に居てあげて欲しい…。」
ツネ「………………!?」
突然何を言い出すんだ…ツネは内心驚いたが、表情に出す程の気力は残っていなかった…。
タキ「俺はしばらく任務で帰れない…まめおも傍に居るけど…幼馴染みの君が居れば…まめみはもっと安心してくれると思う…お願いだ…俺が帰るまで…彼女を守ってくれ…。」
ツネ「…………………………。」
彼は何も答えず、エンはタキに頭を下げて挨拶をすると…ツネと共にその場を後にした…。
タキ「…俺も行かないと。」
2人を見届けたタキはマントを翻し、再びアタリメ司令との合流場所へ向かう為に出発するのだった。
To be continued…