小説「夢結ぶ星りんご」~桜吹雪のキミに~

主にカービィとデデデによってお弁当はあっという間に空になり、みんなは満腹になった後はそれぞれ楽しみ始めた。

デデデとメタナイト、タランザにマホロアは桜を見ながら紅茶を嗜み、マルクは桜の木に登って優しく枝を揺すり、アイシェ達に花弁を落としていく

マルク「ホラホラ、どうなのサ?」

アイシェ「わぁっ、たくさん降ってきた!」

カービィ「桜の雨だぁ~!」

バンワド「綺麗だね、それに桜がいい香り!」

タランザ「桜のクッキーも、香りが良いからおすすめなのね。」

アイシェ「それなら、後で摘ませて貰って作ってみるよ。」

マホロア「アイシェの作る桜のクッキー、楽しみダヨォ。」

アイシェ「ふふっ、ありがとうマホロア。」

そう言って少しはにかみつつも嬉しそうなアイシェを見て、マホロアも穏やかな笑みを浮かべる。

マルク「アイシェもカービィもバンワドも、こっちに来るのサ?」

アイシェ「うん、行きたい。」

マルク「今そっちに行くのサ。」

そう言うとマルクは降りて来て翼を出し、アイシェを抱き抱えて飛んだ。

そしてカービィもバンワドを乗せてホバリングし、みんなで桜の木の上に到着した。

マホロア「マルク、アイシェを絶対に落とすなヨ!」

マルク「分かってるのサー!」

デデデ「おーい、眺めはどうだ?」

アイシェ「すっごく綺麗!」

視線の先にはたくさんの桜と花畑、綺麗な川が広がっていて…アイシェは青い瞳を輝かせて見惚れている。

しばらく景色を眺めていたが…

カービィ「すぅ…すぅ…。」

バンワド「むにゃ…。」

マルク「寝ちゃってるのサ。」

アイシェ「ふふっ、気持ちよさそう。」

マルク「そのうち起きるだろーし、先に降りるのサ。」

アイシェを抱えてマルクは地面に降り、タランザ達の元へ行って紅茶を飲み始めた。

メタナイト「桜の花弁が…ふむ、これもまたいいな。」

ふわっとティーカップに舞い降りた桜の花弁と共に紅茶を飲むメタナイト、そしていつの間にかデデデも桜の木の下でぐっすりと眠っていて…タランザ達は引き続きティータイムを楽しんでいたが、マホロアは桜の木の側でせっせと何かを作っていた。

しばらくして…一段落したマホロアは、アイシェの姿が無い事に気がついた。

マホロア「アイシェ?」

どこに行ったんだろう…平和な星とはいえ、扉をくぐってしまえばそこは違う季節のエリア…何か危ない事に巻き込まれたら大変だ。

心配しながら辺りを捜し回ると、みんなの居る場所から離れた桜の木の下にアイシェが居た。

安心したマホロアはゆっくりと近づき、アイシェも気づいて優しい笑みを浮かべる。

アイシェ「マホロア。」

マホロア「気がついたらアイシェが居なくテ、心配したヨ。」

アイシェ「ごめんね、クッキー用に桜の花を摘んでたの。」

そう言ってアイシェはローアから持って来た、お菓子を入れていたのとは別の小さなバスケットに入れた桜の花を見せた。

マホロア「ワァ、綺麗ダネ。」

アイシェ「あまり日持ちしなさそうだから、必要な分だけと思って。」

マホロア「ボクの魔法デ、枯れない様に出来るヨ。」

アイシェ「ほんと?」

マホロア「ウン、好きなダケ摘んでイイカラネ。」

アイシェ「ありがとう、それじゃあもう少しだけ摘ませて貰うね。」

桜の木を優しく撫でると、アイシェは再び花を丁寧に摘んでいき、少しして摘み終えるとバスケットの蓋を閉じたが陽が傾き始めていて…

マホロア「モウ夕方ダネ。」

アイシェ「あっという間に終わっちゃった。」

マホロア「せっかくダカラ、夜になったら温泉にでも入ってカラ帰ろうカ。」

アイシェ「この辺にあるの?」

マホロア「ウン。今朝の準備デ調べてた時に出てきた情報だと、自然に沸いた温泉があるみたいダネ。」

アイシェ「素敵…ゆっくり疲れが取れそう。」

楽しみにするアイシェだが、マホロアは笑顔を見せつつ心の中では邪な事を企んでいて…

マホロア「そうダネェ。(クックックッ…2人きりになれれば…アイシェと一緒に温泉でイチャイチャ出来るヨォ!)」

2人で夕暮れを眺めていると、あっという間に陽は沈んで月が出始め…辺りは暗くなってきた。

アイシェ「わぁ…夜桜も綺麗!」

マホロア「満開の桜がたくさんあるカラ、迫力もあるネェ!」

綺麗な夜桜を眺めていた2人だが…

ビュウッ!!

突然強い風が吹いて、地面の花弁が舞い上がった!

アイシェ「きゃあっ!」

マホロア「アイシェ!」

視界が遮られる中、マホロアはアイシェの腕を掴んで抱き寄せ…しっかりと彼女を抱きしめた。

しばらくして強い風は止んだが、舞い上がった花弁と桜の木から舞う花弁…そして優しくなった夜風で桜吹雪となった。

アイシェ「ふふっ、マホロア桜まみれになってる。」

マホロア「アハハッ、アイシェもダヨ。」

そう言うとマホロアは、アイシェの頬を優しく撫でた。

アイシェ「マホロア…。」

月明かりに照らされた桜の花弁を纏うアイシェは美しくて、マホロアはゴクリ…と生唾を飲むと頬を赤く染め、そっと顔を近づけて…

マホロア「綺麗ダヨ、アイシェ…。」

そう囁き、桜吹雪の中で2人は甘いキスをかわした。

アイシェ「…やっと一緒にお花見出来たね。」

マホロア「エッ?」

アイシェ「1年前のお花見にマホロアは居なかったけど…これからはずっと一緒だから嬉しいの。」

マホロア「アイシェ…ボクも嬉しいヨ、ずっと一緒に何度でもコノ景色をキミと見たいんダ。」

アイシェ「ふふっ、約束だよ。」

マホロア「ウン。」

ぎゅっと2人は抱き合い再びキスをして、マホロアはゆっくりとアイシェを桜の絨毯に押し倒し…桜の花と香りに包まれながら、何度も甘いキスをして2人きりの時間を満喫した。

しばらくして…

マルク「おーい、2人共捜したのサ!」

煌めきの羽を輝かせながらマルクが飛んできて、マホロアは彼を見上げて口を開いた

マホロア「カービィ達は起きたのカイ?」

マルク「あぁ、ついさっき起きたのサ。」

マホロア「近くの温泉に入って帰るカラ、ミンナにそう伝えてヨ。」

マルク「分かったのサ。」

そう言うとマルクは飛んで戻って行き…

マホロア「戻る前にアイシェ…コレをキミに。」

そう言ってマホロアが差し出したのは、小さな桜の花冠

アイシェ「綺麗!マホロアが作ったの?」

マホロア「ウン、ボクが編んだんダ。魔法で枯れない様にしてあるカラネ。」

そう言ってそっとアイシェの頭に乗せると、アイシェはとても嬉しそうに笑う

かつて支配の冠によって覇王となったマホロア…しかし今は違う、夢の為に友や愛する人と生きる道を選び、たった1人の愛しくて可愛いお姫様の為に、手作りの愛の冠を捧げたのだ。

アイシェ「ありがとうマホロア!」

マホロア「フフッ、どういたしましテ。…サァ、ミンナが待ってるカラ行こう、アイシェ。」

アイシェ「うん。」

優しく笑って差し出された手をアイシェも笑顔でそっと取り、2人で仲良く手を繋ぎながらカービィ達の元へ戻った。

To be continued…