※小説「緑髪の少年(再会編)」最終話~取り戻したもの~のスピンオフ小説。
後日談で、まめおとスーのお話です。
ポナの記憶が戻り早数ヶ月…
それぞれ日々の生活を楽しむ一方、ポナとまめみは順調に愛を育んでいた。
最近の変化といえば…ポナは家を購入して一人暮らしを始め(イカの世界は物価が基本的に安く、家を買うのも普通の事で珍しくない)、お互いに合い鍵を持って行き来していた。
そしてこの日、ポナはまめおとまめみの家に…
まめみ「ポナ君、あ~ん。」
ポナ「あ~ん、美味しい!まめみの料理はいつも本当に美味しいよ。」
まめみ「ふふっ、嬉しい。」
ポナ「まめみ…。」
愛しい彼女の名前を呼んで、ポナはゆっくりと顔を近づけた。
まめみはゆっくりと目を閉じ…後数センチで唇が触れる…その時!!
バンッ!!
大きな音を立てて家のドアが開き、まめおが帰ってきた。
まめお「全くあのじゃじゃ馬!俺の話をちっとも聞きやしねぇ!」
そう言いながらリビングに入ってきたまめおは、かなり怒ってる様子だ…。
まめみ「お…お帰りまめお…。」
まめお「ただいま。お、ポナも来てたのか。」
ポナ「お邪魔してます。…まめお、何があったの…?」
まめお「…今思い出しても腹が立つぜ!スーの野郎!」
まめみ「スーちゃん…?スーちゃんと何かあったの?」
まめお「あいつ、俺がパーマネント・パブロで敵を引きつけてる間に上を塗れって言ってんのに『あたしに任せてあんたが上に行って塗りなさいよ!』って言いだしやがって、その場で喧嘩してたら2人で仲良く敵のリッターに撃ち抜かれた…。」
ポナ「(それはそんな所で喧嘩するまめおとスーが悪いんじゃ…。)」
まめみ「(ポナ君…それは言わない方がいいよ…。)」
いまだにカリカリするまめおを見ながら、ポナとまめみは小さな声で話していた…。
まめお「俺なりにあいつを守ろうとしてるのに…何度言ってもあいつは単身突っ込んで行きやがる…。」
そう言いながらまめおはお茶を飲み始めたが…
まめみ「まめお、スーちゃんが大好きだものね~。」
ポナ「!!」
まめお「!?」
ゴフゥッ!!
まめおは飲んでいたお茶を盛大に吹き出し、ポナはまめみが突然そんな事をさらっと言った事に目を丸くして驚いていた…。
まめみ「ちょっと…大丈夫?」
まめお「ゴホッ…ゲホッゲホッ…お…おま…何言い出すんだよ…!」
まめみ「何って…まめお、スーちゃんが大好…」
まめお「2度も言わなくていい!」
まめみ「何よ~そんなに照れなくてもいいじゃない。」
まめお「照れてねぇ!お前が変な事言うからだろ!」
まめみ「あたしは何も変な事言ってないよ、ねぇポナ君?」
ポナ「え!?えっと…その…あの…」
いきなり話を振られたポナはしどろもどろになってしまった…。
まめお「…たくっ…俺はな、ああいうじゃじゃ馬はタイプじゃねぇの、お前みたいにド天然なお気楽娘もな。」
そう言うとまめおは意地悪そうにニヤニヤとまめみを見た。
まめみ「んぅ~まめおの意地悪ーーー!」
そう言うとまめみはプリプリと怒り出し…傍にあったハイドラントを担いでチャージを始めた!
まめお「わっ…馬鹿やめろ!お前…家の中でハイドラントぶっ放すんじゃねぇ!」
ポナ「ま…まめみ落ち着いて!」
まめみ「まめおの馬鹿ーーーー!」
ダダダダダダダダ!!
ビシャビャ!
ガシャンガチャン!
ガッターン!!
インクはすぐに消えるから問題無いものの…近くにあったコップや置物はガラクタに…。
そしてまめおはキルされてソファに頭から突っ込んだ状態でピクピクしていて…
壁の隅でじっとしていたポナのすぐ真横の壁にはハイドラントのインクによって出来た穴が…。
これもすぐに消える為問題は無いが…
まめお「あ…が…はぁ…まめ…み…お前……。」
ポナ「あ…あわわわわ……!」
まめおはピクピクしたままやっと声を発し…ポナはかけていたメガネがずり落ちたまま呆然としていた…。
同じ頃…スルメさんのお店では…
スー「もうっ!何であいつはあんなに頑固なの!」
そう言いながらスーはドアを勢いよく開けて入ってきた。
フー「お帰り、スー。機嫌が悪いな…どうしたんだ?」
スー「ただいま…。…ほんっと頭に来るわ、まめおの奴!」
フー「まめお?お前またつまらない事で喧嘩したのか?」
スー「つまらなくないわよ!あたしなりにあいつを守ろうとしてるのに…!」
フー「…お前もあいつも素直じゃねぇな。まぁ喧嘩するほど仲が良…」
スー「兄貴は黙ってて!!」
フー「うぉぉ……!」
バンッ!!
そう言うとスーは勢いよく扉をしめて、自分の部屋に籠もってしまった…。
よっちゃん「あらら…スーちゃん、またまめお君と喧嘩しちゃったのね。」
スルメさん「まめおも意地っ張りな所があるさかい、スーとぶつかり合ってしまうんやな。」
フー「喧嘩するほど…仲がいいってやつなんだろうけどな。」
2人がお互いの気持ちに気づくまでは…まだまだかかりそうだ…。
フー達はそんな事を思いながら、スーの去った方を見ていた。
To be continued…