小説「青と水色が混ざり合うと」~雨が縮めてくれる距離~

※まめおの過去話の詳細を知りたい方は、「幼き記憶とダイオウイカ」編を読んで下さると繋がります。

まめお「だからここは俺が塗るって言ってんだろ!」

スー「あたしに任せて、あんたはもっと安全な所を塗りなさいよ!」

まめお「俺が敵を引きつけて、お前を守ろうとしてんのに何で突っ込むんだよ!」

スー「それはあたしが言いたいわよ!あんたこそ、何で1人で敵を引きつけようとするの!」

相変わらず喧嘩ばかりの2人…こんな調子の為、試合も散々な結果で終わってしまった…。

まめお「おいスー、どこ行くんだよ!」

スー「うるさいわね!あたしがどこに行こうと勝手でしょ!」

怒ったスーはロビーに戻り、そのままハイカラシティから出てどんどん歩いて行ってしまう…

まめおもまだイライラしていたが、スルメさんのお店に戻らないスーが心配で後を追いかけていた。

ガシッ

そしてまめおはスーに追いつき、彼女の手首を掴んだ。

まめお「落ち着けって、スー!」

スー「落ち着いてるわよ!付いてこないで!」

まめお「お前を心配してるんだろ!」

スー「あんたに心配されなくても大丈夫よ!」

まめお「このじゃじゃ馬娘!俺の気も知らずに…!」

まめおはついカチンときてしまい、手首を掴む手に力を入れてしまい…

スー「痛っ…話してよ馬鹿!」

バチーン!!スーも思わずまめおの左頬にビンタをしてしまい、その勢いで彼も手を離してしまった。

まめお「痛ってぇ…!」

スー「…!…ご…ごめん…。」

まめお「お前って奴は…」

謝るスーに対してまだ怒りが収まらないまめおだったが…

ポツッ…ポツポツ…

ザァァァァァーーー!!

突然、激しい雨が降り始めた…。

スー「あ…雨が…!」

まめお「っ…俺の家に来い!」

スー「ちょ…ちょっと…!」

まめおは再びスーの手首を掴み、家へ向かって走り出した。

少しして…2人は家に着いたが…まめみの姿は無かった。

まめお「まめみ?帰ってないのか…?」

連絡をしようとイカスマホを手に取ると…まめみからイカラインのメッセージが来ていた。

まめみ『まめお、今日は雨が降ってきて帰れそうにないから、ポナ君の家に泊まるね。ごめん、ご飯は適当に食べて!』

まめお「まめみ、ポナの家に泊まるのか…。…とにかくスー、上がれよ…このままじゃ冷えちまう。」

スー「…う…うん…。」

2人は靴を脱いでリビングへ…

まめお「うへぇ…ビショビショだぜ…。」

そう言ってまめおは服を脱いだが…

スー「!!まめお…あんた…背中のその傷…!?」

彼の背中の傷を見て、スーは驚いて目を見開いた。

古いものだが…そこには右上から斜めに大きな裂傷の痕が…

まめお「あぁ…これか。びっくりさせちまってごめんな。」

スー「…そんな大怪我を…どこで……それに…その傷はダイオウイカのゲソの痕じゃないの…?」

まめお「…ポナやフー兄には話した事あったけど…お前にはまだ話して無かったな。」

スー「ポナや兄貴も…知ってるの…?」

まめお「ポナは出会って少ししてから話した。フー兄には…前、試合後に一緒にシャワー浴びた時に見られたから話した。」

スー「…そうなのね…。」

まめお「俺のこの傷は…お前の言う通り、ダイオウイカに付けられた傷だ。」

そう言うとまめおは深く深呼吸をして、静かに話し始めた。

幼い頃、Bバスパークでまめみと共にダイオウイカに襲われた事

まめみを庇い、その時に避けたダイオウイカの触手が当たってしまった事

そしてそのダイオウイカの正体が…父であるスルメさんだった事

触手が当たったのは慌てて避けた時に当たってしまった事故で…助けに戻ってきてくれた事…自分達の誤解であった事

悩み抜いた末に和解し、そられを乗り越える為に…パーマネント・パブロを新たな相棒に選んだ事

それら全てをスーにも話し、彼女は真剣な表情で聞き…

そして…一呼吸置いて口を開いた。

スー「まめお…あんた達にはそんな事があったのね…。」

まめお「この傷は一生消えない…けど…この傷があったから…俺達は乗り越えられた。そしてスルメ…父さん達と再会して今がある。だから俺はこれでよかったと思ってる。」

いつも意地っ張りで…単身突っ込もうとして…

でも…それはきっと…大切な人を守りたい気持ちが強いからなのね…まめお…

スー「まめ…」

名前を呼んだその時!

ドオォォォン!!

雷が近くで落ちて、停電になってしまった…。

まめお「うおぉ…ビックリした…!」

スー「……………!」

まめお「大丈夫か、スー?」

スー「……っ……!」

薄暗い中…ぼんやりと見えるスーは、何やら震えている様だ。

まめお「スー…どうした?」

スー「だ…大丈夫…何でも…ない…っ…!」

しかし、聞こえてくるスーの声は震えていて…少し涙声にも聞こえて…

まめお「…スー…お前もしかして、雷が苦手なのか…?」

スー「っ…わ…悪い!?」

まめお「誰もそんな事言ってねぇだろ…。」

スー「あ…あたしは小さい頃から雷だけは苦手なのよ…!……雷が鳴ると…いつも兄貴があたしを抱きしめてくれてた…。」

まめお「スー…。」

ドオォォォォォン!!

スー「ひっ…んっ…ぅ…!」

目に涙を溜めて、耳を押さえながら震えていたスーだが…

突然自分の目の前が真っ黒になった…

気がつくと…まめおが自分を強く抱きしめていて…スーは驚いて緑の瞳を見開いた。

まめお「…これで少しは怖くないか…?」

スー「まめお…あん…た…!」

まめお「…フー兄には敵わねぇけど…俺でよければ…ずっと抱きしめてる…。」

彼の逞しい体と温もり…鼓動が伝わってきて…スーは兄とは違う安心感を覚えた。

それと同時に…頬に熱が集まるのを…自身の鼓動が速くなるのを感じて…

……あた……し……

…そっか……あたし……まめおが……

まめおの事が……

To be continued…