オリジナル小説「悲しみの過去と心」

再び姿を現したガーリルの仇

宝剣ダークサーベルを手に果敢に立ち向かうも、全く歯が立たず、そこでガーリルは自分が利用されていた事と奴の本当の目的を知る

皆を護る為ガーリルは王家親衛隊に命じ、ブルース達を安全な場所へ避難させるが、追い詰められ、危機的状況に陥る。絶望し、覚悟を決めた時!

ガーラスとスノウが現れ、ガーリルを助けようとするも、ガーラスは目の前で骨の刃に敗れたのだった…。

 

~哀しみの過去と心~

 

謎の者『…その輝く銀髪…見覚えがあるぞ。

ガーリル「頼むスノウ、逃げてくれ!お前まで失ったら俺は…」

スノウ「それは俺だって一緒だ。…この65年、俺がどれだけお前の事を心配していたか…。」

ガーリル「スノウ…俺の事を心配してくれていたのか…?」

スノウ「当たり前だろ!お前と俺は一心同体だ。生まれる前からの運命だ。」

謎の者『スノウ…そうか、お前はルーエ一族の…ククク、我の奴隷になる為にわざわざここまで来たのか…ご苦労な事だ。

スノウ「お前…一体何者なんだ!?」

謎の者『フン、あの時あの場にいたのは…我を封印しようとした忌まわしき先代の王族どもと、ダーク一族の王子だけであったからな。お前が知らぬのも無理は無いか…。教えてやってもいいが、お前らはもう我の前で体中の血を抜かれ、毒牙によって奴隷になるのだ。今更知る必要もあるまい。さて…長話が過ぎたな。もう我から逃げられると思うな!

そう言うと、持っていた骨の刃を2人の前で振り上げた!

もうダメだと思ったその時!!突然眩しい光が空間を覆った。

あまりの眩しさに、目を開けることが出来ない。

しかしスノウは、その光の正体を知ることが出来た。

スノウ「牙が…全ての牙が光り輝いているんだ…!」

謎の者『クッ…眩しい…体が焼ける…!ひとまず撤退だ…!

光に耐えかねたガーリルの仇は、その場から姿を消した。

すると…光は収まり、空間は元の静けさを取り戻した。

スノウ「大丈夫か、ガーリル?」

ガーリル「あぁ。…傷が消えている。」

スノウ「牙が傷を癒したんだな。」

ガーリルは少しふらつきながら立ち上がると、同じく傷を癒されたガーラスの所へ

歩み寄り、その場に倒れている彼を抱き上げた。まるで眠っている様な安らかな表情。

目を覚まさない彼をガーリルは力一杯抱きしめ、大粒の涙を流した…。

ガーリル「ガーラス…すまなかった…この愚かな王を許してくれ!」

スノウ「……ガーリル、脈がある!ガーラスは死んでいない!」

ガーリル「ほ、本当か…!?」

スノウ「あぁ!じきに目を覚ますだろう。」

その言葉を聞いたガーリルは声を上げて泣き、スノウは泣いている彼を優しく抱きしめた。

しばらくして落ち着いた頃に、スノウはガーリルへ質問をぶつけた。

最初は拒んでいたガーリルもしばらくして観念したのか、静かに語り始めた…。

ガーリル「奴は…アンデット・クロンだ…。俺達の…仇だ。」

スノウ「アンデット・クロン…あいつが…!」

ガーリル「封印の時…俺は父上の言いつけを破り、好奇心でこっそりと後をつけて行ったんだ。そこでは各王族が集まり、剣を捧げていた…。俺はその様子を木の陰から見ていた…。その時だ。突然辺りが暗くなったと思うと父上達はあの骨の刃で体を…!」

スノウ「ガーリル…お前ずっとそれを誰にも話さずに…!?」

ガーリル「俺は恐怖で体が動かなかった。そこを奴に見つかって…。」

スノウ「傷一つ無く済んだのか…よく無事で…!」

ガーリル「母上が…俺を庇って…父上が最後の力を振り絞って奴を押さえ…そこに王家親衛隊が来て俺を連れて…最後に見たのは2人があいつの手にかかった所だった…。」

スノウ「ガルーダ様とエメラ様が…。」

ガーリル「俺のせいで2人を…先代の王族達を死なせてしまった…だからあいつは何としても俺が仇を討ってやると…!」

その時!

ゴゴゴゴゴゴ…!!

突然洞窟内が揺れ出し、突然足下から水が湧き出てきた!

アンデットクロン『忌まわしき奴らめ、この洞窟内で死ぬがいい!!

スノウ「逃げるぞガーリル…!」

ガーリル「入り口が塞がれている…閉じこめられた!」

必死になって他の通路を探すが、どこにもなく、完全に閉じこめられたスノウ達

水は容赦なく水かさを増していき、彼らの体はどんどん水に浸かっていく…

スノウ「くっ…ここまでなのか…!?」

ガーリル「そうだ…我が闇の牙よ、俺はどうなってもいいからみんなを助けてくれ…頼む!!」

すると闇の牙が光りスノウ達を包み込み、他の牙も闇の牙と共に光り出した次の瞬間に洞窟の外へとワープした

そこにはブルース達の姿があって…

ブルース「スノウ、一体何があったんだ?気がついたら違う場所に…。」

スノウ「話せば長くなるんだが…ガーリルが助けてくれた、とだけ言っておこう。」

一方で当の本人ガーリルは、牙と共に力を使い果たし気を失っていた。

船に戻るとガーリルとガーラスは部屋へ運ばれ、ガーリルはアクアが、ガーラスはアルマが様子を見る事になった。

マリン「私達も無事再会し、牙も手元に戻ってきた…私達には謎が残っただけ…。」

ラクト「ガーリルはお前に何か話してくれたようだな、スノウ?」

スノウ「全て話してくれたよ、この話は本人が語ってくれるだろう。」

ブルース「分かった、ガーリルを信じて待とう。」

一方、アルマが様子を見る中、ガーラスが目を覚ました。

ガーラス「うっ…ここは?」

アルマ「気がつきましたか?ここはミーティア号の船室です。」

ガーラス「アルマ?………ガーリル様っ!!」

アルマ「落ち着いて下さい、いきなり動くと体に障ります。」

ガーラス「ガーリル様は、ご無事なのか!?」

アルマ「大丈夫です、アクア王女が看てくれています。」

ガーラス「そうか…良かった…!」

アルマ「ガーラス様?」

主君の無事を聞いたガーラスは、パタッと枕に頭を落とした。

驚いたアルマが覗き込んだが、聞こえてきたのは寝息のみ…アルマは少し困ったように笑い、布団をそっとガーラスの体にかけた

その一方で眠る彼の顔は、少し笑みを浮かべた安心しきった表情だった。

 

~To be continued…~