小説「緑髪の少年(出会い編)」~秘密を知られて~

ナワバリバトルで出会った少年「タキ」と仲良くなったまめおとまめみ

2人はタキを、スルメさん&よっちゃんの経営するお店「イカすバー」に連れて行った。

まめみ「スルメさ~ん、よっちゃ~ん!」

スルメさん「おぉ~まめみ!今日のチョーシはどうだったん?」

まめみ「うん、チョーシサイコーだよ!」

スルメさん「それは良かったな~!」

まめお「腹減ったよスルメさん、何かある?」

スルメさん「それならよっちゃんの出番やな。」

よっちゃん「あら、2人共いらっしゃい!」

まめみ「ううん、今日はもう1人いるの。」

まめお「ほら、こっちに来いよタキ。」

タキ「う…うん。」

そう言うとタキは恥ずかしそうにしながらも、まめおとまめみの間に立った。

スルメさん「おや、見ない顔やな。最近ナワバリデビューしたんかな?」

タキ「はい…そんな所…かな…。」

頬を真っ赤に染めて答えるタキの瞳は緊張して「青」に変わっていた。

スルメさん「そんなに緊張せんでいいんや、ゆっくりしてき。」

よっちゃん「可愛いわね、今日は大サービスよ!とびっきり美味しい3人分の食事を作るから待っててね。」

そう言ってよっちゃんは、台所の方へと向かって行き、3人は席に座りブキの手入れをしながら話し始めた。

まめみ「あ、タキ君15歳なんだ…あたしと同じだね!」

タキ君「まめお君は何歳なの?」

まめお「俺は16だ、お前達より1つ兄さんだな。」

まめみ「でも精神年齢は子供だけどね。」

まめお「お前よりはずっと大人だけどな?」

まめみ「そういう意地悪な所が子供って言ってんのよ!」

ニヤニヤと意地悪な笑みを浮かべるまめおに、まめみはムキになって怒る

桃色の髪もパタパタと揺れて、まるで鳥が羽ばたいているかの様だ…。

まめお「はいはい。」

まめみ「まめおの意地悪!」

タキ「…あははっ!」

2人「…えっ?」

タキ「あっ…ごめんね2人共…でも、まめお君とまめみちゃんのやりとりを見てたら何だか微笑ましくて…心が暖かくなって笑っちゃったんだ。」

そう言って楽しそうに笑うタキの瞳は「黄色」だった。

まめみ「…ふふっ、私も楽しくなってきた。タキ君の笑顔、凄く素敵なんだもの。」

タキ「え…えぇ…!?」

そんな事を言われたら…タキの頬は真っ赤に染まり、瞳の色は再び青に。

まめお「あぁ、凄く良い笑顔だぜタキ。お前の笑顔は優しくて…他の人も自然と笑顔になれる。」

そんな…

そんな風に褒められた事…今まで無かったよ…

タキ「あ…ありが…とう。」

相変わらず頬を真っ赤に染めたままのタキ、けれどその瞳の色は青では無く黄色だった。

しばらくして…

まめお「俺、飲み物取ってくる。」

タキ「僕は……ごめん、ちょっとトイレ…。」

そう言うと2人は席を立ち、まめおはよっちゃんのいる台所へ、タキはトイレへと向かって行った

一方まめみは1人席に残り、ハイドラントの手入れを続けていた

ハイドラント「(気持ちいいぞ…まめみ。)」

まめみ「ふふっ、今日もお疲れ様、ハイドラント。」

ハイドラント「(お前がキルされそうになった時は内心焦ったが…あのタキと言う少年に助けられたな。)」

まめみ「うん、タキ君のおかげで本当に助かったよ…ハイドラントと出会う前に憧れを抱いて、あたしもハイドラントをパートナーに選ぶキッカケをくれた人だからね。」

ハイドラント「(ふむ…まめみが前に話していた「緑髪の少年」はタキの事だったのか。)」

まめみ「うん。また会えて…友達になれて良かった!」

ハイドラント「(嬉しそうだな、まめみ。)」

まめみ「うん!」

嬉しそうに笑うまめみを見て、ハイドラントも心穏やかになる

普段、ブキと外で会話をする事は無いのだが…

この日は他に客がおらず、今はタキも居ないので会話を続けていたまめみとハイドラントだったが…

タキ「ふぅ…。」

トイレを済ませたタキが帰って来ると…。

まめみ「ふふっ、大好きよ。」

タキ「(えぇっ!?)」

自分に言われたのかと思い、頬を真っ赤にしたタキだったが、すぐに気づいた

それは自分に向けられた言葉では無い事に…

まめみ「も~相変わらずまめおと仲が良いんだから~。」

タキ「(まめみちゃん…?)」

柱の影からこっそりと覗いてみると…席には「まめみ」しかいない。

しかし…彼女は楽しそうに1人で話している

いや…1人で話しているんじゃない…

「ハイドラント」に向かって…話している…!?

まめみ「まめおもタキ君も遅いね…ってまめお、やっと来た。」

まめお「よっちゃんの作ってる飯、つまみ食いして怒られた…。」

まめみ「も~何やってんのよー。」

まめお「それよりもまめみ、外で会話はマズイだろ…。」

まめみ「ごめん…でもちょうど1人だったから…。」

まめお「そろそろタキも戻ってくるだろうから止めとけよ。」

ハイドラント「(我とまめみの仲に妬いておるのか、ハッハッハ!)」

まめお「くっ…このオッサン…!」

タキ「…………!」

まめお君…

まめみちゃん…

君たちは一体…!?

…………。

まめみ「あ、タキ君。」

タキ「…遅くなってごめんね。」

まめみ「ううん、大丈夫だよ。」

まめお「お、やっと出来たみたいだな。」

よっちゃん「お待たせ、今日は特別にスペシャルメニューよ!」

まめみ「わぁ~美味しそう!」

まめお「美味かったぜ。」

よっちゃん「もうつまみ食いはダメよ、まめお君!」

タキ「………。」

まめみ「タキ君どうかした?」

まめお「食欲無いのか?」

タキ「え…あ、ううん!凄く美味しそうだよ!…あんまり美味しそうで、見惚れちゃったんだ。」

まめみ「そうなの?ふふっ、よっちゃんのご飯はすごく美味しいんだよ!」

まめお「さぁ食おうぜ!」

タキ「…うん。」

3人「頂きます!」

そう言って食事を始め…

よっちゃんの作ったスペシャルメニューはとても美味しくて、あっという間に平らげた。

そして、別れの時間が…

まめお「今日はありがとな、タキ!」

まめみ「またナワバリ行こうね、タキ君!」

タキ「うん、また連絡するね。」

そう言って3人は別れ、まめおとまめみは一緒に家に帰って行った

しかしタキは立ち尽くしたまま2人の後ろ姿を少し寂しげな瞳で見送っていて、その瞳は黄色から少し青に変わり始めていた…。

To be continued…