小説「緑髪の少年(出会い編)」~すれ違う心と涙~

この日、まめみはタキと待ち合わせをしていた。

タキ「あ…おはよう、まめみちゃん。」

まめみ「おはようタキ君。」

タキ「まめお君は?」

まめみ「まめおは今日、別の用事があっていないの。」

タキ「そっか…でも、まめみちゃんと一緒にナワバリバトル出来るから嬉しいよ。」

まめみ「ふふっ、ありがとうタキ君。」

タキ「それじゃあ行こうか。」

まめみ「うん。」

そう言って2人はナワバリバトルへ…。

今日のステージはショッツル鉱山とマヒマヒリゾート&スパ

タキはバレルスピナーリミックス、まめみは3Kスコープでナワバリバトルへ挑んだ。

3Kスコープ「(嬉しそうだね、まめみ。)」

まめみ「うん、タキ君がいるからね!」

3Kスコープ「(浮かれ過ぎて外さない様に、しっかり狙うんだよ。)」

まめみ「うぅ…。」

3Kスコープ「(大丈夫、まめみは出来るよ。)」

まめみ「ありがとう3Kスコープ、今日もよろしくね。」

バトルが始まる前に周りを見渡して他に誰も居ないのを確認してブキと会話をするまめみだったが、曲がり角の陰からこっそり聞いていたのは…

タキ「……………。」

そして…ナワバリバトルがスタート

ステージはショッツル鉱山

タキとまめみは同じチームだったが…

まめみ「タキ君、危ない!」

ドゴォン!

タキはやられずに済んだが、照準が僅かにずれて外してしまった…。

タキ「ありがとう、まめみちゃん!」

彼女の傍へ来て、タキは優しい笑顔を見せた。

まめみ「ううん、敵も逃がしちゃったし…。」

タキ「大丈夫だよ、2人で一緒に戦おう。」

そう話すタキの声音は優しくて、まめみは守られている安心感でいっぱいになった。

まめみ「ありがとうタキ君。」

タキ「えへへ、どういたしまして。」

この後2人は傍で共に戦い、勝利を納めた。

その後、部屋を入り直し新たなメンバーでバトルがスタート

ステージはマヒマヒリゾート&スパ

2人はまた同じチームで安心していたが…

タキ「まめみちゃん!」

まめみ「あっ!……ぷぎゃっ!」

「ダイオウイカにやられた!」

続いて助けに来たタキもキルされ、しかもダイオウイカを解除した後に煽り行為をされた…。

数秒後、2人はリスポーン地点へ

しかし…復活したタキの様子は明らかに違っていて…

タキ「………ふざけんなよ。」

まめみ「タキ君…?」

タキ「ふざけんな!」

そう叫んで、バレルスピナーリミックスを強く握りしめたタキ…

口元は歯をギリ…と食い縛り、声音はいつもよりも低く…瞳の色は赤になってギラギラと輝いていた!

まめみ「タキ…君……!」

その口調とその後のバトルスタイルはまるで別人の様に激しくて…まめみは驚きを隠せなかった。

結果、勝利を納めたが…2人はバトルを止めてロビーから出てきた

タキ「……………。」

疲れている様で…タキの瞳は青い。

まめみ「タキ君…あたし…」

そう言って話しかけたまめみだったが…

タキ「うっ……うぅ……!」

お腹を押さえてその場にうずくまるタキに、まめみは優しく寄り添った。

彼の顔は青ざめていて、普段黄色い瞳の色は黒かった。

まめみ「タキ君、大丈夫!?」

タキ「うぅ…お腹痛い…!」

まめみ「どうしよう…今日はスルメさんのお店もお休みだし…広場のトイレは今は混んでる…タキ君、あたしの家に来て!」

タキ「う…うん…!」

お腹を押さえたまま、よろよろと立ち上がったタキを優しく支え、まめみは家へと向かった。

少しして家に着き、しばらくして……

まめみ「大丈夫?」

タキ「うん。」

まめみ「良かった、目の色も黒から黄色に戻ったね。」

タキ「ごめんね、僕…まめみちゃんを守れず自分もやられて、更に煽られたから怒りのスイッチが入っちゃって…怖かったよね…。」

まめみ「あたし…あたしは……」

タキ「……こんなだから友達が居ないんだ…せっかく2人と仲良くなれたのに…。」

まめみ「驚いたし少しだけ怖かったけど…それでタキ君を嫌いになったりしないよ、だってタキ君は大事な友達だもの。」

タキ「……………!」

まめみちゃん……家族以外でそんな風に言って、暖かく包んでくれたのは君が初めてだよ。

まめみ「だから…そんな悲しい事言わないで…。」

そう話すまめみは泣きそうな顔で…

タキ「ありがとう、まめみちゃん…だからいつもの様に笑って欲しい。」

まめみ「うん。」

タキがそう言うと、まめみは優しく笑った。

しばらく話した後、まめみはタキを途中まで送って行く事にしたが…分かれ際にタキが切り出した。

タキ「まめみちゃん…僕…この前見ちゃったんだ。」

まめみ「えっ?」

タキ「君が…ハイドラントに話かけている所を…。」

ドクン…!

まめみ「…………!!」

ドクン…!ドクン…!

まめみの心臓は煩いほど動き、体中を嫌な汗が流れる…

知られてはいけない、知られたくなかった秘密…

「ブキと会話が出来る」

タキ「今日も3Kスコープに話しかけていたよね。」

まめみ「………………!」

2度も見られていた…!

そうなればもう…言い逃れは出来ない…

タキ「まめみちゃん…僕は…」

そう言ったタキだったが…

まめみ「ダメ…タキ君…その先は…言わないで…!」

タキ「違うんだ…僕は…!」

まめみ「…ひっく…ひっく…!」

タキ「……………!」

まめみは泣いていて…桃色の瞳からは大粒の涙が零れ落ちて地面を濡らしていく…

まめみ「タキ…く…ん…ごめ…ごめんね…!」

タキ「まめみちゃん!」

そう言ってまめみは走って行ってしまい…タキは1人その場に佇み俯いた。

その瞳は青くなっていて…彼の頬を伝って一筋の涙が零れ落ちた。

To be continued…