小説「Amore eterno」~闇の幻影~

ダーク一族の者達の急襲により、アクアに危機が!

海の牙はアクアを護ろうと力を暴走させ、ガーラスに痛手を負わせる

そこに現れた謎の男!危害を加える事無くセイレーン・ケイヴに居ると言い残し

その場を去った。ひとまず危機を逃れた一行だが、新たなる危機が迫ってきていた・・・。

~闇の幻影~

ガーラス「では、予定通り今夜決行で…。」

謎の者「我が力により作りだした幻影でアクアの記憶は確実に戻るであろう…ところでガーラス、ちょっと見せてみろ。」

ガーラス「体は大丈夫…うっ!」

謎の者「あの攻撃をまともに受けたんだ、骨は折れていないもののかなり応えている…お前は戦いに参加せずに指揮に集中し準備が整ったら全員撤退するんだ、後はこいつが何とかしてくれる。」

ガーラス「申し訳ありません…私の失態により貴方様にご迷惑を…!」

謎の者「そんな事を言うな、それよりも自分の体を心配しろ。」

ガーラス「はっ。」

彼らの企みを知るよしも無く、ブルースとマリンは為す術もなく助けを待つしかなかった。

マリン「アクア…どうか無事でいて…。」

ブルース「…目の前では無かったが、実はアクアの姿をずっと見守っていたんだ…。」

マリン「えっ…どういう事ブルース?」

ブルース「【波の牙】が力を使って、ビジョンの様に俺の目の前に映してくれていたんだ…。65年前離ればなれになったあの時から…。アクアは記憶を封じられている故に俺の顔は知らない。だが俺はずっとあの子の成長を見届けてきたんだ。」

マリン「貴方は見えないだけで、いつでも傍にいたのね…。」

ブルース「アクアの為にも死ねない!そう思ったんだ。勿論今だってそれは変わらない。家族の為、一族の為にも俺は絶対に生き延びてみせる!」

ブルースのその瞳には…強い決意が秘められていた。その強い眼差しに、マリンも強く頷いた。

一方…アクアは部屋で1人考え込んでいた。牙の暴走時の事を覚えていなかったのは幸いだが、頭の中には1人の男性の姿が…スマラによく似た顔立ち…黒い髪…あれは一体誰だったのか…?

その時。コンコンと部屋のドアを叩く音が。

アクア「どうぞ。」

スノウ「大丈夫か?ずっと部屋に籠もってるから心配で…。」

アクア「あっ…。」

スノウ「体が辛いのか?」

アクア「ううん。そうじゃないの、でも…。」

歯切れの悪い返事をするアクアに、スノウは表情を曇らせた。

しかし自分まで沈んではいられまいと笑みを浮かべ、元気づけようと話題を変えた。

スノウ「…セイレーン·ケイヴが見えてきたんだ。あと3日位で着くだろう。もうすぐマリンに会えるぞアクア。」

アクア「スノウ…私怖いの。頭の中に浮かぶ男性…誰なのか分からない。自分が何だか違うものになってしまいそうで怖いわ…!」

とても怯えた様子で、アクアはスノウに抱きついた。そんなアクアを優しく抱きしめ、落ち着かせる様に頭を撫でた。

スノウ「アクア、大丈夫だ。俺達がついている。何があっても絶対にお前を護ってみせる!」

アクア「スノウ…!」

夜、ダーク一族が行動を開始した。

ミーティア号では、騎士姿のアルマとペルラが甲板で見張り、スマラは広い船内を回り警備に当たっていた。

そしてスノウ、ラクトは万が一の奇襲時に備え対策を練っていた。

一方アクアは何も知らず眠っている。

アルマ「ペルラ、異常はないか?」

ペルラ「大丈夫だ。…奴ら、今日は何もしてこないつもりか?」

アルマ「例え行動できたとしても…海の牙の攻撃を真正面から受けたんだ。相当痛手は負っているだろう。襲撃があったとしてもさほど苦戦はしないと思うが…。」

ペルラ「…昨夜の牙の暴走。牙の力とはいえ、あれほどの力を持つとは…。しかし、牙の力を簡単に打ち消してしまうあの方…さすがは闇の力を引きし者…。」

ガーラス「我が主君へのお褒めの言葉、感謝する。」

アルマ「その声…。」

ガーラス「だが今日こそは…アクア王女に記憶を思い出して頂くぞ。」

ペルラ「どの様な理由であれ王女を危険な目に遭わせようとする者は、例え誰であろうと俺達は許さない。命に代えてもお護りする!」

アルマ「それが騎士に生まれた者の使命だ!」

ガーラス「それは我らとて同じ事だ。主君を護り、受けた命を実行する。だが私は今戦える状態ではない。我が主君にも戦いには参加するなとの命が出ている。だからお前達の相手をしている暇はない。」

ペルラ「それはどういう…ぐっ!!」

アルマ「ペルラどうした…うっ!!」

気配も何も無い『何か』に突然背後から攻撃され、アルマとペルラは意識を失った。

一方、船の見回りを終えたスマラはスノウ達に報告をし、甲板へと向かった。そして、目の前の光景に驚愕した。

スマラ「アルマ…ペルラ!!」

アルマ「うっ…。」

スマラ「しっかりしろ!一体何があったんだ!?」

ペルラ「奴らが現れた…!アクアが心配だ、すぐに行ってやってくれ…!」

スノウ「スマラ!」

スマラ「スノウ様、ラクト様!アクアは!?」

ラクト「アクアの部屋から悲鳴が聞こえて、すぐに向かったんだがアクアがいなかったんだ…!」

ガーラス「アクア様はここにいますよ。」

アクア「いやっ離して…!」

ガーラス「作戦通りだ、全員引き上げるぞ!」

ペルラ「作戦って…全員居なくなったみたいだが…?」

スノウ「…いや、まだ何かいる!誰だ!?」

謎の者「俺の気配に気付くとは…さすがだなスノウ。」

スノウ「お前は…!」

アクアを拘束していたのは、実体を持たない闇の様に黒いワニだった。

~To be continued…~