オリジナル小説「護る為に」

遂に動き出したダーク一族の者達…

彼らの狙いはアクアの覚醒、そして彼女の所持する海の牙

記憶を封じられ、何一つ知らないアクアに危険が迫る!!

 

~護る為に~

 

アクアの熱は下がり少しずつ良くなってきた。しかしまだ本調子ではない為、無理をさせず休ませていた。

アクア「スノウ?」

スノウ「………。」

アクア「スノウ!」

スノウ「…ん?あぁ、どうしたアクア?」

アクア「それは私が聞きたいわ…どうしたの?最近何か様子が変よ。今もボーッとしてたし…どこか具合でも悪いの?」

スノウ「いや、そういう訳ではないんだ。」

あの胸騒ぎがして以来、スノウはずっとアクアの傍を離れずにいた。

明らかに様子がおかしいスノウに対してアクアは不安と疑問を感じつつも、向こうから話してくれるまでそっとしておこうと思うのだった。

一方、セイレーン・ケイヴでは…

マリン「ブルース、大丈夫?」

ブルース「あぁ、少なくともお前と再会する前よりは体力が回復した。」

体を闇の鎖で繋がれ、食べ物も水もほとんど口にしなかった為衰弱していたが、マリンの介抱により大分回復していた

しかし洞窟のなかは寒く、暖まるものといえば周りを照らす蝋燭の火くらい…海の方から吹いてくる潮風にマリンは思わず身震いをした

ブルース「寒いのか、マリン?」

マリン「えぇ、でも大丈夫よ。」

ブルース「何が大丈夫だ、ほら来い!」

そういうとブルースはマリンを口で優しくくわえると自分の傍へ置いて、マリンを包み込むように体を丸めた

マリン「ブルース…。」

ブルース「これで少しは寒さが和らぐと良いんだが…。」

マリン「ありがとう、とても暖かいわ。」

コバルトブルーの体はとても温かく、規則正しくブルースの鼓動が伝わってくる…その心音を聞いて安心する様子を見て、彼はマリンに近づき優しく口づけると…驚きつつも夫の優しさに胸がいっぱいになり、お互いに微笑むと2人はしばらく眠りについた。

夜、ラクトとスノウはブルースとマリン救出の為の作戦を練っていて、部屋にはアクア1人だけ…ここ最近1人で居る時間があまり無く部屋で休んでいるのがほとんどだったので、気分転換に甲板へ出ると、月の光が海と船を照らしている

空を見上げると白く美しく輝く月が見えるが、残念ながらその日は雲が多く月が隠れてしまった…

その暗闇の中でアクアは自分が何かに囲まれて居る気配に気付いた…一方で話し合いをしていたスノウ達もその気配に気付き、急いで甲板へと向かった。

アクア「誰…?」

ガーラス「お迎えに上がりました、アクア様。」

足音が自分の方へと近づいてくる…周りは真っ暗で何も見えず、唯一分かったのは自分の目の前に立っている事…

スノウ「アクア!」

ガーラス「皆様、こんばんは。」

スノウ「どういうつもりだ!?アクアに何をした!」

ガーラス「少なくとも今は何もしていませんよ…ですがこれからアクア様にはやってもらわなければならない事があります。」

その時…雲から月が顔を出して辺りは明るく照らされたが、隙を見て逃げようとしたアクアをガーラスは捕まえた

一方でスノウ達もアクアの元へ行こうとしたが、足下を闇で縛られて身動きが取れない…!

ラクト「アクアを離すんだ!」

ガーラス「ラクト様、私達は時間をあまり無駄にしたくない…これ以上あの事を秘密にしているのは辛いでしょう、アクア様の記憶さえ蘇れば全てがうまくいくのです。」

アクア「記憶って何の事…私には全然分からないわ…。」

ガーラス「本当の姿を今ここで思い出していただきましょう、その体に流れる血の秘密を!アクア様、貴女の本当の名は…」

スノウ「やめろ!」

その時!

ザアァァァッーー!!

突然海の牙が強く光り出し、海が荒れ出した…

するとアクアの周りに水の柱が発生し、勢いでガーラスは、少し吹き飛ばされた!

ガーラス「ぐっ…あぁっ!!」

スノウ「牙がアクアを護ろうとして力を…!」

ガーラス「くっ…何という力…!」

ふらふらと立ち上がったガーラス、しかし牙の起こした水柱は再び彼に向かって攻撃をしてきて…

迫り来る水柱にどうする事も出来ず、ピンチに陥ったその時!

パシャンッ…サアァァァーーー

ガーラスの目の前に1人の男が現れ、水柱をかき消してしまった

謎の男「大丈夫か?」

ガーラス「申し訳ありません…この様な失態を…!」

謎の男「とりあえずこの場は引くぞ、いいな?」

ガーラス「はっ…!全員、撤収だ!」

ダーク一族の者達は消えていった一方で海の牙は攻撃を止め、アクアは疲れ果てて座り込んでしまった…

謎の男はアクアに近づき優しく抱き上げた…意識がもうろうとする中その男を見上げると…

漆黒の闇のような黒髪に怪しく光るエメラルドグリーンの瞳、スマラによく似た男だった

アクア「スマ…ラ…?」

謎の男「スマラではない、お前は覚えていないだろうなアクア…だが俺はお前をよく知っている。」

アクア「貴方は…誰…?」

謎の男「今はまだ名乗るときではない、この事もすぐに忘れろ。」

そう言うと男は意識を失ったアクアをスノウの所へと連れて行き、彼に託した

スノウ「その声…その姿…本当にお前なんだな。」

謎の男「スノウ…俺はセイレーン・ケイヴで待っている。」

そう言い残し、謎の男はスノウの問いに答えることも無く姿を消した…

それから夜が明け、アクアも目を覚ましたが…昨夜の出来事をほぼ覚えていなかった…

一方で一時撤退したダーク一族の方は新たな策を決行すべく、既に準備に取りかかっていた

謎の男の真意とは…!?

 

~To be continued…~