オリジナル小説「迫り来る闇」

熱を出して寝込んでしまったアクアをアルマが看病する中、スノウ達は話し合いの結果【海の牙】をアクアに託す事を決意する

一方で愛する夫と再会を果たしたマリンだったが、そこにはあの者の姿も…

 

~迫り来る闇~

 

アルマ「どうだアクア、お粥の味は?」

アクア「美味しい。」

アルマ「良かった。たくさん食べて栄養つけないとな。」

とても美味しかったらしく、アルマの作ったおかゆをあっという間に間食したアクア。

その後、ずっと疑問に思っていた事をぶつけてみた。

アクア「ずっと聞きたい事があったの…3人はどんな関係なのかしら?」

アルマ「俺とペルラは従兄弟でスマラとは幼馴染み、子供の時からずっと一緒だった…辛い時も、楽しいときも。」

アクア「とても強い繋がりなのね。」

アルマ「今の俺達にとってはアクアも大切な存在だ…俺達がついてる、安心して休んで欲しい。」

暖かい手が頭を撫でるとアクアは安心感に包まれてゆっくりと頷き、彼女が眠ったのを確認するとアルマはそっと部屋を後にして…暖かい潮風は窓から入ってきて眠っているアクアの頬を優しく撫で【海の牙】はその潮風に反応するようにほんのり蒼く光っていた。

一方、ブルースと再会したマリンは危険な状況に置かれていた…

マリン「65年振りね…。」

その者は暗闇から姿を現そうとはしなかった…見えるのは蝋燭の明かりで少し照らされた薄暗い顔のみで、エメラルドグリーンの瞳が不気味に光る。

謎の男「マリン…今更何を言っても信じてはもらえないだろうが、お前には辛い思いをさせてしまった事は本当に申し訳なく思う。」

マリン「どうしてこんな事をしたの…昔の貴方はこんな事する人じゃ無かったわ。」

謎の男「昔はな……だが今の俺は違う、もうあの頃に戻る事も叶わない。」

マリン「一体何があったの…どうして牙を奪わなければならないの…?」

謎の男「全ては俺の目的の為…お前達には協力してもらう。」

マリン「嫌よ、どんな目的か知らないけど…こんな手を使ってまで牙を奪おうとする行為は許せる事では無いわ、それにどうしてブルースをこんな目に……返答次第ではたとえ貴方であろうとも容赦はしない。」

謎の男は右手をマリンの方へ向けると、身構えている彼女の足下から闇が現れ体を拘束し、男の元へと連れて行かれた!

ブルース「マリン…!」

謎の男「…相変わらず美しい…最後に見たあの時と全く変わらないその白い肌に流れるような海色の髪、ルビーの様な瞳…昔から美しかったが母になって更に美しさが増した…さすがミラージュアイランドで随一と称えられた波ワニザフィーアの血を引く女王だ。」

そう言って自分の顔にマリンの顔を強引に近づけ、次の瞬間マリンの首から波の牙が下げられたネックレスを引きちぎり、ゆっくりとマリンから離れた。

マリン「あっ…!」

男の手の上で波の牙が海色に光っていが、その光は次第に弱くなり…消えてしまった一方、解放されたマリンはその場に座り込んでしまった…

ブルース「貴様…っ!」

謎の男「あまり暴れるなブルース…体力を奪われるぞ。事が済んだらお前達は解放する、それは約束しよう。『あと1つの牙』を手に入れたらな。」

その一言に、マリンは凍り付いた!

マリン「ま…さか…まさか…!!」

謎の男「あぁ、とっくに気付いていたが…今まで俺は知らないフリをしていた。お前達2人の力を借りるのもいいが、俺が目を付けたのはアクアだ、あの子はラグシーとザフィーアの血を引いている故にとても強大な力を持っている…その力で牙を目覚めさせ、剣の力を使うんだ。」

ブルース「くっ…アクア…!!」

謎の男「これも全て目的の為、俺はこの為に全てを捨てたんだ。しかし目的の為にはもう一仕事しなければならない。」

マリン「まさか、アクアの記憶を…!?」

謎の男「そう、アクアの覚醒だ…力をコントロール出来なくては元も子もないからな。」

そう言って謎の男は闇の中へと消えていき、希望を打ち砕かれた2人は絶望の中たった1人の愛娘、アクアの無事を祈るしか無かった…。

そんな事を知る由もなく、ミーティア号はセイレーン・ケイヴに向けて進んでいた。

そんな中スマラが寝ているアクアの様子を見に部屋へ入り、彼女の手を握り心配した表情で見つめていると、アクアが目を覚ました。

アクア「スマラ…。」

スマラ「大丈夫か?」

アクア「えぇ…スマラ、私の方こそごめんなさい。あんな言い方をしてしまって…。」

スマラ「アクア、今度は俺と一緒に作ろう。」

アクア「うん。」

無事に仲直り出来た2人だったが…一方でラクトとスノウの2人はとても深刻な顔をしていた。

ラクト「スノウ、セイレーン・ケイヴに向かうにつれて…。」

スノウ「あぁ、とても嫌な感じだ…アクアの身に何かが起こる様な気がしてならない…。」

ラクト「何事も無ければいいんだが…。」

スノウ「ダーク一族の者がおとなしくしているのも気になる、なるべくアクアの傍に付いているようにしよう。」

一方、セイレーン・ケイヴでは…。

謎の男「5つの牙は既に我が手に…残るは海の牙のみ。ブルースのおかげで随分手間取ったが…アクアさえ覚醒すれば、俺は敵討ちを…我が剣ダークサーベルが全ての牙の力を吸収し、その力であいつを滅ぼす事が出来るんだ。」

ガーラス「失礼致します。」

謎の男「どうした?」

ガーラス「準備が整いました。」

謎の男「そうか…分かった。」

ガーラス「いよいよですね…。」

謎の男「アクアの記憶さえ復活すれば全てうまくいく…頼んだぞ。」

ガーラス「はっ…!」

遂に動き出した闇。アクアに危険が迫る!果たしてスノウ達はアクアと海の牙を守り抜く事が出来るのか…!?

~To be continued…~