オリジナル小説「記憶、蘇る」

アクアを狙い再び姿を現したダーク一族の者。

しかし突然撤退する。

解放されたと思われたが、スノウが気付いたのは1匹のワニだった。

このワニの正体は!?

 

~記憶、蘇る~

 

謎のワニ「これは牙の力を借りて創りだした幻影だ。」

スノウ「…アクアを離せ。」

謎のワニ「それは出来ない。目的の為にもアクアに記憶を取り戻してもらわねばならない。」

スノウ「俺はお前とは闘えない。それに無理に記憶を呼び覚まそうとしたら…お前も分かっているだろう?アクア自身も危険だ。」

アクア「スノウ…一体何の話をしているの…?私には何の事だか全然分からないわ…。」

謎のワニ「アクア、記憶を取り戻せ。お前の中に眠る強大な力と共に…。」

そう言うと謎のワニはアクアを闇の鎖で縛り、海の牙がしまわれている腕輪を外した。そしてアクアの目の前にそれを掲げた。

スノウ「やめろ!」

アクアの傍へ行こうとするが、闇の鎖で手足を拘束され動けない…!!

アクア「これ…は…?」

目の前に映っているのは幼い頃の自分の姿…。傍には母マリンと…見知らぬ男性…。

蒼い髪に、自分と同じトパーズイエローの瞳。初めて見るはずなのに…どこか懐かしく感じる男性…。

謎のワニ「思い出せ、お前の本当の姿を!お前の本当の名前は…アクア・ラグシー・ザフィーア・ディール。海ワニラグシーと波ワニザフィーアの血を色濃く引く王女だ!」

アクア「王女…私が…。それじゃ…この男性は…!」

謎のワニ「お前の父親、ブルース・ラグシー・ディールだ。」

アクア「あっ…あぁ…パパ!私…は…わ…たし…は…!!」

頬を伝って、涙がこぼれ落ちた…。

そして…アクアの体に変化が!

突然腰からヒレが生えたのだ!

ラクト「アクア…遂に…目覚めたのか…!?」

スノウ「記憶を…取り戻した…!?」

白い肌は海色の鱗に変わり、尾が生え牙が伸びて…。

次の瞬間アクアは本来の姿であるワニに…。

2つの一族の血を引くアクア…その姿は想像を絶する程の美しさであった…!

謎のワニ「記憶が戻ったようだなアクア。セイレーン・ケイヴでその力を見せて貰う事、楽しみにしているぞ。」

そう言い残し、謎のワニは姿を消した。

スノウ達も解放されたが…アクアの様子がおかしい!その場に倒れ込み、苦しそうにしている!

スノウ「まずい!力をコントロール出来ないんだ!」

スマラ「アクア!」

ラクト「待てスマラ、今行くと危ない!」

スマラ「けどアクアが…!!」

体を引きつらせ、激しい呼吸をしながら苦しむアクアの姿に、スノウ達は為す術も無くその場に立ち尽くすしかなかった…。

しかし我慢の限界に達したスマラは危険をかえりみず、アクアの元へ駆け寄った。

アクア「うっグゥ…グルルルル…!!」

スマラ「アクア。」

アクア「ウガァッ!!」

次の瞬間、アクアはスマラの右肩に噛みついた!肩には牙が食い込み、右腕を紅く染めていく…。

ラクト「スマラ!」

スマラ「大丈夫!これ位何でもない。アクア…聞こえるか?俺の事が分かるか?」

アクア「………。」

スマラ「…大丈夫。この腕が無くなろうとも、俺はお前を離さない。苦しみが無くなるまでずっとこのままでいい。だから…いつものアクアに戻ってくれ…!頼む…!!」

血で染まった右腕を必死に持ち上げ、アクアを優しく抱きしめた。

すると…海の牙が突然光り出した!

ペルラ「また牙の暴走!?」

アルマ「いや、暴走とは違う…?」

スノウ「アクアの記憶が蘇った事により、海の牙が本来の力を取り戻した…。牙自身も再び目覚めた、というべきか。」

海色の光は2人を優しく包み込んだ。アクアは噛みついていたスマラの右肩から口を離し人の姿に。スマラの右肩の傷は光がみるみるうちに癒し、怪我が消えた。

アクア「…スマラ…?」

スマラ「アクア、大丈夫か?」

アクア「私…思い出したわ、全てを…。海の牙が…私を助けて…くれ…た。」

スマラ「アクア!?しっかりしろ!」

ラクト「大丈夫、気を失ってるだけだ。」

スノウ「良かった…。」

再び人へ姿を変え運ばれたアクア。眠っているアクアの手をスマラはずっと握りしめていた。

スマラ「父上、教えてくれ。何故アクアは…記憶を封じなければならなかったのか…。」

ラクト「…ブルースを失い、故郷に帰ることも叶わないアクアが、感情のままに力を発動させた場合…自らの命すら奪いかねなかった。あの出来事は…まだ幼いアクアにとってはあまりに辛く、重すぎる事だったんだ…。」

スノウ「記憶が蘇り、力をうまくコントロール出来なかったが、スマラのアクアへの想いが海の牙を目覚めさせた。もう大丈夫。次からは自分で力をコントロールできるだろう。」

アクア「んっ…。」

ラクト「気がついたか?」

アクア「私…スマラに噛みついて…!!」

スマラ「傷ならこの通りだ。海の牙が癒してくれた。何よりも無事で良かった、アクア…。」

アクア「スマラ…ごめんなさい。そして…助けてくれてありがとう。」

一安心したスノウ達であったが…。

セイレーン・ケイヴでは新たな罠を仕掛ける者がいた…。

謎の男「遂に目覚めたかアクア…。その強大な力を大いに利用させて貰おう。」

無事に記憶が戻ったアクア、しかしさらなる罠が彼女を襲おうとしていた!

果たして、無事にブルースとマリンを救出する事が出来るのだろうか!?

 

~To be continued…~