夜通しの捜索も虚しく、まめみは見つからなかった…。
スルメさん「どこへ行ったんや、まめみ…!」
よっちゃん「まめみちゃんが行きそうな所は方々捜したのに…。」
フー「すまない…あの時まめみを1人で行かせなければこんな事には…!」
ペコ「本当にごめんなさい…!」
まめお「フー兄、ペコ…2人のせいじゃない…。」
スー「そうよ…それにこんな事になるなんて想像もしなかったもの…。」
タキ「……………………。」
皆が心配して声を掛け合う中、タキは1人座って俯いていた。
フーや姉さんが自分を責めているがそれは違う…
…俺のせいだ…
まめみを傷つけ、突き放してしまった…
自分の気持ちを押しつけ、無理矢理襲ってしまった…
大切な人なのに…最愛の人なのに…
まめみが居なくなったら俺は…………!!
そんな事を思いながらぎゅっと目を瞑ったタキ…
その時!
ピロンッ!
まめおのイカスマホから、イカラインの通知音が鳴った。
よっちゃん「まめお君、今のはイカラインの…!」
まめお「…まめみ!!」
まめみからのメッセージと知って皆は驚いた。
そして座って俯いていたタキもハッと顔を上げて立ち上がり、まめおの元へ駆け寄った。
スルメさん「まめみからのメッセージなんか!?」
まめお「あぁ…!」
タキ「まめお…まめみは…まめみはどこに!?」
まめお「今、メッセージを読む…。」
そう言うと、まめおはまめみからのメッセージを声に出して読み始めた。
まめお
連絡遅くなってごめん…今、ツっくんの家に居るの。
タキ君と喧嘩しちゃって…向かう途中で具合が悪くなったから引き返してたんだけど…ツっくんが助けてくれて、今は休んでるよ。
落ち着いたら家に帰るから心配しないでね。
フー「ツネ…まめみが最近遊びに行ってた幼馴染みの事か。」
ペコ「それなら大丈夫そうね。」
スー「よかった…何かあったのかと思ったもの。」
スルメさん「ふあぁ…安心したら眠くなってきたな…。」
よっちゃん「でもお店の準備しないとね。」
スルメさん「そうやな。」
そんな事を話しながら皆はお店の奥へ行ったが…
まめお「…………………。」
タキ「…………………。」
まめおとタキの2人だけは険しい表情をしたまま無言で…
その後2人は外へ出て、まだ誰も居ないハイカラシティの広場のベンチへ座った。
まめお「…タキ、まめみは恐らく…。」
タキ「…ツネに連れ去られたんだと思う…。」
まめお「…こうなったらアタリメさんに聞くしかねぇか…。」
ピロンッ!
そんな話をしていたら再び…今度はタキの方のイカラインが鳴った。
タキ「まめみ!」
まめお「まめみからなのか!?」
タキ「うん。」
2人はメッセージを見た、その内容は…
タキ君
昨日は本当にごめんなさい…
2人きりでちゃんとお話がしたいから、バッテラストリートへ来て欲しいの…待ってるね。
まめお「まめみ…。」
タキ「まめお、俺行ってくるよ…アタリメ指令にはまだ話さないでいて。」
まめお「分かった、気をつけて行けよ…タキ。」
タキ「うん、ありがとう。」
2人は別れ、タキは単身バッテラストリートへ向かった
もしかしたらツネが近くに居るかもしれない…警戒の為に一応N-ZAP85も護身用として持った。
しばらくして…バッテラストリートへ着いたタキはまめみの姿を捜したが、姿は無かった
すると…タキの背後から気配が!
N-ZAP85を構えて振り返ったタキだが、そこに居たのは…
まめみ「………………。」
タキ「まめみ!」
両手を後ろに隠して俯いているまめみは、喧嘩をして別れた時とは違う服装…
オシノビニットにフロントジップベスト、タコゾネスブーツネオに身を包んだまめみはいつもとは少し違う雰囲気に感じる…。
しかしまめみと喧嘩をして、そのまま行方が分からず捜し回っていたタキの精神状態はギリギリの状態で…まめみが見つかった事でそれらの警戒心は完全に解けていた。
まめみ「…………………。」
タキ「無事でよかった…ごめん…ごめんねまめみ…!」
そう言って近づいたタキだが…
まめみ「……………倒す。」
タキ「え…?……まめみ!?」
そう呟いてまめみは顔を上げて、突然タキに背中に隠していた両手を…クアッドホッパーブラックを向けた!
まめみ「…覚悟!」
タキ「何を…するの…!」
まめみが攻撃してくるのを交わし、後ろに大きくジャンプしてかわしたその時にタキは気づいた!
まめみ「……………………。」
タキ「まめみ、目の色が……!?」
まめみの瞳の色は、タキが知る優しい桃色ではなくて血のような赤…そして装備していたクアッドホッパーブラックは彼の……
まめみ「……………………。」
タキ「まめ…み…。」
驚きを隠せないタキ…すると高台から声が聞こえた。
ツネ「まめみ。」
声の方向を見上げると、そこにはツネの姿が!
タキ「ツネ、まめみに何をした!?」
ツネ「何かしたのは君の方じゃないか。」
タキ「何…!?」
ツネ「まめみにつらく当たり無理矢理襲い、拒まれたら突き放した…彼女を傷つけたのは君だよ。」
タキ「っ………!」
ツネ「…僕はこの時を待っていた。」
タキ「……………!?」
ツネ「君はまめみの秘密も知ってるみたいだね、タキ……いや、ヒーロー3号。」
タキ「俺がヒーロー3号だという事も知っているのか……!」
ツネ「君が勘付いた通りだよ、僕はタコワサお爺様の孫…護衛部隊の隊長だ。そして、まめみには君を殺す様に指示してある。」
タキ「…………………!!」
あの時の洗練された動き、護衛部隊なら納得もいく…タキは内心そう思った。
ツネ「まめみ。」
まめみ「……………殺す……お前を…殺す!」
タキ「まめみ…!」
まめみは再びクアッドホッパーブラックを手にすると、タキに向かってきた!
やむを得ない…タキは着ていたF-190の懐に一度は隠していたN-ZAP85を再び取り出して応戦した!
まめみ「………………。」
無表情のままひたすらに向かってくるまめみ。
その動きは普段のまめみとは全然違ってほとんど隙の無い動きで…いつの間にか後ろを取られていたり、インクに潜伏からの奇襲までしてきた。
タキ「まめみ思い出して…俺だよ、タキだ!」
まめみ「…………………。」
タキ「2年間ずっと一緒だったじゃないか…まめみっ!」
まめみ「………倒…す…………。」
タキ「まめみ!」
しばらく戦ったが決着はつかず…まめみはツネの元へ駆け寄った。
そして…彼にクアッドホッパーブラックを返し、次に装備したのは…ハイドラント!
まめみ「…これで仕留める。」
そう言うと、まめみは歩きながらチャージを始めた!
タキ「っ………!」
ギュルルルルルルルルル…
ドドドドドドドドッ!!
ハイドラントの弾幕が容赦なくタキを襲う。
タキはそれでもN-ZAP85で応戦しつつ、諦めずにまめみに呼びかけ続けた。
すると…しばらくしてまめみが突然動きを止め、その場に立ち尽くしたままタキの瞳をじっと見ていて…
まめみ「…………っ…………!」
タキ「…まめみ…!」
まめみ「ポ……ナ…っ……!」
タキ「まめみ…そうだよ、俺がタキだ!」
まめみ「あ…あたし…あたし…は…っ…!」
彼女は頭を抱えていたが…その瞳の色は…赤にうっすらと桃色が混ざっていて…。
タキ「思い出して、まめみ!」
このまま話しかければ思い出すかもしれない!そう思って呼びかけ続けたタキだが…。
ツネ「まめみ。」
彼女の名前を呼んで、ツネが降りて来た。
まめみ「ツっ…くん…。」
ツネ「お疲れ様、今日は戻って休もう。」
まめみ「でも…ツっくん…。」
ツネ「大丈夫だよ、僕が傍にいる。」
そう言ってツネはまめみを抱き寄せて、少し激しめのキスをした。
タキ「!!………やめ…ろ…やめろっ!!」
激しい動揺と怒りで叫ぶタキだったが…ツネはキスを止めて冷たい視線を向けた。
ツネ「僕達の邪魔をするな。」
しかしその時…
ハイドラント「(まめみ!我の声が聞こえるか!?)」
まめみ「ハイドラント…?」
ツネ「まめみ?」
ハイドラント「(まめみ、思い出すのだ…タキの事を…お前の本当の記憶を!)」
まめみ「あたしの…本当の…記憶…?」
ツネ「(ハイドラントがまめみに話しかけているのか…!)まめみ…帰ろう。」
まめみ「ツっくん…でも…ハイドラントが…。」
ツネ「僕の目を見て、まめみ。」
そう言うとツネの瞳は再び赤く染まり、瞳孔はタコの目に…
タキ「!!」
まめみ「…………………。」
彼の目を見たまめみは催眠術で意識を失い、ツネはハイドラントをその場にそっと置いてまめみを優しく抱き上げた。
ツネ「ハイドラントは置いていくよ、まめみに余計な事を吹き込まれちゃたまらないからね。」
タキ「ツネ…まめみを…まめみを返せ…返してくれ…っ……!」
悲痛な叫びをぶつけたタキだったが…ツネは相変わらず冷たい視線のまま口を開いた…。
ツネ「今更、君がまめみの恋人でいる資格なんてあるの?」
タキ「…………っ…………!」
ツネ「まめみに気持ちを伝え、僕の力でまめみの記憶を塗り替え君の記憶を消したのさ…そして今は僕が最愛の恋人…。」
タキ「………くっ……ぅ………!」
ツネ「君の事は思い出さないよ、永遠にね。」
そう言うと、ツネはまめみを抱きかかえたまま姿を消し…
その場に1人残されたタキは…失意と絶望感の中、残されたまめみのハイドラントを抱きしめて大粒の涙を流すのであった…。
To be continued…