マホロアの口内に、アイシェの血の味が広がる…
ちゅっと吸った後に咥えるのを止めて指を見ると、切り傷からじわ…と血が滲んできた。
マホロア「チョット深く切れたネ…ケド、コレなら大丈夫ダヨ。」
そう言ってアイシェの指に手をかざしたら、魔法陣が現れて…スッと傷が消えた。
アイシェ「傷が……前にスフィアローパーに襲われた時に、起きたら小さな傷が消えてたのも?」
マホロア「ウン、ボクの魔法で小さな傷を治したんダヨ。」
アイシェ「すごい…ありがとうマホロア。」
マホロア「どういたしましテ、大事に至らなくてヨカッタ。」
優しい笑みを浮かべるマホロアに、アイシェの頬は再び赤く染まった
アイシェ「……………。」
マホロア「アイシェ…。」
頬を撫でるマホロアの手袋は温かくて、顔が近くてドキドキしてしまう。
アイシェ「(マホロア…。)」
そっと瞳を閉じたアイシェだったが…
マホロア「クックック…な~んて顔してるんダイ?」
そう言うと、マホロアはアイシェの頬を軽くむにゅっとして笑っている
アイシェ「ま…マホロア…!?」
マホロア「ご飯作っちゃうカラ、待っててネ。」
そう言うと頬にキスをして、マホロアはご飯を作り始め…
アイシェ「…うん。」
まだドキドキが残る中、アイシェはソファに向かって座ったのだった。
その後、2人でご飯を食べて…
マホロア「ボクはお風呂に入っちゃうケド、アイシェは休んでイイヨ。」
アイシェ「えっ…。」
マホロア「ン、どうかシタ?」
アイシェ「…ううん、何でもないよ。」
マホロア「ソウ?それナラいいケド…。」
アイシェ「おやすみ、マホロア。」
マホロア「おやすみ、アイシェ。」
何も無かった……心の中では期待してしまった自分がいて…
アイシェ「(私だけだったのかな…。)」
そう思いながら部屋へ行くと、以前よりちょっと飾りが増えていて…テーブルには良い香りの香水が置かれていた
そして奥にはあのピアノも置いてあり、あの時と違ってピカピカに掃除されて綺麗になっていて…アイシェがピアノをそっと触ると、まるで今の自分の心を映すかの様に悲しげな音が響いた…。
アイシェはリボンを外してそっとベッドに入り、大きな枕に頭を乗せた
ぎゅっ…ふかふかの布団を握り、悲しい気持ちを忘れる為に目を閉じると…疲れもあってかじきに夢の世界へ旅立った。
一方のマホロアは湯船に浸かりながら、考え事をしていた
あの時のアイシェの真っ赤に染まった頬…潤んだ青い瞳…目を閉じた時の表情ですら色っぽくて、マホロアの心臓はドキンと跳ね上がった。
何ならあのまま押し倒してしまいそうになったくらいで…それをグッと堪えて揶揄ったが、さっきも悲しそうな表情をしていて…
マホロア「…期待しちゃうヨォ…。」
ポツリ…と呟いた言葉は、湯気と共に浴室に消えて行った。
その後マホロアはお風呂から上がり、パジャマに着替えて寝ようとしたが…アイシェの事が気になって仕方が無い
マホロアはそっとアイシェの眠る部屋へ向かい、音を立てない様に中に入った。
アイシェ「すぅ…すぅ…。」
枕元にリボンを置き、アイシェは規則正しい寝息を立てて眠っていて…マホロアは彼女を観察する様にじっと眺めた
白いワンピースタイプのパジャマは前に見たのとはまた違うデザインで、胸元から下にかけてボタンで留められている様だ
そしてその胸元から覗く膨らみは、マホロアには強いくらいの刺激となって…
マホロア「(…チョットダケ…。)」
そっと布団を持ち上げて見ると、どうやら太もも辺りまでの丈らしく…ボタンがそこで終わっていた。
そしてパジャマの間から覗く白い太ももは柔らかそうで…マホロアを更に刺激する
アイシェ「すぅ…すぅ…。」
全く起きる気配も無く熟睡しているアイシェの隣にそっと忍び込み、後ろからぎゅっと抱きしめると…全身を通して彼女の体温が伝わってくる。
マホロア「(ハァ…温かいヨォ…。)」
アイシェからは良い香りがして、マホロアの鼻腔を通してゾクゾクと興奮を掻き立て…
ちゅっ…マホロアはそっとアイシェの頬にキスをした。
すると…
アイシェ「んっ…。」
寝返りを打ったアイシェがマホロアの方を向き、そのままぎゅっと抱きついてきた!
マホロア「アイシェ…!?」
驚くマホロアだったが…体にはアイシェの胸がむにゅっと当たっていて…ゾクゾクと全身を電流の様な感覚が巡り、呼吸も荒くなってきて…
何とか抑えようにも、今まで以上に我慢出来ず…マホロアはアイシェに少し強めのキスをすると、モゾモゾと動いて目を覚ました。
アイシェ「んっ…マホ…ロア…?」
マホロア「ハァ…アイシェ…。」
アイシェ「ど…したの…?」
まだ寝ぼけているアイシェは、マホロアの体に更に密着してしまい…
むにゅっ…彼の体に押しつけられた胸が形を変えて、それを見てしまったマホロアは…
マホロア「ア…アァァ…ボク…モウ…ッ…!」
アイシェ「マホロア…?」
マホロア「アイシェ…アイシェ…ェ…!」
アイシェ「っ……!?」
突然マホロアが噛みつく様なキスをしてきて、アイシェは驚いて一気に目覚めた!
一体何が…それよりもどうしてマホロアがここに居るのか?思考が追いつかない中、マホロアは角度を変えて何度も何度も激しいキスをしてきて…ようやく口を離すと、そこには黄色の瞳をギラギラと光らせ、息の荒いマホロアの姿があった。
マホロア「アイシェ…ボク…ハァ…ハァ…!」
アイシェ「マホロア…。」
マホロア「ッ…今度こそ我慢出来ナイ…ヨォ…!」
ブルッ…彼の体が小さく震え、アイシェのお腹の辺りには熱を感じて…
アイシェはそこでようやく状況を理解して、その頬は一気に赤く染まった。
アイシェ「マホ…ロア…!」
マホロア「ずっと我慢してきたケド…モゥ…限界ダヨォ…アイシェ…一緒にローアで暮らそうヨ…アイシェが欲しい…ヨォ…。」
今にも泣きそうな…切なげな声を上げるマホロアに、アイシェの心はぎゅっとなった。
アイシェ「マホロア…私…」
上手く言葉が出てこなくて困ってしまうアイシェに、マホロアはハッとして…息を荒くしつつも頬に優しくキスをして起き上がった
マホロア「ハァ…ハァ…アイシェが怖かったり嫌だっタラ、無理強いはしないヨ…前みたいに魔力に変えるカラネ…。」
息を荒げて興奮しつつも、マホロアは必死に自分を抑えていて…
覚悟を決めたアイシェも起き上がり、彼の瞳を真っ直ぐ見て口を開いた。
アイシェ「マホロア、私……聞いちゃったの…。」
マホロア「エ…何を聞いたノ…?」
アイシェ「マホロアが…その……お部屋で…っ…。」
頬を真っ赤に染めて目を伏せてしまったアイシェを見て、今度はマホロアが頬を真っ赤に染めて、黄色の瞳は驚きで見開かれた
マホロア「まさか…アイシェがお風呂カラ上がった後…ボクの部屋に来てタ…ノ?」
アイシェ「マホロアの姿が無くて…お部屋に居るのかなって…そしたら…扉越しに…聞こえ…ちゃって…。」
マホロア「……………!!」
驚きと恥ずかしさで、マホロアは言葉を失った。よりによってそんな所を聞かれてしまったなんて、引かれてしまったんじゃ……しかしアイシェの反応は正反対で…
アイシェ「…私…マホロアに応えたい…。」
一瞬、耳を疑った…まさかアイシェからそんな言葉が出てくるとは思わなかったからだ。
マホロア「アイシェ…ソレってボクと今夜……ってコト?」
アイシェ「…うん。」
マホロア「意味はもちろん分かってるんダヨネ…?」
アイシェ「わ、分かってるよ…。」
とても嬉しいが、それ以上にマホロアの心には恐怖があった…自分が強引だったからアイシェに無理強いをしているのではないか、傷つけて嫌われてしまわないか…
マホロア「キミに無理をして欲しくないんダ…傷つけてしまいそうデ…。」
しょんぼりしてしまったマホロアの手を優しく握り、アイシェは再び口を開いた。
アイシェ「不安や怖いのはあるよ…でも…でもそれ以上に、マホロアに求められたい…たくさん愛されたい。」
マホロア「アイシェ…!」
アイシェ「マホロアの傍に居たい…離れたくない…!」
ぎゅっ…マホロアは何も言わずに、アイシェを強く抱きしめた。
To be continued…