小説「夢結ぶ星りんご」~赤薔薇ドレスの姫と紳士な盗賊~

約束の時間が近づき、アイシェは贈られてきたドレスに着替えたが…

マホロア「ッ………!!」

白いオフショルダーに黒いビスチェ部分の胸元には赤い薔薇のコサージュが付いたリボンが結ばれ、スカート部分は赤く中央の生地だけは白いフリルレースになっていて、上の方で緩く1つに纏めた銀髪も相まって彼女の美しさを引き立たせていた。

アイシェ「こういう色は初めてで…変…かな…。」

真っ赤に染まる頬は薔薇の様で、マホロアは言葉を失って見惚れてしまった…

マホロア「全然…全然変じゃないヨォ…すごく綺麗で…ボクびっくりしチャッタ…。」

ドキドキと胸が高鳴るマホロア…何なら今すぐにでも自分の部屋へ連れて行って押し倒し、そのまま脱がせて堪能したいくらいで…そんな自分の欲望をぐっと堪え、アイシェを抱きしめた。

アイシェ「マホロア…。」

マホロア「気をつけてネ、アイシェ。」

アイシェ「うん。」

マホロアはアイシェを優しく抱き上げるとローアを出て、ベジタブルバレーの近くまで飛んで行った。

そしてマホロアと別れて少し歩いて行くと、ドロッチェが立っていて…

ドロッチェ「アイシェ。」

アイシェ「こんにちは、ドロッチェ。」

ドロッチェ「送ったドレスを着て貰えたんだな、よく似合っているよ。」

アイシェ「ありがとう。」

マホロアと同じ様に褒められただけなのに、彼の赤い瞳に見つめられると不思議な気持ちになってしまう…。

ドロッチェ「ここに座ってくれ。」

そう言うとドロッチェは、自分のハンカチを地面に敷いてそこに座るように促した。

アイシェ「えっ、申し訳無いよ…。」

ドロッチェ「いいんだ、女性に対してこうするのは当然だろう?」

アイシェ「…………!!」

ドロッチェ「どうしたんだ?」

アイシェ「え…あ、何でも無い…ありがとう…。」

何て紳士なんだろう…驚いたアイシェはドキドキしつつ、そっとハンカチの上に座った。

ドロッチェ「今日呼んだのは、君と色々話したかったからなんだ。」

アイシェ「色々なお話?」

ドロッチェ「この世界に生まれ変わってきた不思議な少女…詳しく知りたくてな。」

そう話すドロッチェの赤い瞳は、アイシェの青い瞳をしっかり捉えていて…頬は自然と赤く染まった。

アイシェ「私、生前の記憶がほぼ無いの…それでもよければ…。」

ドロッチェ「あぁ、構わない。」

彼の答えを聞いて、アイシェはゆっくりと話し始めた。

同じ頃…ベジタブルバレーの近くでは、マホロアがのんびり過ごしながらアイシェを待っていた。

マホロア「アイシェ、今の所連絡は無いカラ大丈夫そうダネ。」

アイシェと同じ歯車型の通信機チャームを見ながら呟くマホロア、とはいえ不安があるのは事実で…近くに咲いてた花を眺めながらマホロアがゆっくりと横になると、そよ風で花は揺れて…ふとアイシェと出会った頃を思い出した。

カービィを止めようとしていたから様子を見に行ったらアイシェが居て、その青い瞳に不思議な気持ちを覚えて…今思えばあの瞬間から惹かれていた、所謂「一目惚れ」というやつである。

朝の言葉通り、アイシェは自分の本性を全て知った上で好きになってくれたから大丈夫…とはいえドロッチェはどうだろうか?

アイシェを無理矢理とも限らない…だから自分が目を光らせる必要があるのだ

そんな事を考えていると、突然大きな影が2つ現れて…顔を上げるとマルクとタランザが居た。

マルク「ここで何してるのサ?」

タランザ「アイシェは一緒じゃないのね?」

マホロア「ボクはこう見えて忙しいんダヨ、今だってアイシェを心配しながら待ってるんダカラ。」

マルク「どういう事なのサ?」

マホロア「ドロッチェとベジタブルバレーで会ってるんダヨ、わざわざドレスの贈り物マデしてきてサ。」

マルク「へぇ~なかなかやるじゃん。」

マホロア「アイツの色なのが気に入らないケドネェ……ソレとマルク、この前は悪かったヨォ。」

マルク「ん、もう気にしてないからいいのサ。」

タランザ「どうしてマホロアが、ここでアイシェを待つ必要があるのね?」

マルク「ドロッチェって奴は、色んな星を飛び回る盗賊団のボスなのサ、そしてアイシェを気に入ってる様子なのサ。」

タランザ「なるほどねぇ…なのに、マホロアは会いに行くのを許したの?」

マホロア「アイシェが行きたいっテ言うナラ、仕方無いダロ。」

マルク「まー、ドロッチェに気持ちが傾くなんて事は無いと思うけどな。」

タランザ「そのドロッチェっていう奴は、どんな感じなのね?」

マホロア「チョーキザったらしい奴ダヨォ、ボクの事もお子様だっテ馬鹿にしてきたシ…。」

マルク「あれはそう言われても仕方無いのサ。」

マホロア「ボクは子供じゃネーヨ!」

タランザ「それだけじゃ話が見えないの…実際に見てみたいのね。」

マホロア「分かったヨォ…。」

こうして3人は、アイシェとドロッチェに見つからない様にこっそりとベジタブルバレーに向かった。

少しして到着すると、ドロッチェとアイシェが座りながら話をしていた。

マルク「スゲー色のドレス着てるな。」

タランザ「アイシェはあぁいうタイプの色は着ないから、かなり新鮮なのね。」

マホロア「ボクもびっくりしたヨォ…。」

マルク「あんな色のドレス着て迫られたら、お前我慢出来ないんじゃねーの?」

マホロア「…正直、アレを見た時めちゃくちゃ欲情シタ…何なら勃ったヨ。」

マルク「だろうな。」

タランザ「ちょっ…下品なのね!ていうかそれだけでそういう事になるとか、さすがにヤバイのね!」

マホロア「何言ってんノ、健全な証拠ダヨォ~?」

マルク「マホロアはこういう奴なのサ。」

タランザ「アイシェが色んな意味で心配になってくるのね…。」

頬を真っ赤にして呆れるタランザに対して、至って普通の反応だと言わんばかりのマホロアとマルク…

そんな3人に気づく事無く、アイシェはドロッチェに自分の生前の事を話し終えたのだった。

To be continued…