アイシェ「はい、これで大丈夫。」
マホロア「アリガトウ、アイシェ。」
アイシェ「どういたしまして…ふふっ、まるであの時みたい。」
マホロア「スフィアローパーにやられた怪我を、ボクが手当てしてた頃のカイ?」
アイシェ「うん。」
マホロア「今でこそ思い出話だケド、アンナ無茶してホント〜に驚いたんダカラネ…アイシェは時々とんでもない無茶するカラ心配ダヨ。」
アイシェ「でも、もう1人の時は無茶してないよ。」
マホロア「そうだケドサァ…。」
アイシェ「マホロアとずっと一緒に生きていくんだもの、もうあんな危ない事はしないよ。」
マホロア「アイシェ…。」
ゆっくりと近づいたマホロアは、アイシェを抱きしめ…背中と後頭部に手を回してそのまま深いキスをした。
アイシェ「んっ…ふぅ…。」
キスを止めて目を開けると、小さな傷は治って手当てをしたのに服だけはボロボロになっているマホロアの姿があって…アイシェは不思議な気持ちになってしまう。
マホロア「アイシェ、愛してるヨォ。」
アイシェ「マホロア…私も愛してるよ。」
マホロア「…あのキザなネズミはダレだったノ?」
アイシェ「彼はドロッチェ、アジトでお茶を頂いて…途中まで送ってくれてたの。」
マホロア「アジト!?しかもお茶って何ダヨ!?」
アイシェ「待って、ちゃんと説明するから…!」
いきなり情報量がたくさん入ってきて驚くマホロアだったが、アイシェから改めて説明を聞いて落ち着いた。
マホロア「つまり、そのチューリンっていう小さなネズミを助けたお礼って事だったんダネ?」
アイシェ「うん。」
マホロア「そうだったにしてモ、いけ好かない奴ダヨォ…ボクを挑発しやがっテ!」
アイシェ「ドロッチェはあんな事言ってたけど、きっと悪気は無いと思うの。」
マホロア「アイシェは優しいネ…デモ、その優しさが時には心配ダヨォ…。」
アイシェ「えっ?」
マホロア「ボクみたいに優しい紳士とは限らないんダヨ?いきなり押し倒されテ襲われでもしタラ…!」
アイシェ「マホロア、いくら何でも考えすぎだよ…。」
彼の発言に少し引っかかる部分はあるものの、それを指摘したら後が大変になりそうなので、アイシェはそれについては言わずにいたが、マホロアの方はすごく心配な様子で…
マホロア「アイシェが無防備過ぎるんダヨォ!モウ、心配するボクの身にもなってヨネ…。」
アイシェ「えぇ…そうなの?」
マホロア「そうダヨ。」
アイシェ「でも…マホロアがいつも守ってくれるよ?」
マホロア「すっごく可愛い事言ってくれるネェ…デモ、ボクの魔術で完璧に守れるわけじゃナイカラネ。」
アイシェ「…うん…気をつける…。」
しょんぼりしながら耳をペタンと横に垂らし、胸に抱きついて服をぎゅっと握るアイシェが可愛くて…マホロアは頭を撫でて再び抱きしめた。
マホロア「イイ子ダヨ、アイシェ。」
アイシェ「ふふっ…何だか子供扱いされてるみたい…。」
心地良くもくすぐったい不思議な感覚のアイシェだが、マホロアはドロッチェに言われた事を思い出して…
マホロア「…ネェ、ボクってお子様カイ?」
アイシェ「えっ?」
マホロア「アイツに言われたダロ?お子様っテ…。」
アイシェ「ううん、マホロアは素敵な大人だよ。」
マホロア「アリガトウ、アイシェ。」
そう言いながら、マホロアはアイシェを抱き上げて…
アイシェ「きゃあっ!」
マホロア「フフフッ、相変わらず可愛い声を出すネ。」
頬を真っ赤に染めるアイシェを見つつ、マホロアの瞳は弓なりに細く口は弧を描いて…優しくベッドに下ろしてそのまま押し倒した。
アイシェ「ま、マホロアぁ…!」
マホロア「お子様はコ〜ンナ風にエッチな事をしないもんネェ…。」
そう言ってマホロアはアイシェの首筋に顔を埋めて…その後は2人の熱くて甘い時間を堪能した。
マホロア「ハァ…アイシェは温かくテ、抱き心地もサイコーで気持ちイイヨォ…。」
アイシェ「ありがとう…でもこんな明るい内から…。」
マホロア「ボクは時間問わずにいつでもイイヨ、アイシェさえよければ…ネ?」
そう言いながら、彼女の長いふわふわの銀髪を優しく掬い上げて、サラサラと手櫛で梳かした
アイシェ「もう、マホロアったら…。」
そう言いつつもアイシェの頬は赤く、はにかんでいて…マホロアは目を細めて彼女のおでこにキスをした。
マホロアは満足していた…それでも不安なのも事実だった
あの盗賊ネズミがこのまま引き下がるだろうか…
あの瞳と言葉には、明らかに彼の「意思」があって…
マホロア「(アイツは要注意ダネ…。)」
アイシェが彼に奪い取られない様に、自分が目を光らせておかなければ…そう考えていた
アイシェ「あ、マホロア…カワサキさんから桜のケーキを頂いたんだけど、食べる?」
マホロア「ン、アイシェはモウ食べちゃったノ?」
アイシェ「私はチューリンにあげたから、食べてないよ。」
マホロア「2人で一緒に食べようヨ、その方がモ〜ット美味しくテ幸せになれるヨォ。」
アイシェ「ふふっ、うん。」
2人で1つの桜のケーキを仲良く食べて、その後は穏やかに過ごしていたが…マホロアの嫌な予感は的中するのである。
ある日の事、アイシェが起きてくると…
アイシェ「おはようローア?…え、私に?」
彼女の頭の中にローアの声が聞こえて来て…外に出ると、そこには白い箱に青いリボンでラッピングされたプレゼントがあって…そっと持ち上げて中に入った。
そして丁寧に包装を解いていくと、中に入っていたのは赤と黒を基調としたエレガントなドレスで…アイシェは驚いて青い瞳を見開いた!
するとマホロアが遅れて起きてきて…
マホロア「フアァ…おはようアイシェ……っテ、何ダイそのドレス?」
アイシェ「おはようマホロア、私も今見てびっくりしちゃった…ローアが私宛に荷物が置かれて行ったって教えてくれたから、見たらプレゼントがあって開けたらこれが…。」
マホロア「奇妙ダネェ…。(デモこの赤、何だかアイツみたいダナァ…。)」
そう思ってマホロアが少し眉間に皺を寄せていると、ドレスからハラリと何かが落ちて…アイシェが拾い上げると、メッセージカードだった。
アイシェ「…あ、ドロッチェからのメッセージが書かれてる。」
ドクン…マホロアの心臓は嫌な意味で大きく揺れた
マホロア「…何て書いてあるノ?」
アイシェ「えっと…」
そう言うと、アイシェはゆっくりと読み始めた。
親愛なるアイシェへ
この前は本当にありがとう。
お礼として、君にドレスを送らせて貰った。是非着てみて欲しい。
今日の午後1時、ベジタブルバレーで待っている。アイシェが良ければ、そのドレスを着てオレの元へ来て欲しい。
ドロッチェ
マホロア「………………。」
正直、聞いていて腸が煮えくり返る思いだった
ドロッチェにどういう意図があるのか、マホロアには見え見えだった
しかしアイシェは全く気づいておらず…
アイシェ「何かお話でもあるのかな、行って来ていいマホロア?」
マホロア「絶っっっ対にダメに決まってんダロ!!」
そんな事を言うものだから、マホロアは目をつり上げて怒った。
アイシェ「ま、マホロア!?」
マホロア「コンナの絶対、アイシェに告白するに決まってんダロォ!」
アイシェ「告白!?そんなはずないよ、だってドロッチェは友達…」
マホロア「友達じゃないカラ言ってんダヨ!」
アイシェ「マホロア…!」
マホロア「ボクは嫌ダヨ、アイツ何か余裕ある態度デ…きっとアイシェを誘惑シテ、ボクの元カラ取られチャウ…!」
アイシェ「マホロア、それは絶対に無いよ。」
マホロア「アイシェ…?」
アイシェ「私は生前の記憶からドロッチェの事もマホロアの事も知ってる…その上で私はマホロアに恋をしたの、他の人の恋人になるなんて考えたくない。」
マホロア「アイシェ…ソコまでボク一筋でいてくれるノ?」
アイシェ「うん、だって1年も待ち続けてたんだもの…マホロアの事がずっと大好きだよ。」
マホロア「アイシェ…アイシェ…!」
嬉しさと同時に不安が消えたマホロアは、アイシェをそのまま抱きしめてキスをした。
アイシェ「大丈夫、ちゃんと通信機チャームも持って行くから…それに、マホロアが守護の魔術もかけてくれてるもの。」
マホロア「ウン、デモ約束してアイシェ…もし何かされそうになっタラすぐにボクを呼んデ、念の為にベジタブルバレーの近くで待ってるカラ。」
アイシェ「うん、約束する。」
2人は約束のキスを交わし、朝ご飯を食べた後に午後の約束の時間に合わせて準備をするのだった。
To be continued…