タランザ「アイシェ、気分はどう?」
アイシェ「うん、もう落ち着いたよ。」
タランザ「よかったのね。」
アイシェ「昨日は本当にありがとう。」
タランザ「どういたしまして。」
その後…昨夜の事をアイシェから詳しく聞いたタランザは、マホロアが言っていた事は嘘では無かった事を知った。
アイシェ「助けには来てくれたみたいだけど、そのまま抱きついてきて…。」
タランザ「全くあのド変態は……とはいえ、マホロアも反省はしてたみたいなのね。」
アイシェ「うん…。」
タランザはそう言ったが、アイシェは眉根を下げて耳もペタンとしている…。
タランザ「マホロアが嫌いになっちゃった?」
アイシェ「ううん、そうじゃないの…でも…気まずくて…。」
それを聞いたタランザは少し考えた後、何かを思いついた様で…手をポンッと叩いた。
タランザ「アイシェ、今日は1人で過ごしてみるのはどう?」
アイシェ「1人で?」
タランザ「マホロアは今日1日ボクが見てるのね、だからアイシェは自分の時間を堪能してみるのはどうなのね?」
マホロアと暮らし始めてからは、2人で過ごす時間が楽しくて…思えばあまり1人で過ごす事が無かった
アイシェ「でも…タランザは本当にいいの?」
タランザに迷惑をかけてしまっていると心配したアイシェだが、彼はニコニコの笑顔で優しく頭を撫でてくれて…
タランザ「ボクは大丈夫、1日くらいアイツの面倒を見るなんてお手の物なのね。」
アイシェ「タランザ…ありがとう。」
彼の言葉に安心したアイシェは、今日は1人で過ごす事に決めた。
その後…起きてきたマルクは未だに気まずそうな様子だったが、タランザが間に入ってくれて…
マルク「アイシェ…本当に悪かったのサ…。」
アイシェ「ううん、マルクは助けに来てくれたんだもの。」
マルク「アイシェ…。」
アイシェ「だからもう気にしないで。」
マルク「…ありがとなのサ。」
そう言って優しく笑うアイシェに、マルクは安心して…小さい声だがお礼を言った。
その後3人で朝食を済ませ、桜のクッキーを2人にごちそうした後でマルクは帰りアイシェはお弁当を作ると桜の花冠を被って出かけたが、ようやく起きたマホロアは怒っていて…
マホロア「ボクが寝ている間に術をかけたナ!」
タランザ「アイシェと2人で話をしたかったから、キミには「眠りの術」を一時的にかけて眠りを深くしたのね。」
マホロア「アイシェと2人デ…タランザ、テメーやっぱりアイシェを狙ってるんダロ!!」
タランザ「すぐそう言うのは、どうかと思うのね。」
マホロア「アイシェと2人きりッテ事は、それしかネーダロ!」
タランザ「ボクはアイシェの事を大切な友達だとは思ってるけど、恋愛対象としては見てないのね。そもそもアイシェだってマホロアだけを恋人として愛してるのね。」
マホロア「ならどうシテ、ボクに術をかけて2人きりで話す必要があるんダヨ!」
タランザ「昨夜の事があるから、アイシェからゆっくり話を聞きたかったのね。キミは気づいて無いけど…ボクが行った時、アイシェは震えていたのね。」
マホロア「震えてタ?」
タランザ「何かに襲われて驚いてた所に、頼りになるはずのキミがあんな事をしたんだもの…怯えて当然なのね。」
そう言ってタランザは、襲った正体はチューリンだった事…その後幹部のストロンと団長のドロッチェが迎えに来た事…アイシェが腰を抜かしてしまった事等を話した。
マホロア「またあのネズミが原因かヨォ!」
タランザ「本当ならマホロアが、アイシェをしっかりと守ってあげないといけなかったのね。」
マホロア「………………。」
タランザの指摘に、マホロアは耳をペタンと下げてしょんぼりしてしまって…それを見たタランザはふぅ…と溜息を吐いて口を開いた。
タランザ「アイシェから桜のクッキーをごちそうになったの。マルクとボクは食べたけど、アイシェは後からマホロアと一緒に食べるって言ってたの、それだけキミの事を大事に想ってるのね。」
マホロア「アイシェ……ボク謝って来るヨォ!」
そう言ってアイシェの部屋に行こうとしたマホロアだが…
タランザ「アイシェは気まずそうな様子だったから、ボクの提案で今日は1人で過ごす事になったのね。」
マホロア「エェーーー何でダヨォ!」
タランザ「アイシェを少し1人にしてあげた方がいいのね、そしてキミはボクが1日面倒見るから。」
マホロア「ハァ!?勝手に決めるなヨ!」
タランザ「マホロアも今日はしっかり反省するの、そして絶対にアイシェの邪魔はさせないからね!」
マホロア「タランザ、テメーさっきカラ大人しく聞いてれバ…!」
タランザ「文句言ってる暇があったら、さっさと顔でも洗って来なよ。それと朝ご飯作ったからね。」
マホロア「アイシェのご飯じゃないノォ!?」
タランザ「アイシェは作り置きしようとしてたけど、ボクが止めたのね。」
マホロア「ハァ~何が悲しくテ、タランザの作ったご飯なんて食べなきゃならないんダヨォ…。」
タランザ「なら食べなくていいのね。」
ぐぅぅ…マホロアの口とは反対にお腹は正直で、空腹の合図を送って音を鳴らす
マホロア「…食べるヨォ!」
タランザ「ふふん、最初から素直にそう言えばいいのね。」
マホロア「クッソオォォォォ…!!」
ビキビキするマホロアだったが、タランザの実力は知っている…前みたいにアイシェにイタズラをする様なキッカケが無い限り、出し抜く事は難しいだろう…諦めたマホロアは大人しくする事にして、顔を洗った後にタランザの作った朝食を食べ始めるのだった。
同じ頃、アイシェはお気に入りの花畑に来ていた。
色とりどりの花が咲き誇り、優しい風に乗って良い香りを運んでくれて…アイシェがそっと寝転がって空を見上げると、カービィの瞳と同じ色をした空は今日もふわふわの雲を運んでいて…ふと、この世界に来てからの事を思いだした。
夢の泉でカービィやバンワドと出会って…デデデ城でご馳走して貰っていたらメタナイトが訪問してきて一触即発になりかけたが、そこから一変してみんなで仲良くご飯を食べて…
みんな優しくしてくれて心地良い生活をしていたら、マルクと出会って夜のお散歩に連れてってくれて…
それからマルクも一緒に遊ぶ様になって楽しい日々を送ってたらマホロアがやって来て…
色々あった中でマホロアに惹かれていって…
アイシェ「マホロア…。」
ふと恋人の名前を口にすると、アイシェは心が寂しくて…自然と彼を求めていた。
時々あんな風に強引な時もあるけど、やっぱりマホロアの事が好き…
アイシェは起き上がって桜の花冠を眺め…何かを思いついた様で、傍にあった白い花を摘んで編み始めた。
途中でお昼のお弁当を食べ、食べ終えるとまた再開して…誰も居ない花畑でアイシェはひたすらに花を摘んでは丁寧に編み続けた。
To be continued…