マホロアとマルクがぶつかり合いを始めた事など知る由も無く、アイシェはチューリンを連れてカービィの家に来た。
カービィ「アイシェ、いらっしゃい!」
アイシェ「お邪魔しますカービィ、あのね…」
そう言ってアイシェはチューリンを見せ、ドロッチェの元に帰したい意思を伝えた。
カービィ「うーん…ドロッチェ達は基本的にお宝を求めて色んな星を飛び回ってるからね、アジトにさえ居れば見つかると思うよ。」
アイシェ「きっとみんなこの子を心配してると思うの、早く帰してあげたい…。」
カービィ「そうだね、ワープスターに乗って探してみよう!」
アイシェ「ありがとうカービィ!」
その後、2人はワープスターに乗って上空からドロッチェ達の姿を捜し…しばらく飛び回った末に、プリズムプレインズでドロッチェの姿を見つけた!
カービィ「ドロッチェ!」
ドロッチェ「ん…あぁ、カービィか。」
初めて会った本物のドロッチェは大きくて、デデデの次くらいの身長だろうか…気品があり大人の色気が漂う、所謂「紳士」というやつだ。
カービィ「キミを探してたんだ!」
ドロッチェ「オレを…それにそちらのお嬢さんは…?」
カービィ「彼女はアイシェ、ボクの友達なんだ!」
アイシェ「初めまして。」
ドロッチェ「あぁ…もしかして、噂の生まれ変わってきたお嬢さんかい?」
アイシェ「え、私の事を知ってるの?」
ドロッチェ「あぁ、オレ達にも噂は届いてるぞ。そんな素敵な可愛らしいお嬢さんがオレに何の用だい?」
アイシェ「この子を見つけたの、捜してるんじゃないかって思って…。」
そう言うと、アイシェは抱いていたケープを開いて…眠っているチューリンを見せた。
ドロッチェ「チューリンじゃないか、いままでどこに…!?」
アイシェ「カワサキさんの所から帰る途中で、草むらから出てきたの…怪我をしてたから応急処置をして、ケーキを食べさせたら安心して眠っちゃって。」
ドロッチェ「ありがとう、コイツをみんなで手分けして捜してたんだ…無事でよかった。」
アイシェからそっとチューリンを受け取ると…少しだけ身じろぎしつつもドロッチェの腕の中でぐっすりと眠り続けていた。
カービィ「よかったね、アイシェ。」
アイシェ「うん。」
ドロッチェ「君はコイツの命の恩人だ、何と礼を言ったらいいか…。」
アイシェ「ううん、気にしないで。」
ドロッチェ「いや、それではオレの気が済まん…そうだ、オレ達のアジトに招待しよう。」
アイシェ「アジトに?」
ドロッチェ「君に礼がしたい、お茶でもどうだい?」
そう言ってアイシェの小さな手をそっと取って見つめてくるドロッチェの赤い瞳は魅力的で、ドキドキして思わず頬を赤らめてしまう…
アイシェ「え…と…はい…。」
カービィ「えーボクも行きたい!」
ドロッチェ「ははは、もちろんカービィも招待するぜ。」
カービィ「やったー!」
ドロッチェ「それでは行こうか。」
その後はドロッチェの案内の元、ワープスターで彼らのアジトに到着して、彼がお茶を用意してくれた。
カービィ「わーい、美味しそう!いただきまーす!」
出されたカップケーキを美味しそうに頬張るカービィを見ながら、アイシェもティーカップを持って口にすると…
ふわっ…薔薇の香りが口内に広がり、アイシェの青い瞳はキラキラ輝いた。
アイシェ「わぁ…薔薇のいい香り!」
ドロッチェ「ローズティーだ、リラックス効果や美肌効果がある。」
アイシェ「すごくいい香りだし、色も綺麗だね。」
カービィ「美肌効果…ドロッチェは美容に気を遣ってるの?」
ドロッチェ「オレはこう見えても乾燥肌でな…このローズティーが欠かせないのさ。」
アイシェ「(そういえば「あつめてカービィ」っていう作品で、そんな事を言ってたなぁ…。)」
そう思いながらアイシェはローズティーを飲み、カービィと共に小さなカップケーキを口にした。
楽しく談笑しながら時間は過ぎ…
ドロッチェ「アイシェ、家まで送って行くよ。」
アイシェ「ありがとう、でもカービィもいるし大丈夫だよ。」
ドロッチェ「いや、オレが送りたいんだ。」
強い意志を伝えるドロッチェに対し、アイシェは彼の厚意に甘える事にした。
途中まではワープスターで移動し、いつもの見慣れた道に着いてからは歩いていたが…
ドオンッ!!
バチッ!!
何やら爆発音の様な、雷の様な…とにかく物騒な音が聞こえてくる…
カービィ「何の音だろう?」
音のする方向へカービィ達が向かうと…
マルク「しぶといのサ!」
マホロア「ソレはコッチのセリフダヨ!」
何とマルクとマホロアが、魔法空間を張りながら戦っている!
ドロッチェ「何だあれは…争いか?」
アイシェ「マホロア、マルク!?」
カービィ「何やってんの2人共!?」
マホロア「アイシェ…ッテ、ダレダヨその男ハ!?」
マルク「油断したな!」
ガッ!!
一瞬だけアイシェとドロッチェに気を取られた隙に、マルクの鉤爪がマホロアの顔に当たり…マフラーのベルトと共に頬が切れて血が流れ、マフラーに赤いシミが出来ていく…
マホロア「ッ…!何…するんダヨッ!!」
そう言うとマホロアはキルニードルを出して、マルクの頬を傷つけると、彼の頬からボタボタと血が零れ落ちた。
マルク「っ…前と同じ手を使いやがって…!」
アイシェ「2人共やめて!!」
マホロア「危ないから下がっててアイシェ、今日こそコノ馬鹿ピエロにボクが格上ダッテ分からせてやるんダ!」
マルク「お前に負けるボクじゃないのサ!」
大きく後ろに飛んだマルクは力を溜め始め…
マホロア「消し炭にしてやるヨ!」
そう言うとマホロアも、両手を構えて呪文を詠唱し始めた!
つまり、2人はお互いにマルク砲とマホロア砲を放つつもりで…アイシェの瞳は見開かれて、その表情は青ざめた!
アイシェ「やめて2人共、そんなの受けたら大変な事になっちゃう!」
カービィ「今すぐこんな事やめようよ!」
マルク「黙ってるのサ!!」
マホロア「男には引けない戦いがあるんダヨ!!」
ヒートアップした2人に、もはやアイシェとカービィの声は届かず…
ドロッチェ「危ない、一旦退こう!」
カービィ「わっ!?」
アイシェ「嫌っ…マホロア…マルク!!」
ドロッチェは嫌がるアイシェを無理矢理抱え、カービィを掴んでその場を離れた!
そして…
ブワアァァァァァーーーーーーーー!!
マルク砲とマホロア砲がそれぞれ放たれ、魔法空間の中で正面から激しくぶつかり合い…
ドカアァァァァン!!
大爆発を起こして、煙に包まれた!
カービィ「マルク、マホロア!!」
アイシェ「いやぁぁぁ…!!」
2人の名前を叫ぶカービィと、両手を頬に当てて青ざめているアイシェ…するとじっと様子を見ていたドロッチェが口を開いた。
ドロッチェ「あそこを見ろ、2人共無事だぞ!」
彼の指差した方向を見ると…砂埃の中から2人のシルエットが見えて…
マルク「はぁ…はぁ…!!」
マホロア「フゥ…フゥ…!!」
そこにはボロボロになった両者が息を切らしながら睨み合う姿があった。
To be continued…