ある日の事、アイシェは1人でコックカワサキの元へ行った。
カワサキ「おやアイシェ、いらっしゃい。」
アイシェ「こんにちは、カワサキさん。」
カワサキ「今日は1人でお食事に来たのかい?」
アイシェ「ううん、ケーキを頂こうと思ったの。」
カワサキ「それなら、こちらはどうかな?」
そう言ってカワサキが出してきたのは、今の季節にピッタリな桜のケーキで…アイシェの青い瞳がキラキラ輝いた。
アイシェ「わぁ…綺麗!」
カワサキ「桜の花弁をアクセントにしたケーキなんだ、是非彼と一緒に食べてみて欲しい。」
アイシェ「ありがとうカワサキさん!」
ケーキを受け取ったアイシェはご機嫌でカワサキの元を後にした。
早くローアに戻って、マホロアと2人でゆっくり食べたい!そう思ってルンルン気分で雲の夢を口ずさみながら歩いていたアイシェだったが…
ガサガサッ!
ふと道の横にある草むらが揺れたのに気づいた
暖かいそよ風は吹いているが、草むらが音を立てて揺れる程では無い…
何かいるのかな?不思議に思ったアイシェがそっと覗き込むと…
チューリン「チュ…ウゥ…!」
何と草むらから出てきたのは、ネズミの盗賊「ドロッチェ」団長が率いるドロッチェ団の戦闘員である黄色のチューリン!
怪我をしていて、弱々しく声を上げて震えている…
アイシェ「大変、すぐに手当しなきゃ!」
持っていたケーキの箱を優しく置いて、アイシェは自身が羽織っていたケープを脱いでチューリンを優しく包み、再びケーキの箱を持つと小走りでローアへ帰ったが…マホロアの姿はどこにも無かった。
チューリン「チュ…。」
アイシェ「マホロア、どこかにお出かけしちゃってる…あ、そういえば私の部屋にマホロアが作った塗り薬があったはず。」
以前アイシェがスフィアローパーに襲われた際に、マホロアが耳に塗ってくれていた特製の塗り薬を思い出したアイシェは、冷蔵庫にケーキをしまってから自分の部屋にチューリンを連れて行った
チューリン「チュ…チュ…?」
アイシェ「少し冷たいかも…でも我慢してね。」
塗り薬の蓋を開けて少しだけ指先に取り、アイシェはそっと傷口に塗り始めたが…
チューリン「チュッ!!」
やはり冷たかった様で…ぎゅっと目を瞑って震えるチューリンだが、暴れる事は無く終始大人しくしててくれた。
アイシェ「はい、これで大丈夫だよ。」
そう言って絆創膏を貼ってあげると、チューリンはゆっくりと顔を上げてアイシェの顔をじっと見ると…
チューリン「チューッ、チュッチュッ!」
喜んでいる様で、アイシェの手にスリスリしてきた。
アイシェ「ふふっ、くすぐったいよ。」
可愛らしいチューリンに対してにこにこするアイシェだったが…
ぐうぅ~チューリンから大きな空腹の合図が聞こえて来た。
チューリン「チュ…。」
アイシェ「あらら…そうだ、さっきのケーキをあげるね。」
そう言ってアイシェは自分の分のケーキを持ってきて、チューリンに差し出した。
チューリン「チュッ…?」
アイシェ「大丈夫、全部食べていいよ。」
チューリン「チューーーッ!!」
にっこり優しい笑顔を見せると、チューリンは円らな瞳をキラキラさせてガツガツと食べ始めた。
余程お腹が空いていた様で、あっという間に平らげてしまい…アイシェの胸元にピョンと飛びついた!
アイシェ「きゃっ…ふふっ、お腹いっぱいになったかな?」
チューリン「チュ…ウゥ…。」
アイシェが優しく抱っこしていると、じきにウトウトして眠ってしまい…
アイシェ「この子をドロッチェの元へ帰さなきゃ…でもどこにいるんだろう……あ、もしかしたらカービィなら分かるかな?」
チューリンを抱っこしたままアイシェは再び外へ出て、カービィの家へ向かった。
同じ頃…マホロアは珍しく野原で1人寝転がっていた
マホロア「ハァ~たまにはこうしテ、のんびり寝転がるのもイイネェ…。」
本当ならアイシェと2人で来たかったが、生憎カワサキの元へ出かけてしまったのでこうして1人で居るわけで…それでも太陽の日差しは暖かくて心地良い。
こんな日には、アイシェの膝枕でそよ風を受けながら寛いで…
アイシェ『どう、マホロア?』
マホロア『すご~くイイ気分ダヨォ。』
アイシェ『ふふっ、よかった。』
マホロア『ボクも~っとイイ気分になりたいナァ~?』
そう言ってマホロアはアイシェの腰を撫で回して…
アイシェ『ま、マホロアぁ…もう…!』
あわよくばそのまま押し倒してイチャイチャして、ローアに帰ってアンナ事やソンナ事も…
そんな妄想をしていると、突然頭上に赤と青の模様が入った玉乗りボールが目に入った!
ボンッ!
マホロア「ブフッ!!」
マルク「キシシ、大当たりなのサ!」
マホロア「マ~ル~ク~~~!!」
ムクッと起き上がったマホロアは当然怒っていて…ビキビキしながらマルクを睨み付けているが、当のマルクは全然気にもしていなくて…
マルク「お前がそんな所にいたから、思わず蹴っちゃったのサ!ま、許してちょーよ!」
マホロア「許すワケネーダロ、この馬鹿ピエロ!」
マルク「心の狭い男は嫌われるのサ。」
マホロア「心が広くたってコレは許さネーヨ!」
マルク「お前がこの前ボクにした事に比べれば、可愛い方じゃねーか!」
マホロア「エ~何の事ダヨ?」
マルク「お前ボケてんじゃねーの!?」
マホロア「ボクの記憶力はネ、テメーみたいな奴の為に開けておくスペースなんか無いノ!」
マルク「……本気で言ってるのサ?」
マホロア「冗談で言うわけネーダロ、ホント頭がお花畑ダヨネェ〜?」
そう言って瞳を弓なりに細めて馬鹿にしながら笑うマホロアに、マルクは俯いてプルプルしていて…
マルク「じゃあその頭にこの鉤爪をぶっ刺して、嫌でも思い出させてやるのサ!」
そう言うと紫の瞳を細くして、本気モードになったマルクが翼を出して鉤爪をジャキンと光らせ、マホロアに牙を剥いた!
マホロア「いい度胸ダネ、今日こそどっちが格上か教えてヤルヨ!」
そう言うとマホロアも瞳をギッと鋭くして、右手から魔力球を出した!
マルク「おっほっほっほ、お前じゃ本気のボクに歯が立たねーんじゃねーの?イカサマタマゴ!!」
マホロア「ハァ~?何言っちゃってんノこのクソピエロ、ブッ殺すヨォ~!!」
物騒な事を言う2人は、お互いにその場に強力な魔法の結界を張り…そのまま本気のぶつかり合いを始めたのだった!
To be continued…