小説「緑髪の少年(出会い編)」~新たなる出会い~

ダイオウイカを克服する決意をして、スルメさんとよっちゃんと和解してからしばらく経ったある日の事。

2人はいつも通りナワバリバトルへと出かけた。

まめお「今日のステージはタチウオとモンガラか、行くぞまめみ。」

まめみ「うん!」

まめおはパーマネント・パブロ、まめみはハイドラントを持ってロビーに入っていった。

今日もいつもと変わらぬ日常になる…はずだった

ある少年に出会うまでは…

~ナワバリバトル~

ステージはモンガラキャンプ場

終了1分前にならないと自陣の水門が下りない為、如何に早く敵陣を抑えるかがカギとなるステージ。

まめおとまめみは同じチームになったが…

まめお「相手に3Kスコープか…俺のブキではキツイな。」

まめみ「あたしがハイドラントで足止めするよ、まめおはその間に行って…ってあれ?」

まめお「どうした?」

まめみ「あたし達と同じチームに、もう1人ハイドラント使う人がいるね。」

まめお「ハイドラントなんて珍しいな。」

まめみ「あ、始まるよ。」

そんな事を話している内に…バトル開始!

ドゴォン!

まめお「くっ…しつこい3Kスコープだな!」

まめみ「あたしが相手よ!」

ギュイィィィィン……

ドドドドドドドド…!!

まめお「まめみ、ナイス!」

まめみ「ナイス!」

3Kスコープ使いを倒しナイスを飛ばし合ったが…

後ろの金網から敵のシューターが襲ってきた!

まめお「まめみ!」

まめみ「あっ…!」

ハイドラント「(クッ…間に合わない…まめみ!)」

敵のインクに足を取られ、しりもちをついてしまい…

もうダメ…!覚悟を決めたその時!

ドドドドドドドド…!!

シューターは目の前で倒れ…

そして…目の前に居たのは味方のハイドラント使いのボーイ。

イエローグリーンのゲソ、クロブチレトロのメガネをかけた奥に光る黄色の瞳、しかしその表情は優しくて…

まめお「大丈夫か!?」

まめみ「うん…大丈夫…。」

ボーイ「…………。」

まめみ「あっ…。」

お礼を言う間もなく、彼は行ってしまった…。

まめお「後で礼を言えば良いさ、まずはこのバトルに勝つぞ!」

まめみ「うん…!」

まめお「おっ、さっきの3Kが戻って来たな。」

そう言ってまめおは塗りに戻って行った。

その後もこちらが優勢のままバトルは続いたが…

まめみは頭の中で引っかかっていた

あの少年、前に見た事が…

場所は同じモンガラ…ハイドラントを使ってて…

確かあの時の「緑髪のハイドラント使いのボーイ」も

ライムグリーンだった…

………!!

あの戦う姿…特徴…

どうして今まで気がつかなかったの!?

そうだ…あの人は…!

あの時見た…

憧れを抱いた…

「緑髪のハイドラント使いのボーイ」!!

まめみ「やっと…やっと会えた…!」

心の中で喜びの感情が爆発しそうになるのを抑えながら、まめみは戦い続けた

そして…結果は勝利!!

その後も何度か戦ったが、時には敵になり苦戦させられつつも味方の時はとても強くて頼りになり、チームを勝利へ導いてくれた。

そして…ナワバリバトルはステージ変更の為ロビーの外へ追い出され、ロビーの前ではナワバリで戦ったイカ達が雑談をしている中、彼は1人ポツンと立っている。

実はまめみは人見知りが激しい…本当に気を許した相手以外には素顔を見せない為、話しかけようにも話しかけられずにいた。

まめお「どうした、あのボーイが気になるのか?」

まめみ「まめお…前に話した「緑髪のハイドラント使いのボーイ」覚えてる?」

まめお「あぁ、もちろん覚えてるぜ………ってまさか!?」

まめみ「うん、間違いない…あの人だよ。」

まめお「そうか、アイツが…確かに凄い強さだったな。」

まめみ「話しかけたいけど、緊張しちゃう…!」

まめお「しょうがねぇな、俺も一緒に居てやるから話しかけてみろよ。」

まめみ「う…うん…。」

2人はゆっくりと歩いていき、彼の前で足を止めた。

ボーイ「…………。」

まめみ「あ…あの…!」

ボーイ「…え…ぼ、僕?」

まめみ「う…うん…あの…あの…!」

ボーイ「えっと…な…何…?」

まめみ「あの…あの…!」

お互いに頬を真っ赤にして喋れない…。

このままでは話が先に進まなそうなので、まめおが口を開いた。

まめお「悪いな、こいつ人見知りが激しくて…さっきこいつ、まめみの事を助けてくれただろ?ありがとな。」

まめみ「あ、ありがとう…!」

ボーイ「えっ…あ、ど…どういたしまして…!」

相変わらず頬を真っ赤に染めたまま、彼は返事をした。

まめお「俺はまめお、まめみとは従兄妹なんだ。お前の名前は?」

タキ「僕は…タキって言うんだ。」

まめみ「タキ君、良いお名前だね…!」

タキ「あ、ありがとう…!」

まめお「よろしくな、タキ。」

まめみ「よろしくね、タキ君。」

タキ「…こちらこそ、よろしくね…まめお君、まめみちゃん。」

そう言って少し俯きがちに…遠慮がちに差し出したタキの手を、まめおとまめみは優しく握ったが…

この時2人は彼の瞳が「黄色」ではなく「青」になっていた事に気づかなかった。

まめお「お、次のステージが決まったみたいだな…どうする?」

まめみ「あたしは疲れちゃったからやめるよ。」

タキ「僕も今日は疲れたから止めるよ……ねぇ、2人共。」

まめみ「どうしたの、タキ君?」

タキ「もし良かったら……僕と友達になってくれない…かな…?」

まめみ「え…。」

タキ「これ…僕のイカスマホの電話番号だよ。まめお君とまめみちゃん…2人とまた一緒にナワバリやりたいんだ。」

まめお「俺は良いぜ。」

まめみ「…うん、あたしも大丈夫。」

タキ「本当に…!?ありがとう!」

そう言って嬉しそうに笑うタキだが…その時、2人はタキの瞳が「オレンジ」になっている事に気づいた。

まめみ「あれ、タキ君…瞳の色黄色じゃなかったっけ?」

まめお「オレンジになってるぞ?」

タキ「あっ…!」

そう言って表情が曇ったタキに、2人は優しく話しかけた。

まめみ「瞳の色…変えられるの?」

タキ「僕…感情によって目の色が変わるんだ…。」

普段は黄色だが、喜びや興奮状態はオレンジ、緊張や悲しい時等は青、体調不良の時は黒、怒り状態の時は赤に変化するらしい。

そして他のイカには見られない珍しい特徴故に、嫌な思いをした事もあると言う…

まめお「そうか…タキも大変だったんだな。」

タキ「うん…。」

まめみ「でも、あたし達全然気にならないよ、タキ君が生まれ持った「特別な力」なんじゃないかな。」

タキ「特別な力…2人は嫌がらないの?」

まめお「どうしてだよ、何も嫌がる理由なんてないだろ。」

まめみ「そうだよ!………あたし達も似た様な経験してるし…。」

タキ「えっ…?」

まめみ「ううん、何でもない。」

まめお「とにかく、俺達は全て受け入れるって事だ。」

タキ「…ありがとう2人共、そう言ってもらえると凄く嬉しいよ…!」

お礼を言うタキは、とても嬉しそうに笑っていた。

To be continued…