あれから更に数日後…タキは退院の日を迎えた。
まめおとまめみが迎えに行くと、既にタキは準備を終えていた。
まめみ「おはよう、タキ君!」
まめお「おはよう、タキ。」
タキ「おはようまめみ、まめお。」
まめみ「ついに退院だね、おめでとう。」
まめお「試合の許可も降りたんだってな、これでまたみんなで遊べるな。」
タキ「ありがとう2人共、早ければ明日にでも一緒にナワバリやりたいな。」
まめお「おっ、やる気満々だな!」
まめみ「あたし達もすっごく楽しみだよ!」
そんな会話をしていると、ペコがやって来た。
ペコ「タキ、準備は出来た?あら…おはようまめお、まめみ。」
自分達を覚えている事に驚く2人だったが、タキが横からそっと耳打ちした。
タキ「姉さんには、僕が毎日2人の事を話してるんだ。」
まめお「なるほどな…だから覚えていられたのか。」
まめみ「おはよう、ペコちゃん!」
まめお「おはよう、ペコ。」
タキ「準備は出来たよ、いつでも出れる。」
手続きを済ませて、タキはまめみ達と共に病院を後にした。
その後はスルメさんのお店に向かい、みんなでタキの退院をお祝いした。
そして、ペコの事も紹介し、彼女の事情についてはタキが裏で2人に説明した。
スルメさん「ほ~ペコはタキの姉さんかいな。ペコもいつでもお店に遊びにおいでや。」
よっちゃん「今度ペコちゃんの好きな物も作ってあげるわ。」
ペコ「ありがとうございます、スルメさん、よっちゃん。」
いつもは寂しげな瞳のペコだが、この日は嬉しそうに笑っていて、お祝いは夜まで続きその日はペコ以外はスルメさんのお店に泊まった。
そして次の日…
まめお「それじゃあ、行こうぜタキ。」
タキ「うん、でも久々だからね…体が鈍ってるかも…。」
まめみ「焦らないで、少しずつ慣らしていこうね。」
タキ「ありがとう、まめみ。」
この時のタキは、目の色こそ戻らないものの…あの頃の様な優しい笑顔を見せていた。
しかしこの時…タキのある「変化」を誰も知る由は無かった。
場所はマヒマヒリゾート&スパ。
3人は同じチームで、まめおはパブロ・ヒュー、まめみはリッター3K、タキはバレルスピナーだったが…。
まめみ「タキ君!」
タキ「うわぁっ!」
まめお「タキ!」
壁に潜んでいた待ち伏せローラーに、タキが不意討ちされて煽られてしまった。
傍に居たまめおがすぐに倒したが、リスポーン地点に戻ったタキの表情は先程とは明らかに違っていて…目つきは鋭く怒りの感情がこもっている
タキ「う…ぐ…うぅ…うあぁぁぁ!!」
ファンファンファン!!
まめみ「ダイオウイカの音!」
まめお「気を付けろまめみ、味方にダイオウイカになれる奴はいない!」
しかし…そのダイオウイカは黄緑色で…一目散に敵に向かって行く!
まめみ「まめお、あのダイオウイカ…タキ君だよ!」
まめお「タキ!?そんなはずは…アイツのブキはバレルスピナー、ダイオウイカじゃないぞ!」
まめみ「でも敵を倒してる、それにあのターコイズブルーの瞳は…!」
まめお「何で…何でダイオウイカになれるんだ…!?」
突然の出来事に、2人は状況を飲み込めずにただ様子を見ているしか無かったが…。
ダイオウイカになったタキは明らかに様子が違う。
いつまでも解除されず…敵を追い回し続けているのだ…。
そして…何と近くにいた味方にまで襲いかかり始めた!
まめみ「タキ君!?」
まめお「まさか…怒りで興奮状態なのか…!?くっ…!」
まめみ「まめお!」
まめお「やめろタキ!」
ダイオウイカの姿で敵味方関係無く襲い続けるタキを、まめおは危険を顧みず止めに入った。
しかし…怒り状態のタキの耳に、まめおの声は届いておらず…襲いかかってきた!
まめみ「まめお、危ない!」
まめお「ぐっ…くっ…何の…!」
勢いよく突っ込んできたタキだが…まめおは必死にタキにしがみついた。
まめみ「まめお…タキ君…!」
まめお「聞こえるかタキ!俺だ、まめおだ!」
ダイオウイカのタキからの返事は無く、フーッ…フーッ…と興奮気味の息遣いが聞こえてくる…。
まめみ「…タキ君!」
居ても立ってもいられず、まめみもタキの元へ向かった。
まめお「俺達の声が聞こえるかタキ!?もし…もし聞こえるなら…ダイオウイカを解くんだ!」
まめみ「タキ君、あたし達の声を聞いて!」
この…声は…
まめお「タキ!」
まめみ「タキ君!」
…まめお…まめみ…僕は何を…?
タキ「…まめ…お…まめみ…?」
自我を取り戻したタキは、ダイオウイカを解いた。
そしてそのまま倒れこみ、まめおに受け止められて立っているのがやっとな状態だ。
まめお「タキ…!」
まめみ「タキ君…!」
タキ「…僕…は…何を…?」
暴れ回ったタキを恐れ、他の味方と敵は全員逃げてしまい…試合は終了。
3人はロビーを出て、スルメさんのお店に向かった。
そして…お店に着いてから、まめおとまめみが口を開いた。
まめお「…タキ、さっきのダイオウイカ…あれはお前の意思なのか?」
タキ「…怒りが沸いてきて…気がついたらダイオウイカになってた…?」
まめみ「…タキ君、敵だけじゃなく味方にまで…止めに入ったまめおにも襲いかかってたの。」
タキ「えっ…僕がまめおを!?」
まめお「俺達は何をされたって構わない。お前が自我を取り戻してくれるなら、いくらでも呼びかける。…けどな、見知らぬ相手にはそうはいかない。」
タキ「そんな…僕はとんでもない事を…っ…!」
そう言って落ち込んでしまったタキは今にも泣きそうな表情だったが、ふわっと優しい感触がして…気がついたらまめみが優しく抱きしめていた。
まめみ「失敗は誰にでもあるよ、タキ君。」
タキ「まめ…み…?」
まめみ「あたし達、タキ君が大事な人だから心配なの。」
まめお「ゆっくりでいいから直していこうな。」
タキ「ごめんね…そしてありがとう…まめみ、まめお。」
……………………………
また懐かしい感覚がする…
どうしてだろう……?
でも…まめみに抱きしめられた時…暖かくてすごく安心したんだ
To be continued…