小説「孤独なヒーローと瞳に映る2つの光」~ヒーローは止まらない~

まめお「お、ここが怪しいな。」

シュババババ…

プシュゥゥゥ…ボンッ…ピィィィィィー!!

まめおがヒーローシューターでインクをかけると…

タコ達の隠れているヤカンが出現した。

すると…通信が入った。

ホタル『早速ヤカンを見つけたみたいだね~。』

まめみ「見つけたのはいいけど…どうすればいいの?」

ホタル『そのヤカンの中に入って、手がかりを探して欲しいの。それはタコ達の移動経路…それで奴らは自由に移動してるんよ~。』

まめお「そうなのか…タコの技術、侮れねぇな…。」

ホタル『噂では、タコの技術はイカの15年も先を進んでるとか…。』

まめお「じゅ…15年っ!?」

まめみ「そんなに先を…!?」

ホタル『地下生活してるからと言って、舐めてかかると痛い目みるけんね…気をつけるんよ…まめお君、まめみちゃん。』

そう言うと、ホタルは通信を切った。

まめお「…気をつけて行くぞまめみ…俺の傍を離れるなよ!」

まめみ「うん…!」

2人はタコ達に染められているインクをヒーローシューターで塗りながら進んで行くと…

タコ「ぷぎぃぃぃ…!!」

まめお「お、早速出たな!」

まめみ「あたし達が相手よ!」

タコ「スゥー……ブゥゥゥゥー!!」

深く息を吸ってインクを吐き出すタコだったが…

まめお「どこを見ている!」

まめみ「こっちよ!」

バシュッ!!

タコ「ぷぎぇぇぇぇ!!」

2人は息の合った華麗なコンビネーションでタコを蹴散らしていく…。

しばらく進めている内に…まめおは1枚の紙切れを見つけた。

まめお「何だ…これ?」

ホタル『それはミステリーファイル…もしかしたら、そこにアオリちゃんの手がかりがあるかもしれんね…。』

まめお「なら…見つけ次第回収しとくぜ。……って…まめみは…?」

まめみが近くに居ない事に気づき、一瞬焦るまめおだったが…

まめみ「まめお~見てみて!」

まめお「まめみ…お前それは…!?」

視線の先の彼女は、胸いっぱいにイクラを抱えていた。

まめみ「イクラがいっぱい落ちてたから集めちゃった~!」

まめお「……………。」

そう言って満面の笑みではしゃいでいるまめみに、まめおは無表情のまま見つめていて…

ゴッチン!手加減はしているものの、まめみにゲンコツを喰らわせた!

まめみ「いったーい!何すんのよまめおー!!」

まめお「それは俺が言いてぇよ!!俺の傍離れるなって言ってる尻からお前はー!」

まめみ「だってイクラだもん、役に立つかもしれないじゃない!」

まめお「んなもん役に立つわけ無ぇだろ!」

まめみ「何よ、まめおの馬鹿!」

まめお「お前が能天気なんだよ!」

ホタル『(イクラは武器の強化とかに使えるから重要なんだけどね…2人の痴話喧嘩が面白いし、このまましばらく様子見るか。)』

通信の向こうでホタルがそんな事を考えているなんて事は知る由も無く、2人はしばらくその場で言い争いをしているのだった…。

ヒーロー4号…本当に大丈夫なのか…?

果たして…アオリちゃんとオオデンチナマズは見つかるのか…?

冒険はまだ始まったばかり…。

一方その頃…ポナはアタリメ司令と共に、岬の調査に入っていた…。

廃墟の様な場所に入った2人…しかし、フライパンやスプーン、ツナギの服が下がっていて…生活感がある不思議な場所だ。

ポナ「アタリメ指令…ここは…?」

アタリメ「ここは…シャケの住処じゃよ。」

ポナ「シャケの住処…?」

アタリメ「シャケ族というのがおっての…どうやらタコ族と交易をしているらしいのじゃ。」

ポナ「交易…ということは…。」

アタリメ「タコ族の技術を取り入れている可能性が高い…故にインクリング族に悪影響を及ぼさないかの調査なのじゃよ。」

ポナ「(シャケ族とタコ族で交易…一体何の目的で…。)」

アタリメ「きゃつらが帰って来ない内に、ここでの調査を終えて拠点へ戻るぞ…3号。」

ポナ「…了解!」

シャケが帰らない内に…ポナは迅速にシャケのデータを掻き集めるのだった…。

一方でまめおとまめみは…

まめみ「ね、イクラが役に立ったでしょ!」

まめお「ぐぅぅ…!」

ホタル『何はともあれお疲れ様~。後はボスを倒して先に進もうか。』

まめみ「ボス?」

ホタル「あそこの大きなボスヤカンに、ここのエリアを任されてるボスがいるんよ…。」

まめお「なるほどな…どれ、サッと片付けてくるか。」

まめみ「うん。」

そう言うと2人はボスヤカンに入っていった。

大きな円形の足場の真ん中にはタコのインクがあり…そこにはデンチナマズの姿が!

まめお「あんなところにデンチナマズが…!」

まめみ「すぐに助けなきゃ…!」

まめお「待て、まめみ!」

まめみ「でも…助けなきゃ…」

そう言って向かおうとしたまめみの腕を掴んだまめおにまめみは抵抗したが…

ズゴゴゴゴゴゴ…!!

2人「!?」

大きな音と地響きがしたかと思えば…インクの中から巨大なタコの触手が出てきて、デンチナマズを掴んで取り込んでしまった!

そして…インクの中から姿を現したのは…大きなタワーの様に積み重なった…パン焼き機の様なもの…。

そして…そこから姿を現したのは…美味しく焼けたタコの顔をした………パン…?

???「パンッ!!

まめお「何だ…コイツは…!?」

まめみ「何だか…美味しそうな香りが…。」

ホタル『ソイツは【焼きたての美味しさ】タコツボベーカリー。』

まめお「焼きたての美味しさ…。」

まめみ「そ…そうなのね…。」

パンなのか…?それにしても…こんな顔のパンは食べたくない…2人は内心すごく複雑だった…。

ホタル『アイツのてっぺんにあるタコ足…あれが弱点なんよ。』

まめお「なるほどな…どれ、行くかまめみ!」

まめみ「うん!」

そう言うと2人は二手に分かれて華麗に攻撃をかわしつつ、タコツボベーカリーの体を塗りながら上っていく。

そして…一番上のタコ足を攻撃すると…

パンッ!ブシュウゥゥゥー!!

タコ足はその場で破裂して、中からタコのインクが噴き出した。

2人はスーパージャンプで一旦その場を離れると…

ガシャン!ガシャン!

パーツを追加したり、体の塗れる部分を減らしたりしながらタコ足が復活した!

ホタル『ナイス♪この調子でパンパンにしちゃえ。』

まめお「了解!」

まめみ「任せて!」

2人はその後も見事な連携で攻撃を続け…

3回目の攻撃でついに…

ホタル『ファビュラス♪これがホントのコテンパン…。』

通信の向こうでホタルがそんな事を言った直後に…

ガシャアァァァン!!

タコツボベーカリーは跡形も無く壊れてはじけ飛んだ。

そして…真ん中にはデンチナマズが…

まめみ「お待たせ、よく頑張ったね。」

そう言ってまめみはデンチナマズを優しく抱き上げた。

まめお「デンチナマズ、救出成功したぜ!」

ホタル『お疲れ様!早速次のエリアへの道が出来たよ~。』

その後3人は最初のエリアであるアシサキ前線基地を旅立ち、次のエリアであるキューバン展望台へと向かった…。

まめお「ふぅ…。」

まめみ「ホタルちゃん…次の任務は…。」

ホタル『次もヤカンに潜って手がかりを見つけていくんだけど…2人共、今は休憩した方がいいよ~。』

まめみ「ありがとう…。」

まめお「助かるぜ…。」

ホタルが用意した食事を食べ、2人は一時の休憩に入ったのである。

まめみ「……まめお…そっち、行っていい…?」

まめお「…あぁ、いいぜ。」

まめみ「ありがとう…まめお…。」

2人分の布団が敷かれていたが…まめみはまめおの隣へ来て、同じ布団に入った。

まめお「……………。」

まめみ「…すー…すー…。」

…まめみ…お前は昔から不安になると、俺と一緒に寝たがるよな…。

…ポナが居ない上に…いきなりヒーロー4号だもんな…無理ねぇか…。

…ポナ…どこに行っちまったんだ…。

…………………。

そんな事を思いながら、まめおは寝ているまめみの頬を撫でて優しく抱きしめ…そのまま眠りについたのだった…。

To be continued…