夜…2人は最後のヤカンも攻略し、ブキチがある物を準備する為に一旦離脱した中、ついに最後のボスヤカンまで辿り着いた。
ホタル「この中にきっと……2人共、頼んだよ!」
まめお「…行くぞ、まめみ。」
まめみ「…………。」
まめお「…まめみ?」
ふとまめみの顔を見ると、酷く青ざめた顔をしている…。
ホタル「まめみちゃん、顔色が悪いけんね…休む…?」
まめみ「大…丈夫…あたし…頑…張…」
フラッ…
まめお「まめみ!」
ホタル「まめみちゃん!」
まめみはその場で意識を失い、まめおが倒れる寸前で受け止めてホタルと共に一旦臨時拠点へ戻った。
少しして…
まめみ「んっ…。」
まめお「まめみ、大丈夫か?」
ホタル「覚えてる?まめみちゃん、倒れちゃったんよ。」
まめみ「あっ…ごめんなさい…あたし…。」
まめお「謝るなまめみ、大丈夫だ…お前はよく頑張ったよ。」
そう言うと、まめおはまめみを優しく抱きしめた。
まめみ「まめ…お…!」
まめみはそっとまめおの背中に手を回し…頬を伝って涙が零れ落ちた。
まめお「…ホタルちゃん、ボスは…俺1人で行く。」
まめみ「まめお…!」
ホタル「まめお君…!」
まめお「今まで2人で頑張ってきたけど…まめみにこれ以上無理をさせたくない。」
まめみ「…あたし…あたしにも出来るよ!あたしだけ待ってるなんて嫌…!」
まめお「まめみ…。」
まめみ「ポナ君も居ないのに…まめおまで居なくなっちゃったら…あたし…あたし…っ…!」
ホタル「(ポナ君…!?)……それなら、まめお君がボスに行く代わりに、まめみちゃんはアタシ達とサポートに回ろっか?」
まめお「サポート…?」
ホタル「アタシに考えがあるんよ。どうかな?」
まめみ「…うん、それなら大丈夫…あたしにも出来る事をしたい…!」
まめお「…分かった。けどまめみ、絶対に無理だけはするなよ。」
まめみ「…うん、約束する。」
そう言うと、2人は優しく小指を絡めて指切りげんまんをした。
ホタル「そうと決まれば…今度こそ行きますか!」
まめみ「うん!」
まめお「あぁ!」
同じ頃…ポナはアタリメ指令と共に岬を出発し、ハイカラシティへ向かっていたが…
ポナ「…………!」
ドクン…ドクン…
何なんだ…この胸騒ぎは…!嫌な予感がしてたまらない、早くまめみの元へ帰りたい…そう思うポナであったが…
彼の予感は、意外な形で的中した。
ジジ…ジジ…
アタリメ「ん…無線から何か聞こえるぞ…?」
一旦足を止め、アタリメ指令とポナは無線へ耳を傾けた。
すると……
まめみ『まめお…必ず無事に帰ろうね…!』
まめお『あぁ、必ずだ!』
ホタル『出発するよ…2人共、準備はいい?』
まめお「大丈夫だ!」
まめみ「いつでも出れるよ!」
ジジ…ザザーッ…!
アタリメ「今のは2号…!それに…何やら若い男女の声もしたが…!?」
ポナ「まめお…まめみ…!!」
アタリメ「3号の知り合いか!?」
ポナ「俺の…俺の大切な人達です!アタリメ指令、今の無線の位置は!?」
アタリメ「何と、それは一大事じゃ!今の場所は………タコツボキャニオン…トーブ中枢司令部じゃ!」
ポナ「すぐに向かいます!」
アタリメ「ワシも行こう!」
ポナ「はい!」
2人はイカに姿を変え、大急ぎで向かい始めた。
一方その頃…準備したまめおはボスヤカンへ入った。
目を開けると…そこは見慣れたハイカラシティの様な光景が広がっていて…まめおはザワザワとした胸騒ぎを覚えた。
ホタル『まめお君…行くよっ!』
まめお「任せろ!」
…奥に立っていた後ろ姿を見ると…
ホタル『あ、あれは…アオリちゃん?!』
まめみ『アオリちゃん…タコ達の仲間になっちゃったの…!?』
まめお「けど…何だか様子がおかしいぞ…!?」
アオリ「コナイデッテ、イッタノニ!」
ホタル『アオリちゃん、どうして…!?』
アオリ「コーナッタラ…チカラヅクデモ、カエッテモラウヨ!」
衣装も違い、頭に乗せているのはタコの足…そして、何よりも怪しげなサングラスが異様な雰囲気を醸し出していた。
まめみ『まめお、気をつけて!』
まめお「分かってる!」
アオリ「ヘイ、DJ!」
そうアオリが叫ぶと…
ズゴゴゴゴゴゴ…!!
アオリの乗った足場が浮き上がり…そこにはサングラスをかけたDJ風の…ワサビを持った大きなタコの姿が…!
そして…オオデンチナマズが吸い込まれてしまった!
ホタル『出たね…DJタコワサ将軍!』
まめお「DJ…タコワサ将軍…!」
まめみ『あれが…オクタリアン達のボス…!』
【DJ Octavio feat.AORI タコツボキング A-MIX】
タコワサ「HEY!ワサ!ワサ!ギギ…アオリチャン、チョロイ!カンタンニ、センノウデキタ!」
アオリ「Hey、ヤッチャッテ!トキメキ☆ボムラッシュ!」
タコワサ「ギギ…ステイチューン!」
アオリ「ゴーゴーDJ!」
そう言うと、機械に付いている大きな拳が飛んできて…地面にめり込んでタコのインクが広がる!
まめみ『トキメキ☆ボムラッシュってアオリちゃんのソロ曲…!』
まめお「くっ…!これでどうだ!」
ギリギリでかわしたまめおは、もう一つ飛んできた拳をヒーローシューターで撃ち返した!
すると…拳はそのままタコワサの方へ…!
ドガーン!
ホタル『効いてるよまめお君、良い感じ!』
アオリ「トドケ、トキメキ♪トドロケ、ボムラッシュ☆」
そう言うと、今度は巨大なスプラッシュボムの嵐が…!
まめお「な…何だこれは…!」
まめみ『まめお…足場が取られないように気をつけて!』
足場を確保しつつボムをかわしたまめおだったが…
再び飛んできた拳は…さっきと動きが違った…
ギュルギュルギュル…!!
ブキチ『グルグルパンチ!あれは撃ち返せないでし!』
まめお「おっと!」
まめみ『ブキチ、準備は終わったの?』
ブキチ『お待たせでし、準備は出来たからいつでも大丈夫でしよ!』
しかし…タコワサ達の攻撃は止まらない!
激しいグルグルパンチの後に…
ホタル『シャワー攻撃来るよ!横に避けて!』
まめお「よっと!」
素早く避けて、飛んできた拳を撃ち返していくまめお。
アオリ「アハハ!ヤッチャエ、ショーグン!」
ホタル『アオリちゃん、こらっ!』
しばらく攻防を続けていると…タコワサが跳ね返ってきたパンチの勢いで落ちてきた!
まめみ『落ちてきた!』
ホタル『タコワサ出てきた!まめお君、とっちめて!』
まめお「おうっ!これでも喰らえ!」
そういってまめおはインクをぶつけ続けると…タコワサはインクと共に弾け飛んで、自分の座っていた場所に飛んでいった。
タコワサ「ウググ…!」
ホタル『アオリちゃん、アタシだよ…思い出して!』
振動でふらつくアオリに話しかけるホタルだったが…
アオリ「DJ!キープ・オン・ミュージック!!」
タコワサ「ギギ…OK!」
まめみ『アオリちゃん…!』
まめお「くっ…一筋縄ではいかねぇか…!」
ホタル『まめお君、キバるんよ!』
ボムラッシュもキューバンボムに変わり、戦いはより一層激しくなっていく…。
まめみ『まめお…!』
ホタル『まめお君!アタシもそっちに行くから、ちょっと頑張っといて!』
まめお「分かった!」
その後もグルグルパンチやボムラッシュ…地面から突き出すインクの柱をかわしつつタコワサへの攻撃を続けていたまめお。
そして…再びタコワサを吹き飛ばした直後に…!
ホタル「着いた!じっとして!」
まめお「ホタルちゃん!」
かつてフェスの時に使用されていたトラック…ブキチが運転する中で宙を舞っていて…その上にシオカラーズの格好をしたホタルの姿が!
その手にはヒーローチャージャーが握られていて…
ドンッ!アオリに向かって撃つと…そのインクはアオリのかけていたサングラスに当たり…
アオリ「あイタ!」
タコワサ「ギ…シマッタ!【サイミンサングラス】ガ!」
まめみ『あれでアオリちゃんを操ってたのね!』
ホタル「よし、特製スミソインク当たった!」
アオリ「ウうう…!」
ホタル「まめお君!今だ、アオリちゃんがピヨッてる間に…DJタコワサ将軍を頼んだよ!」
まめお「任せろ!」
タコワサ「ギギ…コシャクナ!バイソクモード!」
ホタル「速っ…ダッシュパンチ、気をつけて!頑張って…アタシはここで歌っとくしね!」
まめみ『ブキチ…歌には意味があるの?』
ブキチ『ホタルさんが歌い続けることで、アオリさんの洗脳を解こうとしてる狙いがあるでし。』
まめみ『そうなんだね…まめお…頑張って…!』
猛攻をかわし続けた後にチャンスが来たので、まめおは再び反撃してタコワサを弾き飛ばした!
すると…アオリに変化が現れた。
アオリ「アぅ…アタマが…スっぱい…!」
ホタル「スミソ効いてる、今がチャンス!」
そう言うと、ホタルはラジカセを取り出して…ある曲を流し始めた!
まめお「これは…!」
まめみ「お馴染みの…!」
ホタル「聴けば天国!」
アオリ「歌えば…極楽…?………ア、アタシのイ場所、ココジャ無い…!…えいっ!」
そう言うと、アオリはホタルの方へ向かって大ジャンプして…次の瞬間、いつものシオカラーズの格好をしたアオリがホタルの隣に立っていた!
まめみ『アオリちゃん!』
まめお「戻ったんだな…よかった!」
ホタル「行くよ、アオリちゃん!」
アオリ「オッケー、ホタルちゃん!」
そう言うと2人は歌い始めた!
ブキチ『待ってました!皆さんご存知、シオカラ節でし!』
2人が歌う中…タコワサは空高く上がっていく…
まめみ『タコワサがあんな上に…あれじゃあ届かない…!』
ブキチ『大丈夫、この時の為に準備しておいたでし!』
そう言うと、ブキチはまめおに向かってブキチドローンを飛ばした。
まめお「こ…これは…!」
何と、出てきたのはガチホコ!
ブキチ『まめお君、バトルに使うガチホコをバッキバキに改造して持って来たでし!』
まめみ『ガチホコを…!?』
まめお「おいおい、そんなことして良いのかよ…!?」
ブキチ『大丈夫でし!それよりもタコワサをそれでギャフンと言わせるでし!さぁ、改造ガチホコの晴れ姿をボクに見せて欲しいでし!』
まめお「ブキチ…分かった!覚悟しろタコワサ!」
タコワサ「ガチホコ…!キケン…!」
ホタル「まめお君、追って…決着を付けるよ!」
まめお「あぁ!」
ライドレールに乗って上に上り…グルグルパンチ等の猛攻をかわしつつガチホコで拳を撃ち返していくまめお。
まめみはブキチの隣で祈るように見守っていた。
そして…シオカラーズの歌が効いてきた様で…
タコワサ「ギギ…シオカラブシ!カラダガ…イウコトキカナイ…!」
すると…跳ね返した拳を受けたタコワサが、乗り物ごと下へ落ちていった…。
ホタル「まめお君、ライドレール中心からタコワサに向かって!」
まめお「了解!」
そう言うとまめおは中心のライドレールに乗り換え、タコワサへ向かって行き…
ホタル「今だ!ジャンプしてガチホコを!」
まめみ『頑張ってまめおー!』
まめお「うおぉぉぉ…喰らえぇぇぇぇ!!」
タコワサの兜の中心にガチホコをぶつけた!!
すると…機械がガタガタと揺れ出したので、まめおは素早くその場を離れた。
タコワサ「ギギ…ソンナ…セ…ツ…ナ…イ…!」
そう言った直後…機械はぐるぐると宙を舞って激しい光と共に…
ドカアァァン!!
勢いよく弾け飛んだ!タコワサは地面に思いっきりめり込んでピクピクしていて…。
やっと戦いが終わった…みんながホッとした瞬間!
ガタンッ…先程の爆発の衝撃を受けてしまったトラックの扉が開いてしまい…まめみは宙に投げ出されてしまった!
まめお「まめみ!!」
まめみ「きゃあぁぁぁ!!」
ホタル「まめみちゃん!!」
ブキチ『くっ…間に合わないでし!』
まめお「まめみぃぃぃぃ!!」
急いで走るまめお…しかし距離が離れていて間に合わない!
どんどん迫る地面…もうダメ!目をぎゅっ瞑った次の瞬間!
ふわっ…体が軽く感じて…
恐る恐る目を開けたまめみ…すると…
誰かが自分を抱き上げている…
そして…その正体は…
まめみ「あ…貴方…は…!」
ストンッ…まめみを抱きかかえたまま地面に着地した人物…
逞しい体…広い肩幅…緑髪のクセッ毛…
そして…自分を見つめる優しいターコイズブルーの瞳…
ポナ「まめみ…。」
まめみ「ポナ…く…ポナ君…!」
ポナ「…遅れて…心配かけてごめん…まめみ。」
まめみ「ポナ君…ポナ君……っ……!!」
大粒の涙を流してポナに抱きつくまめみを、ポナも優しく抱きしめた。
まめお「よかった…まめみ…!」
少しして…ブキチのトラックがようやく地面に降りると、アオリとホタルが降りて来た。
ホタル「遅かったね…でも…駆けつけてくれたんね…3号。」
まめみ「えっ…?」
まめお「3号…ってことは…ポナが…?」
ポナ「……これでも結構急いだよ、1号、2号。」
まめみ「ポナ君が…2年前のヒーロー…3号…。」
ポナ「何があったの…?」
ホタル「ま、色々とね…そこら辺は後で話すとして…それよりも3号~?」
ポナ「…な…何…。」
ホタル「4号…まめみちゃんとはどんな関係よ~?」
そう言ってニヤニヤと笑うホタルに、ポナとまめみの頬は真っ赤に染まった。
ポナ「なっ…何聞いて…!」
ホタル「照れてる~しっかし3号にこんな可愛い彼女が居たなんて…やっぱり男の子やね~隅に置けんね~。」
ポナ「……………。」
相変わらず頬を真っ赤に染めたままそっぽを向いてしまったポナに、ホタルは相変わらずニヤニヤと笑いながら弄り…
一方でまめみは…
アオリ「ねぇねぇ!3号とはどこまで進んだの~?B?C?」
まめみ「えぇ!?…えっと…あの…その…!」
アオリ「照れちゃって…可愛い!」
ポナ「ちょっと!」
まめみに対して突っ込んだ質問をするアオリにポナはやや不機嫌そうにツッコミを入れ…
まめお「2人はもうCまで進んでるぜ。」
ポナ「まめお!!」
サラッとカミングアウトするまめおにポナは更に頬を真っ赤に染めて怒った。
その後遅れてアタリメ指令が到着し、タコワサは再び金魚鉢へ入れられ…これまでの事を話して…
3人はハイカラシティへ戻ってきた。
既に夜が明けていて…約束の日は明日…この日はポナもまめおとまめみの家に泊まる事にして…3人でゆっくりと一日を過ごし、スー達への誤魔化しも上手く口裏合わせをして乗り切った。
夜…まめおが寝た後、まめみはポナがいる部屋へ向かった。
その手にはあのうさぎの抱き枕を抱えていて…
まめみ「ポナ君…一緒に寝ていい…?」
ポナ「うん、いいよ。」
優しくベッドの中へ迎え入れたポナに、まめみは安心感を覚えた。
そして…口を開いた。
まめみ「これ…ポナ君がプレゼントしてくれたんでしょう?」
ポナ「うん、そうだよ。調査に行く日の朝…そっと置いていったの。」
まめみ「あたし、すごく嬉しかった。でも…ポナ君が居ない間…すごく寂しかった…。」
ポナ「ごめんね…まめみ…。」
まめみ「…ポナ君…これからはずっと一緒にいる…?もう離れない…?」
ポナ「うん、離れないよ…ずっと、ずっとまめみの傍にいる。」
まめみ「ポナ君…。」
ポナ「大好きだよ、まめみ。」
そう言うとポナは、まめみに優しくキスをした。
まめみ「あたしも大好きよ、ポナ君。」
2人はもう一度キスをすると、お互いに抱きしめ合って眠りについた。
そして次の日…3人は準備をすると待ち合わせの場所へ。
6人で電車に乗り、ハイカラスクエアへ向かい…
新たなナワバリの舞台が解禁された瞬間を共に祝ったのだった。
孤独なヒーローと瞳に映る2つの光~Fin~
海賊ダイルです。小説を読んで頂いた皆様、本当にありがとうございます!
小説「孤独なヒーローと瞳に映る2つの光」はこれにて完結しました。
第1話でも少し書いた通り、このお話は2年後のお話「緑風と桃花は愛を紡ぐ」のヒーローモード編のお話です。
タイトルは違うものの、カウントとしては【第一部】ですね。
タイトルの由来ですが…これはスプラ1でのヒーローモードクリア後のアタリメ指令のセリフと、それに基づくポナの心境だったりします。
ヒーローとは孤独…誰にも知られずに活躍してる故に、誰からも褒められる事は無い…報われないヒーローなイメージです。
ですが…2年前は孤独だったヒーロー3号のポナ…
今では4号…まめおとまめみというかけがえの無い大切な存在が仲間になりました。
孤独なヒーロー3号のポナの瞳に映った2つの光…青と桃色の光…それは彼の心を温めてくれる大切な光でもあるのです。
さて、ヒーローモード編が終了して…ついに次回からは第二部【緑風と桃花は愛を紡ぐ】がスタートします!
新しいナワバリの舞台、新しいブキ、新しい戦い方…たくさんの楽しみと未知なる世界に6人は飛び込みます。
それ故に悩みや迷いも生まれて…?
それでは第二部でまたお会いしましょう!
ここまで読んで頂き、ありがとうございました!
2017/12/31 海賊ダイル