小説「孤独なヒーローと瞳に映る2つの光」~思いを馳せて~

早朝、2人はツケネ訓練場のヤカンを探して淡々と攻略を進めて行った。

大きなボウリングの球【タコストライク】が転がってくる場所や浮遊大陸の様な場所でのスリリングな戦いを経て、再び立ちはだかるタコゾネスも退け、2人はあっという間にボスヤカンへ辿り着いた。

まめお「ここのボスはどんな奴だ…?」

ブキチリクエストのヒーローチャージャーを持って2人が構えていると…何やら温かい空気が辺りに立ちこめて…

???「ポォォォォー!!

頭には巨大なシャンプーハット、そしてアヒルちゃんもちょこんと乗っていて…その巨体は3匹のタコプターが鎖で繋いで持ち上げていた。

まめみ「…湯気が出てる…?」

ホタル『源泉掛け流し「タコツボビバノン」やね!』

まめお「源泉?でっかい釜の様にも見えるけどな…。」

まめみ「え~クレーンゲームのアームじゃない?」

ホタル『そんな事言ってる場合じゃないよ~。』

その言葉通り…突然2人に赤い線が!

ブキチ『あのサイト…!チャージャー攻撃に気をつけるでし!』

まめお「わわっ!」

まめみ「いやぁぁん!」

チャージャー攻撃からミサイルまで飛ばしてくるタコツボビバノンに、2人は戸惑いつつも隙を狙い…

バンッ!

チャージャーでタコプターを撃ち抜いていく…

すると…ガシャアァァン!!

タコツボビバノンが落ちて、タコ足が飛び出てきた!

2人がタコ足を撃ち抜くと、その攻撃は更に激しくなった!

タコプターは4匹に増え、湯気を勢いよく噴いたと思ったら…何やら嫌な予感が……!

ブキチ『あれは…デハイドレーション・スピニングドライヤーでし!』

まめみ「な、何それ強そう…!」

まめお「そんなもん避けられるのかよ…!」

ホタル『…要するに、脱水機じゃね?とりま、避けて…。』

名前は凄そうだが、要するにスピナーの様な攻撃である。

2人は壁などに隠れてやり過ごしていたが…。

まめみ「ねぇ…また震えてる…?」

まめお「な…何だ…?」

ホタル『今度はシャワー攻撃!横に避けて!』

まめみ「きゃあっ!」

まめお「おわっ!」

今までのボスとは違い、一筋縄ではいかない相手にまめおとまめみも苦戦を強いられた…。

その後長期戦になり…何とか撃破したものの、すっかりお昼になっていた…。

しかし、またあの謎の声が通信に…。

だが…何やら逆さまになっている…。

ホタル『………受話器、逆じゃね?』

???『ア!ホントダ!』

ホタル『アオリちゃん!?』

???『アッ…アオリデハナイッ!イイカラ、ヒキカエスノダ…アブナイシ、キケンダゾ…!』

ホタル『それ、意味一緒じゃね?』

???『ト、トニカクヒキカエスノダーッ!モウカケナイカラ!!』

ホタル『ちょ、ちょっと待って!アオリちゃん!アオリちゃん!?』

まめお「アオリちゃん…どうしちまったんだよ…!?」

まめみ「どうして引き返せだなんて…!?」

ホタル『…どうやら、アオリちゃんがタコ達に協力してるみたい。』

まめお「何で…タコ達に協力する理由が見つからねぇよ…。」

まめみ「アオリちゃん…。」

ホタル『とにかく、最後のエリアに移動しようか。』

まめお「…そうだな、ここで悩んでてもキリがねぇ。」

まめみ「…うん、そうだね。」

その後、一行は最後のエリア【トーブ中枢司令部】へ飛んだ。

夕方まで仮眠を取り、2人は次々とヤカンへ入って攻略を進めた。

しかし…さすがは最後のエリアなだけありタコ達の猛攻も激しさを増し、仕掛けも複雑で一筋縄ではいかない…。

それでも2人は立ち止まる事無く進み続けた。

約束の日まで後2日…

一方…ポナは様々な所でシャケのデータを集め、アタリメ指令の命で岬の上からシャケの動向を観察していた…。

潮風が頬を優しく撫でて心地良い一方で、体を少し冷やしてしまうのも困りもので…ポナは着ていたF-190の帽子を被り、縮こまる様に身を小さくした。

それからしばらくして…ポナは尿意を催してしまいモジモジしていたが…。

アタリメ指令「ご苦労じゃった3号、シャケの動向も問題無さそうだし…これで任務を終えて戻る事が出来そうじゃよ。」

ポナ「本当ですか…!?」

約束の日は明後日、これで間に合うとホッと胸を撫で下ろした。

アタリメ指令「よく頑張ったのぅ3号。今夜ここを出るから、帰還する準備をしておくんじゃぞ。」

ポナはその場で敬礼するとまず…トイレに向かった。

安心して更に尿意は増して居た為、実はちょっとギリギリだったり…。

ポナ「っ……はぁ…ぁ…。」

我慢から解放された気持ちよさに少し身をブルッと震わせ…用を足した後はトイレを出て準備を始めた。

その後簡単に夕食を済ませ、出発するまでの僅かな間に…ポナは岬から夜空を見上げた。

そこにはキラキラと綺麗に輝く星があり…幻想的な世界が広がる。

すると…ふわっと甘い香りが漂ってきて…それは少し離れた場所に咲いていた花の香りだと気づいた。

まめみ『ポナ君!』

咲いていたのは桃色の花で…彼の想い人…まめみの姿が浮かんだ。

とても心配しているだろう…でも、これでもう大丈夫…誤魔化す理由を考える必要はあるが…約束の日には間に合う…ずっと一緒にいられる…そんな事を考えつつ、ポナはずっと電源を切っていたイカスマホの電源を入れた…。

しかし…ポナは気づいた。

着信履歴…イカラインのメッセージはたくさん来ている…

しかし…まめおやまめみのメッセージは…3日目以降にパタリと途切れているのだ。

ポナ「まめみ…。」

ドクン…ドクン…嫌な汗が流れる中…ポナはペンダントに手を当てた…。

同じ頃…まめみも夜空を見上げていた。

激しさを増すタコ達との戦いへの疲労もあってか不安も大きくて……かけていたペンダントを外して眺めた。

月明かりに照らされた緑のハート…あの人と同じ色…

まめみ「ポナ君…。」

まめみの頬を伝って涙が零れ落ち…ペンダントのハートに消えた。

To be continued…